エピローグ
第44話 ~リアル~
時は、数ヶ月経つ。
「わー、ここのスペース、カフェにしたの?」
「そーよー。あたしの夢だったからね」
ある女性は、自宅を増築して子どもも遊べる小さなカフェを営んだらしい。好きなことをやれるだけやってやると、決めたのだとか。
「うそ……通った……!? っしゃぁあ!!」
ある男子は、秀才の集まる大学へ進学したという噂が流れた。自分のやれるべきことはやってみようと。自分と合う仲間だっていつか出来るかもしれないと希望を持つことを決めたのだとか。
「う、おー!!! まじか、まじかまじか!! 採用通知きたぁああ!!」
ある青年は、大手の会社に入社試験を熱心に受け、車の整備士になったという噂が流れた。工具を愛する気持ちを貫くと、決めたのだとか。
「ついに、この日が来たか……。これからが本番だけど」
ある男性は、業績を順調に上げたことから、自ら企業を起こしたという噂が流れた。自分が愛するものを希望を持って探し、そして、沢山の人のために何かできるかを心に常に置くことを決めたのだとか。
「……っ! おい! 大丈夫か!!」
「助けて……! ここ……! 私はここ……!」
「待ってろ! 今助けるからな!!」
ある男性は、精神と身体を鍛え、消防士になったという噂が流れた。沢山の人々の命を守ると決めたのだとか。そして、火事から救った女性と幸せな家庭を築いたらしい。因みに、リボンがよく似合うそうだ。
そして。
ある女性は、ある男性と一緒に人生を共にしているという噂が流れた。
その男性はスマートフォンのメールを開き、“今日は何時に会える?”と文字を打ち、送信を押した。怪我からの回復の後、希望をもつ事を忘れず、自分の身体を大切にし、一人の女性を命が続く限り愛する事を決めたらしい。
「白崎さん、後はこの書類をお願いね」
「あー……! はいっ」
電話の音、キーボードの音の波を無意識に聴きながら愛華は時計を見た。
定時までにはなんとか間に合わせないと。
定時が近づくと、机に置いていたスマートフォンが震え、メールが着いたことを知らせていた。
その相手に顔がほころぶ。
「そういえば、白崎さん」
「は、はいっ」
書類を頼まれた女性の先輩に呼び止められ、溜めていた仕事を催促されるのかと表情が固まった。
「最近、白崎さんの表情、自然になったわね。私はその方が好き」
それだけを言って、颯爽と持ち場へ戻って行った。
愛華は、少しでも素直に表情を現すことを決めた。
少しずつ、少しずつ。
ギャラクシー・ウォーでの出会い。
チーム・ルナシスメンバーは特に、沢山の愛情を教えてくれた。
皆、元気かな――。
接客の様な日々であったとしても。
愛情を、少しずつ込めて表現することを、決めたのだとか。
仕事が終わり、待ち合わせ場所まで息を切らして走る。
今度は、闘うためでも、守るためでもなく。
柔らかな風が頬を撫でる。
信号が、赤から青に変わる。
夕方から夜に変わる、光が灯りだす風景。
沢山の人混みの中。
ここは、
やっと見えた、遠くで、微笑んで手を上げる彼の姿。
愛華は満面の笑みを見せて駆けて行った。
・・・
愛情と希望を持った者は、誰よりも強い。
闇のエネルギーは日々、常に見えない場所で生まれている。
今日も、闇のエネルギーに包まれ、倒れようとしている人がいる。
「気がついて、くれるといいですね」
ミラは、樹木に微笑み、宇宙へ希望の光を送った。
戦艦達は、その希望を沢山の人々へ転送する。
ここに来るべき人達を、今日も転送し続ける。
そして、縁あって来ることが出来た戦士達へ、微笑みと共にゼロは眼鏡を光らせ案内する。
「それでは。エンディングまで、いい旅を」
fin.
リアルよりネトゲの方が本気で愛情が生まれる気がするのですが❁完結❁(リライト中ですが、内容には差し支えありません☆彡) 満月 愛ミ @nico700
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