入り口は流行の異世界転移なのだが、なんとこの作品は家族そろって異世界に転移してしまうのだっ! 基本的に多くの物語は、両親を出さないことによって物語の自由を創りだすのだが(少年漫画などはとくに)、この作品はその逆――家族全員を登場させることで物語に深みを増している。
転移して直ぐに家族の和気藹々とした会話がはじまるのだが、僕はここで声を出して笑ってしまった。笑ってしまったので物語の好感度がぐんと上がり、後は最後まですらすらと読めてしまった!
大まかなストーリーとしては、魔王として転移した家族の父が、魔族と対立している聖王国と戦争にならないために奮闘するというもの。最初の「あめなめた」があるので、お父さんには引け目があるのも物語を展開させる上で良いスパイスになっていたと思う。
伏線も貼ってあり、あっと驚く仕掛けもある。ほろりと感動できる泣き所もあって、物語的に走攻守が揃った素晴らしいプレイヤーであると感じた。
個人的には聖王国の聖騎士が、自分の大事なものを捧げることで力を授かるという設定に面白さを感じた。
一風変わった異世界家族ファンタジー、おすすめです!!
初めは異世界と家族のネタを絡めてちょっとしたコントが続きます。
こちらで合う合わないが出てくるかも知れません。
けれども、読むのを止めるのはもったいないです。中盤から非常に面白かったです。
ラストについて、こうくるのかと驚きましたが、読み返せばちらほらと伏線があったんですね。
話の根幹とラストを初めから定められていたのか、キャラクターの行動がなるほどと、すとんと落ちるものになっていました。特に長女ですかね。
ああ、そういうことか、と。
題にもありますが、家族って良いですよね。
全体を通して一番リアリティのあるまとめ方だったのが良かったです。
ハッピー? ビター? そこは読んでみて下さい。
この物語を読んで、一話目、ちょっと読書の気分ではなくて躓いてしばらく遠ざけていたこの作品。
でも今日、2話目を読んで激しく後悔しました。
これは面白い、面白い作品です。
クラスごとだったり、一人だったりがいきなり異世界に飛ばされる物語はよく見ますが、家族で、という発想がとても斬新でした。
主人公が子持ちのお父さんというのも魅力的、また、その父親が自分では理解していない力を持ち、強い、というのも面白い要素の一つです。強いお父さんはかっこいいですよね!
子供たちの方が能力に対しての理解が早いのは、やはり若さゆえの柔軟性のおかげかな、とも思いました。
僕としては、主人公の娘が大好きです。その性格となんだかんだ言って面倒見のよいところがとてもキュートでこんなお姉ちゃんが欲しいなと、弟目線で考えてしまいました。
最終話まで、読ませていただきました。
まさか、こんな終わり方をするとは……そして予想外の終わり方、エンドに拍手を送りたいと思います。読者が納得するような、しかし予想を裏切るような終わり方でした。
まだ、未読の方は絶対に読んだほうがいい作品です。
あなたも、イセカーの秘密を追いかけてみては?
異世界転移・転生モノの総本山とも言える「小説家になろう」ではもう鉄板となっているチートとハーレムコンボ、いわゆる「チーレム」だが、この作品にあるものはそれとは似て非なるモノだ。
いくつか異なる点が挙げられるが、その最大の差と言っていいのがストーリーテラーたる主人公達である。
主人公の父親は日本人だが、奥方は外国人であり、子供は男女1人ずつの計2人。
つまり、主人公以外の語り部達が主人公とは大きく異なる価値観を持っているので、主人公のみでは立ち向かえないであろう問題に対して別方向からのアプローチを持って解決できるということである。
不安要素はなくは無いが、それを打ち消すほどの要素だと断言できる。
若い方が好むラノベには無いコンセプトたる「主人公が大黒柱の家族」。見守らずにはいられない。
3話からぐっと面白みが増す!
要はマヒナちゃんですかね。
まず注目したいのはマヒナちゃん。
彼女の登場から、作者さんの味がぐっと出てくる感じでした。
魔王であるパパさんへの態度、言葉遣い。
人によっては「当り前」かもしれませんが、彼女の登場シーン。第一声の後、魔王に膝を着くシーンから良い。
王と従者の関係。
そういった書き方が得意なんだろうなと読み取れ、そういった主従関係を安心して読ませてくれます。
設定の『家族で異世界転生』
これも面白いです。
どことなくナルニア国物語を思い出しました。
ナルニアは確か兄弟で、イセカーは家族で。
父、母、姉、弟。
この家族関係がナルニアのような物語とは違った、例えば「親子」だからこそのトラブルや物語の展開、役割分担での物語の進行を期待させます。
文体は読みやすく軽やか。
けど、細かい小技が光っている。
例えば――
・主人公達の苗字「伊坂」をマヒナに「イセカー」と聞き取らせる。それが更に、異世界の言葉で「イス」と「エーカー」という言葉になる。
・上記にも書いたけど、マヒナとの主従関係の描き方の巧さ。
重くない文体なのに、会話やちょっとした態度の書き込みで、物語の世界観を膨らませられる。
これは、この作者の「巧さ」の一つだと思う。
☆主従関係の描き方の巧さ
☆軽やかな文体で、読者の想像力を膨らませる力
☆家族で異世界転生という設定
このあたり、とても良いと思います。
あ、あと4話のラストは好き。
魔王にいいとこ見せようとしてこどもの前で敵にキス。
そうだよなぁ性魔だもんなぁ。ここはとても好きかったです。