昭和街角散歩

@607rin

前書き


 立葵たちあおいは闇に咲く花

 立葵は夜に咲く花

 立葵は光に泣く花

 立葵は消えゆく花


 -柏荘の九号室でそんな詩を書きました。作詞家で詩人の青夢せいむです。


 ここは現代より数十年前に時が止まったように静けさが満ちたところです。四畳半が一室と三畳が二室。中庭にはまだ青い桜が蕾をつけています。もうすぐ春一番が来て花がたわわに咲くのでしょう。今日は気分がよい。少し床から這い出してみようか。下町を散歩すれば疲れも吹き飛んでしまうだろう。

 そんな事を考えながら、僕は時に孤独をかき消しているのです。


 -さあ、出かけようか。

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