「弱さ」を克服するカタルシス

左遷をきっかけに酒に溺れた元英雄の再生の物語。

堅めのハイファンタジーど真ん中の世界観でありつつ、地の文や台詞の端々に垣間見えるユーモアが面白く、読みやすいです。
物語に必要な部分以外をばっさりと排除した描写が、むしろ世界観に奥行を感じさせます。

弱くて人間味のある、けれど肝心なところでは強い。そんな主人公が復活していくさまはかっこいいの一言です。来るぞ来るぞ…と先の展開を思わせて、そうなったときの興奮は言葉にできません。

これだけ練られた設定でありながら、長くは続けずさらっと文庫本一冊ほどの分量でまとめられているので、続編が読みたい!と思いつつもこの読後感を保ちたくもあり、悩ましいところです。

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