10.

side→


 練が来てから、数週間。


あれから練は、毎日のように仁兎や美月に訓練をつけてもらい、なんとか”練”を保ったまま、戦えるまでに成長していた。紅蓮を制御し、能力だけを引き出す。この短期間での練の成長は、紅蓮と長年一緒にいたからこそ成し得たものだろう。


「順調そうだな」

「…実戦で戦えるようになるには、もう少しかかりそうよ」


一旦訓練を切り上げ一息つく。


「祐希先輩!お久しぶりです」

「…おー。美月と仁兎にしごかれて、少しは鍛えられたか?」

「…ええ…、それは…もう…。全身筋肉痛で……」


side→練


 壁際に腰を下ろすと、隣に祐希も続いて腰を下ろす。

紅蓮と契約をした日から、祐希とは会っていなかった。学校には来ているようだったが、こちら側の仕事が忙しいとかで、下校時刻になるとすぐに帰ってしまっていたようだ。


(……って…特に、祐希先輩に用があったわけじゃないけど…さ)


ただちょっとあの晩のキスを一度考えだしたら、頭から離れなくなってしまっただけで。

紅蓮を呼び出すため、と分かってはいるのだが、やはり初めてのキスだったということもあるのかもしれない。



side→祐希


 俺が見込んだ練は、やはり急成長を遂げているようだ。紅蓮の存在があったとはいえ、この短期間で素人がこれだけ動けるようになるのは、やはり素質がなければ無理だ。しかも、訓練の相手は美月と仁兎。この二人は、たとえ仲間だろうが容赦しない。他のメンバーだって、そりゃ訓練中に手抜くような奴らではないけれど、そこは練との相性なんかもある。


 一通り訓練を見ていて、一つ気になることがあった。


(…何だあの動き……)


「美月…、ちょっといいか?」

「…なに」

「なあ、練の動き……気づいたか?」

「ええ…。時々、ありえない反射するのよね。最初は、紅蓮が表に出てきたのかと思ったけど、そうじゃないみたい」

「……」


 美月の話を聞いて、浮かび上がる一つの可能性。まさに想定外。これから面白いことになりそうだ。思わず、口元がほころぶ。


「…練、訓練頑張れよ」

「…はい!ありがとうございます」

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DEAD or ALIVE. 澪汰 @star-knight

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