双子の妹、ルイちゃん目線で進んでゆくミステリー、彼女がなかなかくせ者です。いいえ、可愛いんですけども、それだけじゃない。なにより、お兄ちゃん愛の強さは、身内への感情が気迫になった昨今、めずらしいくらいです。ひと言紹介でも書きましたが、喉を潤すように、続きを読みたくなります。とてもおもしろくて、クセになってしまうのです。新しい扉を開くようなミステリーを、読んでみませんか?
主人公は双子の兄と妹。冷静沈着な兄と、超がつくほどのブラコンの妹。残酷な事件が次々と起こりますが、二人のキャラが明るくてテンポのいい会話に、悲惨さを感じさせないほどのライトミステリー。一度読んだら、大どんでん返しがクセになる。専門的な知識も散りばめられ、読み応えのある秀作です。
トリッキーな登場人物らが織り成すケレン味たっぷりのやり取りに、思考の間隙を縫うかの如き論理の再構築。麻耶雄嵩を最愛とするプロフィールにも納得です。それにしても、ブラコン一直線の妹視点がまさかここまで物語に彩りを添えるとは……! 重苦しくなりがちなテーマをさらりと書いてのける筆力にも脱帽です。
物騒な事件にばんばん出くわす妹・泪、警察に務める叔母さん、納得しやすい心理学を披露してくれる精神科医のお母さん。そんなよくある事件と、よくある解答をずばんと一蹴して、事件の真相は示してくれるのはクールな兄・涙の思考実験!もやもやがスカッと晴れるような爽快感は病みつきです。一つの事件につき4話構成の短さの中に、家族愛やゾッとする人間像を端的に描かれ読み応えもあって、ついつい読み続けてしまいます。(編集者ピックアップ/文=編集G)