魔王アレスは、人間が集団で生活していると生じがちな嫉妬などの悪感情を魔力の源として吸う。
そうして保育園で生じる軋轢を減らしているのです。
動機は徹頭徹尾アレスのためでしかないのに、職場が良い環境になっていく。
保育園という職場の大変さが、無邪気な子供達の様子とともに丁寧に読みやすく描かれている。それ故に、魔王であるアレスが魔力を貯えるのは良いことではないはずなのに、職場内にある悪感情を吸うことで環境が改善されていく様子が読者に望まれる。
なかなか凝った設定で展開だなと感じさせられた。
ライトな描写にも関わらず、保育士さん達の苦労が伝わってくるために、園児等の遊んでいる様子にほのぼのとばかりしていられない。
子育てや職場での実体験を思い出し、つい共感させられ、ほんと大変だよなぁとつぶやかされる。
このような内容だから、ファンタジーなのに妙にリアルな作品になっている。
ファンタジータッチを面白く利用している作品と感心させられた。
リアルな内容は別にしても、魔王アレスがどこまで悪感情を吸い、どれほど魔力を貯えていくか、そしてその後はどうなるのかなど、作者さんがどう料理してくれるのか更新がとても楽しみな作品です。
お仕事小説+異世界転生物。そんなお話です。
ただし、異世界に転生するのではなく、異世界から転生してきます、魔王が! 保育園の美人保育士・百合先生の中に(笑)。
本作は基本「お仕事小説」。保育士の現場のきつい業務とか、難しい人間関係とか、保護者とのかかわり、そしてなんといっても園児たちの安全を管理するという責任の重大さ。
そんな過酷な職場で頑張っていた百合先生の中に、魔王アレスが転生してきて……。
もうハチャメチャです。美人で仕事のできた百合先生。中身が魔王になっちゃって自分のことを「俺」。子供みたいにわがままいって、やりたい放題。後輩の麻里先生は唯一魔王アレスの正体に気づいているんですが、おかげで苦労が絶えません。
本作の見所は、過酷な職場に転生してきた魔王の暴れっぷり、周囲の困惑、そして魔王視点の鋭い指摘などなど、いろいろあるんですが、やはり秀逸なのは、この魔王と園児たちの関わりです。
魔王アレスのはちゃめちゃっぷりに、最初はびっくりしている園児たちなのですが、じょじょにみんな百合先生いや魔王アレスのことを慕い始めるのです。いや、ちょっと違うかな? 子供みたいなアレスのことを仲間だと思い始める。ん? これもちょっとちがうかも。
とにかく! 魔王と園児たちのハートフル・コメディー。魔王と園児が可愛いです。
ゲームの世界で勇者に倒された魔王アレスが、現代の保育園に務める保育士の女性・百合先生へと憑依して巻き起こるドタバタ騒動が面白い。
現代の常識が欠けているアレスにとっては、すべてが理解不能で面倒なことだらけで、性格が豹変してしまった百合先生(アレス)の補佐として振り回される新人保育士の麻里先生が可哀想なのだけれどコミカルな掛け合いに頬が緩む。
元気いっぱいの子供たちに癒されるが、それを見守る保育士はすさまじい激務で、食物アレルギーに気をつけたり、子供の喧嘩に気を配ったり、運動会や行事の準備をしたりと気を休める暇もない。
職場内でもギスギスした人間関係があったりして、保育士は毎日こんな苦労をしていたのかと、保育士の業界の過酷さを実感する。
何もかも手さぐり状態の百合先生(アレス)だが、子供と同じ目線で接することで受け入れられていく姿にほっとする。
現代の社会問題に切り込む、実は社会派なファンタジーなのかも?
(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=愛咲優詩)
最新話(第32話)まで拝読しました。
とにかく、いい意味で予想を裏切られた作品です。
大まかな設定は、「ゲーム世界に君臨していたはずの魔王が、思い掛けなく現実世界の女性保育士に憑依(というか人格交換?)してしまう」というもの。
それで、魔王アレスは保育士の百合として、不本意ながら保育園の園児たちを世話する仕事に従事することになるわけなのですが……。
あらすじを最初にみたときは、「ヌルめの日常系現代ファンタジーかな?」と思って読み進めてみたところ、ベースはむしろかなりしっかりした「お仕事小説」になっていてビックリ。
そこへ軽めのファンタジー的な味付けがある内容で、保育士同士の仕事を巡るドラマが展開されています。
ちいさな子供を何人も預かることの苦労や責任の重さが伝わる、ちょっぴり深いお話でした。
以前にも途中までのレビューをさせて頂いていましたが、漫画原作コンテストに参加されたことと、一部完結とのことで、改めてレビューをさせて頂きます。
まず魔王が保育士というコンセプトだけでも、すごく面白いですよね。
キャッチーさの威力が半端ないです!!
そして陰ながら活躍する魔王様がカッコよすぎ!
子供たちと仲良くなる……のは時間がかかりそうですが、そこも兆しが見えているので、すごく期待しています!
あと、人間関係の負の部分がリアルに書かれていて凄いと思いました。
万人向けの作品だと思うので、みなさまぜひお読みになってください!
魔王が転生するお仕事系ファンタジー。
3万字を超え、第一部完結とのことなので読んでみました。が、なんだこの作品は!! 試しにちょっと覗いてみようと思い、軽い気持ちで読み始めてみたら、いつの間にか12話まで読んでしまいました。それほどまでに引き込まれる内容であり、またストレスの少ない読みやすい文体でした。シンプルでありつつもイメージしやすい描写もよかったです。
そしてテンポよく読み進められる一方、登場するキャラクターの人物像がしっかりと描かれており、ちゃんと人間ドラマが繰り広げられているとこともいいですね。魔王が保育士に転生するという奇抜な設定ですが、そのネタに逃げることなくきちんと物語を展開するところはお見事の一言でした。
本来なら星を三つあげたいところですが、第一部完結とのことで、今後第二部、そして第三部と続いていくと思われます。その際に改めて評価できるよう、今回はあえて少なめにつけさせていただきました。ご了承ください。今後の更新を期待しております。(個人的には百合先生の行方が気になります)
それではまた第二部完結の際にお邪魔させていただきます。ごちそうさまでした!