第10話 気づけば、そこに

家に着くと、カタンと音がして、

私はミナだと思って、笑顔で振り返った。


そこには、ミナが居た。


「哀しい顔だね」

ミナに見えた、別の女の子だった。


『絶望するなら、次に生かせばいい』

神の言葉は残酷だった。


私は、へたっと床に座り込んだ。


顔を覆い、ポタリポタリと涙を流した。


丸まった体の私の頭を、2歳の少女がヨシヨシと撫でた。


「そんなリリも愛してるけどな」


ふと、顔を上げた。

その後ふたりでリンと名付けた子の傍らには、彼の姿があった。


ふたりに抱きしめられて、幸せだった。


だけど彼に抱きつくと、

ミナを想い、

ミナの為に、

子供のように泣きじゃくり続けた。






ねぇ、神様。

私……。


「ありがとう。神様」


end

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気づけば、そこに @arisuneko2

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