この作品にはゲームへの愛が全て詰まっている

この作品は、世界で最もゲームを愛している人物によって書かれた、ゲームに対する愛の物語である。

最も、と言うのは誇張でも宣伝文句でもない。作者は実際に、世界中から、数多くのゲームを買い集め、楽しんでいる。
それも、集めるために集めているのではない。クソゲーとあざ笑うために集めているのでもない。遊び、楽しむために集めているのだ。
これほどゲームを愛している人物は他にいないだろう。

この作品は、世界で最もゲームを愛している人物による、ゲームに対する愛の物語である。
だが、その愛とは決して楽しいだけの愛ではない。ゲームに一方的に注ぐだけの、利己的な愛ではない。

「本編」である未来ゲームレビューは、作者がゲームを愛し過ぎるがゆえに、現在のゲームのみでは飽き足らず未来のゲームを愛してしまった、そんな物語である。
ゲームを愛している作者によって書き出された、ゲーム愛に溢れる「未来のゲーム」の話。
それは、本当にそんなゲームが存在すると錯覚させるようなリアリティに満ち溢れている。一話読んだ後には、本当に楽しいゲームを遊んだような、そんな爽やかな読後感に満ちている事だろう。

だが同時に、レビュー対象となるゲームは、何らかの理由で「低評価」とされたゲームである。作者が心から愛し、愛するがあまりに自ら産みだしてしまった未来のゲームは、しかし悲しいかな、評価されないものばかり。
レビューの裏には「自分の愛を世間に理解して貰えない悲哀」と、「自分の愛を理解できない世間への哀れみ」も描かれている。
この作品はとても楽しい。しかし楽しいだけではなく、そこに考えさせられるような深さもぎゅっと詰まっている。

そして、ゲームへの愛をさらに深く描き出したのが「雑記」だ。レビューが「愛するゲーム」を題材としているのに対し、雑記は「ゲームを愛し、未来に生きる作者」を題材としている。
そしてこの雑記では、様々な理由でゲームを遊べなくなり、様々な理由でゲームを楽しめなくなっていく過程を通し、「ゲームを愛しているのに、ゲームに愛して貰えない悲哀」と「ゲームを愛せなくなる事への恐怖」が描かれている。
それは、息を呑むほどに美しく、残酷で、だからこそ心に響く。

この作品は、世界で最もゲームを愛している人物によって書かれた、ゲームに対する愛の物語である。
そして、愛する事の喜び、愛する事の辛さ、愛する事の恐怖。愛に関する全てが詰まった、一級品のラブストーリーである。

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