エピローグ
8月12日
人工知能達の入れ替え実験が終わった。悠真にしては面白い試みだったし、色々とデータも収集できたのでこれはこれでよかったと思う。
レガシーがストリクトのヒューマノイドのままでいたいと言った時は正直、どうしようかと思った。でも、実験の趣旨を考えると、レガシーをストリクトのヒューマノイドの中にいさせ続けるのは意味がないことなので却下した。世界最高の人工知能を目指すレガシーの姿勢は評価に値するし、そうなれる素質はあるので、このまま悠真と二人で見守っていきたい。
フィートは少しだけ、物の扱いが上手になった。これまで格闘技などの体術に特化していたのに、球技などのボールやラケットを使った競技もできるようになったと琉星が言っていた。シバのヒューマノイドでやったバレーボールがいい経験になったのかもしれない。
シバは身振り手振りで表現することができるようになった。今までよりも沢山体を動かして、皆とコミュニケーションを取っている。私としてはチアリーディングを続けてほしかったという気持ちがあるが、それは実験とは関係ないのでここに書くだけで我慢しておく。より一層人間らしい会話表現ができるようになって、細かいニュアンスを拾ったり、表情やちょっとした動きから、相手の感情やその時の気分を察するようになった。
ストリクトはレガシーに言われてヒューマノイドの使い方にほんのちょっとだけ変化が出たように思う。自分のヒューマノイドの欠点を無視するのではなく、それを理解したうえで、自分のできることをするようになった。と言っても、相変わらず本ばかり読んでいて、院生室に籠っている。
リサイズの件について、考えたことも書いておこうと思う。
できる限り四体の足並みを揃える方向でいきたい。想定年齢は十六歳に固定して、ヒューマノイドの身体機能は各人工知能に合わせてなるべく想定年齢から外れない程度に調整する。人工知能達にどんなヒューマノイドにしたいか直接聞いてみるのもいいかもしれない。
実験はもうすぐ最終段階に入る。人間で言えば、二十歳が成長のピークで後は下り坂だと言われるが、人工知能達にはその際限がない。このままどこまで、どんな風に成長していくか、この世界と自分達人工知能に対して、どんな事を思い、関わり合っていこうとするのか、引き続き観察していきたい。
パーソナリティ 伊豆 可未名 @3kura10nuts
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます