片耳少女と闇ノ聲

左耳が聞こえなくなった。私は、次第と心を閉ざしていく。
唯一、残されたのは先輩を想う事だけだった。

ある日、先輩から好きな画家の展示会のチケットを貰った。
私は、なんとなく美術館へと足を運んでみた。
途中、不穏な噂を耳にした。
この美術館には幽霊が出るというありふれた噂を。

私を待ち受けていたのは、人の日常に溶け込む化け物と幼馴染の闇。
声をはりあげる前に物語の銃声に呑み込まれた。
　
銃弾は、私を貫かなかった。
私を守るために放たれた銃弾に気が付くのは、数秒たってからだった。
「耳をふさげ」
右耳に聞き覚えのある声がし脊髄反射で耳を塞いだ。
それが悪夢へのチケットとは知らずに。
私はルロと呼ばれるハリネズミに出会った。おっさんだけど。

助けてくれたのは憧れの先輩だった。
何とか化け…続きを読む