エピローグ

「父さんたちに本当に僕の思い、届いたかな」

「大丈夫よ。ちゃんと届いているわ。死んだ人が夢枕に立つって聞いたことがあるでしょう? そういう夢は普通の夢と違ってとてもリアルなの。あぁ、逢い来てくれたんだな、何か伝えに来てくれたんだな、ってちゃんとわかるのよ」

「ああ、よかった。もう一回落としてしまった石を拾って来たんだけど、父さんたちにはどうしても気づいてもらえなかったから」

「弦おにいちゃんからのプレゼントのあのきれいな石は、明日の朝必ずあたしが枕元に置いておくから心配しないでね」


 それを聞いて僕は安心した。


「弦お兄ちゃん、これでもう安心して逝けるね」


 乙葉がどこかあどけなさを残した笑顔で言った。

 僕はすっきりした気持ちになっていた。


「ありがとうございました。乙葉もありがとう」





幽月邸に住むのは幽冥界への案内人。

幽冥──夢の世界を操って、道に迷った旅人を案内する。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

僕の願いをかなえて 楠秋生 @yunikon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ