やがて「人間」は思い出へ還る

昔、狼に育てられた双子の子供と言う話が世間を賑わせた事があるそうです。捨てられた子供を拾った狼がその2人を大事に育て、暮らし方を教え続けた……やがて狼は人間に殺され、子供たちは人間の生活へ戻った。物語はこう続きますが、果たして本当にそれで良かったのか、親から引き離された双子は幸せだったのか……。

この物語で焦点が当てられている少女も、まさに同じ状況なのかもしれません。無機質な世界は確かに人間にとっては異質極まりないものかもしれないですが、その当事者から見るとどうなるのか……。価値観の違い、思い出、様々な概念に対する疑問を突きつけてくる、良質な短編作品です。

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