詩「沼の花」
晴見 紘衣
沼の花
君の
深い痛みを見つめて目がしみた
君の
暗い怯えを嗅いで息がつまった
助けてって言葉は
助けて、以外の言葉の中にあった
聴き逃さなかったこと、
それだけは自分に感謝している
なんて、慰めみたいな言い訳
濁った沼に噛みつかれて
沈んでいく君を引っ張り上げたかった
力が足りないという現実は吐きそうなほど不味い
君が最後に見た景色の中に
誰がいたか
光はあったか
もっと、もっと、って
できなかったことばかり考えて蹲ってしまうけど
もしかしたら、いやたぶん
どれだけ手を尽くしたってできたことには限りがあって
もっと、もっと、って
悔しさにむせぶのは無い物ねだりの思い上がりか
君を無にするものがこの悲観なら
君を花にすることが生きる希望だ
澱んだ沼だからこそ咲く花がある
というのがこの胸に咲いた希望だ
君が知らない、君への約束だ
詩「沼の花」 晴見 紘衣 @ha-rumi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます