第9話 自分勝手な愛
私は肉体も残さず消えてしまったミナのために、彼の墓にミナと書き添えた。
(ごめんなさい……)
全て失くして気づいたのは、
彼とミナへの愛だった。
そして、ナノカと言う少年への申し訳なさだった。
(あなたが憎かったんじゃない……)
(……私が憎かったのよ)
自分勝手にミナを愛して、
自分勝手に愛してると思って、
愛したから、さぁ返してくださいだなんて、
虫が良すぎた。
「ごめんなさい!」
ふたりの墓を見つめていた私は、ナノカの声に振り返った。
きっと、とても哀しい顔で笑ったと思う。
「ごめんなさい」
「八つ当たりだったわね」
そして、ナノカを抱きしめた。
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