あなたのホームズはどこから?

Q:あなたのホームズは、どこから?


A:私は「名探偵ホームズ」から!


これだけ言って原作からじゃないのか、と思った方すいません。

私は「名探偵ホームズ」から、なんです。


「名探偵ホームズ」、通称『犬のホームズ』は1984年から放映された日伊共同制作のアニメーション作品です。

なんと、若き日の宮﨑駿監督も制作陣に加わり、ホームズの声優は広川太一郎さんにモリアーティの声優は大塚周夫さん。

しかも、若き日の田中真弓さんや速水奨さんまで出演していらしたという豪華さ。

ハンバーグにエビフライと焼いたチキンまでワンプレートにするくらいの全部のせ感です!

田中さんはゲスト枠の女の子、速水さんは夏目金之助(!?)役でした。

何故コレが犬の、等という枕詞が付くかというと理由は簡単。

登場人物が擬人化されて二足歩行する犬という描かれ方をしているからです!

理由は定かではありませんが、イタリア側の強い要望があったとか……。

ともかく、このアニメで多くの少年少女が道を踏み外しました。

ある者はハドソン夫人に初恋して未亡人に、ある者はケモナーに、そして私はシャーロキアンに!


リアルタイムでの放映当時、まだ生まれてすらなかった私は当然これを再放送で視聴しました。

テレビっ子だった私はすぐに夢中になりました。

初期の宮崎作品にも共通するアクション、コミカルな登場人物、モリアーティ一味との追いかけっこ!


今思うと、原作からはかなりかけ離れた作品でしたがとにかくかっこよく王道な冒険物語になったアニメをそれこそビデオテープが擦り切れるほど視聴しました。


そして、犬のホームズに溺れるようにハマっていた私をある日、母が呼びました。


「ねえ、ホームズやってるよ」


二つ返事でした。

そんなに広くない家の居間には……知らないオッサンが居ました。

それこそ、世に名高い、人によっては『もっとも優れた実写化』と言われる。


「シャーロック・ホームズの冒険」、通称”グラナダ版”

本場イギリスのグラナダテレビが総力を上げて制作した今に至るまでも愛されるテレビドラマシリーズ。


しかし、悲しいかな。

若くて犬でCV広口太一郎なホームズが「シャーロック・ホームズ」として刷り込まれていた当時。

「なんか知らん外人のオッサンが写ってる」くらいにしか感じられてませんでした。


困惑する私はひとまず、グラナダ版を見ている母の横に座ります。


「あれ誰?」

「ホームズ」(おっさんだ……)

「えっ」

「こっちがワトソン」

「えっ」(おっさんだ……)

「あ、ハドソン夫人」

「ええええええええ」(お婆ちゃんだー!!)

名探偵ホームズでは、ハドソン夫人は『19歳の未亡人』です。

恐るべし宮﨑駿、彼女で何人道を踏み外したかわかりません。


あまりのギャップに戸惑う私をよそに、ドラマは進んでいきます。

見終わった時の感想は「なんか難しかったけど面白かった気がする」


家にテレビは一台しかありません。

テレビっ子の私は、母の隣でグラナダ版を見るのが日課になりました。

母が居なくても、見るようになりました。


そして、現在まで私はシャーロック・ホームズから目を離せていません。


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シャーロキアンの終わらない冒険 はるゆき @haruyuki

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