卓越した言葉選びのセンス

 限りなく現実に近い、何気ない体験を描こうとしているにも関わらず、セリフ選びのそれは実に虚構的である。しかしそのセンス自体はとても磨きをかけられたもので、リアリティを孕んだストーリーとのギャップが面白い。
 欲を言えば、喫茶店の描写や紅茶、喫茶店の中からでも聞こえてくる雑踏の音、店に入ってくる彼女のより生々しい描写、などによって、さらに現実感を肉付けできれば、より大きなギャップでインパクトをもたらすことができるように思う。
 夏はこれから、来るべき、誰もが楽しみにする夏祭りを夢見つつ、読まれたい。