はじめてのせんとう
爆発音や打撃の衝撃音が結界の防音効果により全く聞こえずに、それらの攻撃を通さず音もなく動き回っている姿にプッと噴き出しそうになるのをこらえながら俺は再び俺がこのファンタジー色濃厚な世界に来た元凶と言える女神に向き直る。
「とにかくそれを着けてれば大丈夫なんだな?」
「ええ。それがあれば攻撃は避けられるでしょう・・・」
女神は腕輪としか思えない廻りの大盾を俺へと渡しながら、ですが・・・と言葉を続けた。
「・・・どうするおつもりですか?」
この質問に俺は頬を人差し指で掻く。
「えー、っと。アイツらを殴る?」
疑問形になってしまったのはぶん殴ることしか頭になく、どうやってあのムカつく男どもの所まで行くか。その道のりで女の子たちが阻むことはないか、などいろいろなことを考えていなかったからだ。
「それでもさ、やっぱあの男どもは殴りたいんだ。女の子達に酷いこと言ったり、一番許せないのが、ハーレム作ってんじゃん!!」
俺は心の叫びを女神相手に熱弁する。
「理由がほとんど後者ですね」
苦笑しながら俺の冗談に乗っかってくれる女神。いいでしょう、と前置きしながらも了承してくれる。
「今のあなたにはそれらを成すことができるようになっています。ですから今はあなたのしたいように進んでください」
真っ直ぐに俺を見て「殴れ」と言っている。
この女神めんどくさいな。
「面倒な性格なんだな神って」
俺は前を向いたまま肩から苦笑混じりで「じゃあ、行ってくる」と言い、走り出した。
神々しさなどなくなってしまったが金髪巨乳美人な女神から頑張って下さいと言われたらそりゃあ、やる気が出るもんだ。
俺は男たちに向かって言ってやる。
「今からぶん殴ってやるから覚悟しておけ!馬鹿野郎ども!!」
自分でもなにを言っているのかよくわからない台詞を吐き捨てて男たちの元へと走っていった。自分から野郎の元へと向かうのはごめん被りたいが今は頭に血が上っているからか俺は一直線に野郎二人めがけて走っていく。
「アイツをやれ!殺せ!!通すなぁ!!」
「お前たち!なにをやってる早くあの者を亡きものにせんか!!」
俺の啖呵に乗せられ喚く野郎二人。
だが女の子たちは反応しきれず、かろうじて体のサイズ大きめのオバサ・・・女性の二人はその手に持つ俺の体くらいはあるんじゃないかと思わせる大きな
そこからは我に返った女の子たちの剣や魔法での攻撃が襲うがそれでも爆音もなにも感じない。たぶん防音効果が付与されているからだろう。スピードがあるため前に出てくる女の子はおらず跳ね除けることはなくて正直ホッとした。
何者にも阻まれ事はなく、俺は男どもの元へとたどり着く。その男どもの顔といえば―引き攣っていた。あれだけ殺せだの容赦はするなだの喚いていたのに今は不愉快な顔を晒している。
殴る前に一言だけ言ってやる。
「女は駒じゃねぇ!!全員もれなく嫁にしやがれ腐れ外道が!!それとハーレム野郎の夢ぶち壊してんじゃねえぇぇぇええ!!」
「な、ややめ!」「お、おおいダメだ!」
「「ゴブォオ!!」」
俺は体を丸く覆うようにしていたこれまで攻撃を阻み俺の身を守ってきた結界を女神に教わったように腕に収縮―男二人を同時に殴れるような大きさに―して男どもめがけて放ってやった。イメージで大きくなったり小さくなったりと出来るらしい。
俺は倒れて痙攣して鼻血を流している男二人を見て嫌悪感に顔を
「弱いじゃねえか」
男なら護れよ。そう心で思うが、それが後の俺のプレイスタイルとはこの時の俺は知る由もない。
落第候補生の英雄伝説 坂田 透斗 @ta_bbuu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。落第候補生の英雄伝説の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます