後編 佐藤はゲームマスターである

「さぁはじまったぜ体育祭! 一年生は初めてだろうけど一生懸命頑張ってな! 二年生は俺のいる二年C組が優勝するけどほかのクラスは精々がんばるといい! 三年生は受験前の最後の遊びの場だから力一杯やってくれ! あと先生方は誰も見てない教員対抗綱引きに命をかけてください! これで俺からの話は終わりだから、この後確か準備運動あるけどそこそこ適当にやって各自解散ね。じゃあみんな! 佐藤のゲームのスタートだ!!」

 びしっと人差し指を突き出しつつそんな言葉で締めくくり、佐藤は檀上から下りた。

 教師に捕まった。

 まったく、リハーサルで行っていた素晴らしく知的な演説はどこに行ったのだろう。

 こんだけ派手にやってるとそのうち生徒会長をクビになるのではなかろうか。

「こりゃ佐藤はそのうちクビになるよなぁ笹塚ー」

 どうやら隣の水城も同じ感想を抱いたらしい。

「そしたら俺が生徒会長だな」

「じゃあ私は生徒会長夫人だなー。あれ? なんか佐藤がクビになっても悪くない気がするぞ笹塚!」

「生徒会長夫人ってなんだよ。大統領夫人みたいな言い方で言うんじゃねぇ」

 さりげなく俺と水城が結婚していることにはツッコまないぞ。どうせそっからまた俺のことをおちょくる気だろう、そんなことはさせないぞ。

「ちなみに今のボケはひそかに私と笹塚が結婚しているという二段構えのボケなんだけどなぁ」

 台無しにしやがった。

「ということで、まだまだツッコミのスキルが不足気味の笹塚には私からラブの指導を」

「もう勘弁してくれ……色々言いたいけど俺は佐藤だけで手いっぱいなんだ」

 佐藤はと言うと、まだ教師から怒られていた。

 あのふざけた演説に怒るのも結構だが、俺はその前になぜ鬼ごっこの企画を通したのかを教師に問いたい。まさか本当にあれで買収されたわけではなかろうが……。

 まぁ遊びに命をかけてる佐藤のことだから、何を捨ておいても今回の件は通っていたのだろう。

 ふと気付くと、すでに体育祭開会式は準備体操に入ろうとしていた。そそくさと俺も準備体操に入る。

 音楽が入り、全校生徒の前で俺の右隣では水城が、左隣では西園寺が模範となるべく体を動かす。

 ……西園寺とは、特にあれから何もない。

 何もなかったころのように普通という意味だ。

 ただ、西園寺はかたくなに鬼ごっこに関しては触れようとはしなかった。

 会議で仕方なくということはあっても、基本的には我関せずを今日まで貫いた。

 そういうのもあり、結局今日まであの日西園寺が俺に掴みかかった理由はわかっていない。

 一応こっちとしても西園寺がなぜ怒ったのか知ろうと今日までそれなりに努力はしていた。だが、生徒会ゆえの日々の忙しさに加え、すぐにあの場で西園寺に謝られた手前深く追求することもできなかった。

 本人に聞く以外の方法をとろうともしたが、西園寺は確かどこかの地方から来た学生で、鬼ごっこに何かしらトラウマがあったとしても、それを本人以外に聞くこともまたできなかった。

 お手上げだ。

 まぁ……言い訳だな。

「なにぼんやりしてんだよ、笹塚」

「佐藤か」

 声をかけられ意識を戻すと、もう準備体操は終わっていた。無意識に体を動かすうちに終わっていたようだ。

「俺たちは午前中はサッカーの審判とスコア記入だろ、いこうぜ」

「ああ、わかったよ」

 釈然としない気持ちのまま、俺は佐藤と共に午前中を過ごした。




 ほかの学年は八クラスなのだが、俺たちの学年は一つ少なく七クラスだ。つまり、二学年のみトーナメント形式の競技はシードが発生することになる。

 一週間前に行われた抽選で、クラス代表でもある佐藤は見事に鬼ごっこにおいてそのシードの席を引いた。

 なので午前中のうちは暇で延々とサッカーの試合の審判をするはめになっていたのだが、ようやくその仕事も終わり昼食をとった午後最初の試合。

 それが二年C組最初の鬼ごっこの試合だった。

 どこのクラスもそうなのだが、男女のクラス内の比率は一対一である。男子がサッカーで十一名、女子がバレーボールで六名減ると、クラス内三十二名のうち残り十五名の混成鬼ごっこの比率は必然女子が多くなる。

 男子は基本的にどういうタイプでもある程度は積極的に参加し働くのだが、女子はそうもいかないのも多い。ということで、この競技は活発でやる気のある女子が多いと有利だ。

 一回戦を勝ち上がってきた二年E組は、まさにそういう女子が多いクラスだった。

 まぁこちらも佐藤という一人で十五人分やる気のあるバカもいるのでその辺は互角だろう。

 俺たちはこれから始まる準決勝が子の側、もし決勝にいければ鬼になる予定だ。

 子はゲーム開始と同時に一分間好きに逃げ回ることができ、残り十五分になった段階で鬼が探し始める。

 この一分間でいかに事前に打ち合わせた通りの逃げ方、連携がとれるかが子の鍵だろう。

 鬼ごっこというと幼い印象を受けるが、そこは高校生のやる本気の鬼ごっこだ。一回戦の様子を、鬼ごっこ組の控え室でもあるバレーのやっていない第二体育館で見ていた(試合は何人かの放送部員がカメラ片手に駆けずりまわって撮り、スクリーンで放送している。私立だからできることだろう)水城曰く、「凄まじい」らしい。

 とはいってもけが人は出ていないので、俺たち生徒会が決めた安全のための細かい約束事は守ってくれているのだろう。

 さて。

 そろそろ一分経つ頃だ。

 俺は事前に決めた作戦通り旧校舎三階の真ん中にある多目的室にいた。

 この鬼ごっこは、普通の鬼ごっことは違う点がいくつかある。

 それらをうまく使うのが勝利へのキーポイントだろう。

 アナウンスがわりのチャイムがゲームのスタートを告げる。

「一分経った。やるぞ篠崎」

「うん、頑張ろうね」

 今回は、クラス唯一の陸上部篠崎に頑張ってもらう。

 この学校の校舎は、大きく分けて二ブロックに分けられる。旧校舎と呼ばれる四角いドーナツ型の建物と、一階の長い渡り廊下でつながった細長い長方形型の新校舎だ。旧校舎の中庭が捕まった鬼がとらわれるスペースである。新校舎には特別教室が多い。階段は新校舎が北と南、つまり建物の端と端にあるので合計二つ。旧校舎は四角形の対角線上に北階段と南階段、さらに中央階段の三つでどちらも四階建てだ。

 決して広くない。安全のため教室と一部特別教室しか鍵を開けていないので隠れる場所も多くない。

 子の側が勝つには、つまり、

「さっそくメールだ」

 作戦を駆使するしかない。鬼の作戦を凌駕する作戦で。

 俺は篠崎と共に送られてきたメールを見る。


『こちら市川、作戦通り捕まった。旧校舎には七人いて階段を各一人ずつ塞いでいる。残り四人は教室内を探してるみたいだ。中庭では鬼が一人見張りをしている』


『ちゃんと捕まったよっ。新校舎は階段を北と南、どちらも一人ずつ押さえていて、はじから四人が順番に教室を探してるみたい 森』


「なるほど、旧校舎と新校舎でそれぞれ部隊を分けて下から上に追い詰めていくつもりなんだな」

 人数をかけたしっかりとした作戦だ。これなら、作戦のない子のクラスは逃げることはできないだろう。

「どうするの? 笹塚君」

「任せな。やるからには勝つ」

 俺は鬼がこの三階に来る前にすばやくメールを作成する。


『作戦は旧校舎三階にいる俺の空メールで決行だ。絶対勝つぞ』


 全員に向け送信し、俺はそっと多目的室の引き戸を少しだけあける。

 正面階段はじにスタンバッてるカメラマンはいたが、鬼はまだ見えない。

 おそらく鬼は一階ずつ念入りに捜査し調べるつもりだろう。穴があればそれだけで意味がなくなる作戦なのだ、そうでなければ意味がない。

 俺はじっと引き戸の前で集中し鬼の来訪を待つ。

「ねぇ、笹塚君」

「なんだ?」

「今私たち、二人っきり……だね」

「っ……」

 聞こえなかった。俺は何も聞こえなかったぞ。

「なんか緊張しちゃうな」

 聞こえない、聞こえないぞ俺には何も。けっしてこういうとき女の扱いが分からないわけじゃないぞ。あーあー本当に何も聞こえないっ。

「前にも、こんなことがあったの。中学生のころね」

 聞こえないきこえな……ん?

「興味本位で幼馴染と夜の学校に忍び込んだことがあるの。すごくドキドキして、帰る時もすごくはしゃいでた」

「篠崎、何を言って――」

 ガタガタと。

 正面の階段から誰かが階段を駆け上がる音が聞こえてきた。

「来たぞ」

「あっ……うん」

 何かを言いかけた篠崎だったが、状況を察したのか押し黙る様にしながら俺の後ろにつく。

 ひっそりと再び隙間からのぞくと、間違いなくそれは二年E組の女子生徒だった。

 俺も篠崎もごくりと喉を鳴らす。

 情報通り、目の前の正面階段には一人しか生徒はいなかった。これなら間違いなく作戦は機能するだろう。俺はポケットの携帯の送信ボタンに手をかける。

 ……いまだっ。

 俺は送信ボタンを押し、一呼吸ついたのち一気に引き戸を開けた。

 まさか自ら出てくるとは思っていなかったのだろう、E組の女子生徒の目が驚きに染まる。

 だが、やはりそこは活発なE組女子、次の行動ははやかった。

 俺たちが廊下に足を出した瞬間、捕まえようとダッシュし一気に距離を詰めてくる。

 しかし。

「雪穂ちゃんには触らせないっ」

「篠崎ちゃんにはこの佐藤が触らせないぜ! 生徒会長ブロック!」

 横の普通教室から、作戦決行のメールを受け取った佐藤たちが”わざと鬼に捕まった”。

 自分の両手を塞がれて、女子生徒は困惑する。

 まわりを見ると、俺たちの出現に気づき捕まえようと廊下をはじから走ってきたE組の鬼もまた、今の佐藤たちのように突如周辺の教室から出てきたC組メンバーに行く手を塞がれていた。

「正面階段は通してもらうぜ」

 俺と篠崎はそれぞれ鬼の脇を抜け一階に逃げる。

 安全のため階段は段とばし禁止なので、とばさず必死に駆け下りる。

 その頃にはもう、E組にもこの作戦の意味が分かっていたことだろう。

 このゲームの鬼は、捕まえた子を中庭に連れていくまでは同時に二人までしか捕まえることができない。

 これで俺と篠崎はE組の想定外である一階に逃げ切った。あとはE組がどのような作戦をとろうと、篠崎か、もしくは新、旧校舎四階にいる水城たち4回待機組が逃げ切れるだろう。

 ……水城、あのスタイルで走ると、胸のあれがやばいよなぁ。

「笹塚君?」

「いや、俺はけしからんことなんて考えてないぞ!?」

「何のことかわからないけど……あそこに隠れられないかな」

「ん?」

 にこやかな微笑みで指さされた先は会議室だった。なるほど、普通教室より数倍広いここなら鬼が一人で来ても俺か篠崎が逃げ切れるだろう。まぁ、俺は足が速くないので身を呈して篠崎をサポートするつもりだが。

 二人でそっと会議室の戸をあける。よし、誰もいない。

 戸を閉め、胸をなでおろす。

 その瞬間、後ろからとん、と何かが寄りかかる感触がした。

「篠崎……?」

「一回戦にあったほかのクラスの試合のあとでね」

 有無を言わさぬ口調なのにどこかやさしく、篠崎は言った。

「B組の人が怪我をしたの」

 確か生徒会にも午前中に交代の報告が上がっていた気がする。だが、

「それで、サッカーに出場してた私の中学校のころからの幼馴染が、代わりにさっきの試合で鬼ごっこをしていたんだ。全然走らないからすぐ捕まっちゃったんだけどね、クラスは決勝に進出した」

 篠崎は何を言いたいのだろうか。

「その幼馴染はね、中学生のとき私と一緒に部活で陸上をしていたの。でも、インターハイを控えた三年の夏、興味本位で夜中の学校に忍び込んだ帰り、私が彼の目の前で交通事故にあって……」

 なぜ今、この話をするのだろうか。

「完治はしたの。今でも陸上してるしね。でも、私じゃなくてその幼馴染が走ることをやめちゃったんだ。私の事故がショックだったんだと思う。走ることがだれよりも大好きだったのに、私のせいで……。高校も同じとこにこれたんだけど、私が何を言っても聞いてくれなくて、今じゃ全然話もできていないんだ」

 いや、わかってるじゃないか。

「だから、会長に頼んだの。就任演説の時にすごく頼りになること言ってたから……。そうしたら、このゲームを企画してくれた。機会をくれたの。でも、私が近づくと彼はすぐに逃げちゃう。私はただ、彼ともう一度走りたいだけなのに」

 佐藤が、このゲームを企画した理由は、篠崎雪穂にあったのだ。

「ここまでしてもらって、何も自分でできないのは情けないってわかってる。でも私は彼を……西園寺彰を、もう一度私は彼を走らせてあげたい。一緒に走りたいの。だからお願い、助けてください」

 佐藤は、きっとあの日以前に篠崎に相談されていたのだ。そして、このゲームを思いつき、実行した。

 なんのために?

 決まっている、走ることをやめた西園寺を、彼を救いたいと願う篠崎を、救いたいからだ。

 ああそうか、だからこの企画書を見せてきた日、西園寺はあんなにあわてていたんだ。生徒会室で幼馴染がこのゲームを自分のために相談し、佐藤が企画したとわかったから、走ることをやめた西園寺は怖かったんだ。

 怖いから、逃げた。

 自分はもう走らないと、逃げたんだ。そりゃあ陸上をやらないのはあいつの勝手だろう、そんなことはどうでもいいさ。

 ただ。

 こんなに想ってくれる女性の想いに答えないのは、違うだろう、西園寺。

 幼馴染が目の前で事故にあった。何もできない自分がショックだった。もう俺は走りたくない。

 じゃあそれでいい。

 ……などと思うほど、俺はお人よしではない。

 佐藤は、自分が主導となった遊びに『佐藤のゲーム』という名前を付けている。そして佐藤のゲームには、たった一つだけルールがある。そしてその一つのルールは、佐藤が己に課す絶対のルールだ。

 いや。

 佐藤と……俺が、自分たちに課したルールだ。

「わかった。俺に任せろ」

 そのルールを、俺は必ず守る。



 西園寺。俺は必ずお前を本当に、心の底から楽しませよう。




『西園寺は新校舎一階の科学室にいるはずだよ。これであの時の借りはなしだぜ』


『助かった、サンキュー』


 申し訳なく思ったが、少しズルをさせてもらった。

 こんな密談があっさりできるなんて、携帯とは便利な代物である。というか、別に「前回の」佐藤のゲームのことを借りなんて思わなくていいのに。ありがたいけど。

 決勝戦、俺たちは中庭でゲームスタートを待っていた。

 あのあと結局試合は俺たちがあっさりと勝利した。まぁ事情もわかったし、そんなあっさり負けるわけにもいかなかったのだが。

「さぁ決勝だ! さくっと勝って、俺たちが学年一位だと思い知らせてやろうぜ!」

「相変わらずテンション高いな佐藤」

「当たり前だ、ラーメン丼の値段分の楽しさは追求させてもらう」

「お前マジでラーメン丼で教師買収してたのか!?」

 恐るべし、ラーメン丼。今度俺も食べてみよう。

「まぁまぁ、そーいうのは置いておいて、笹塚ー、私とラブの作戦会議おさらいをしようぜー」

「お前はなんでも会話にラブをいれたら面白いと思ってるのか?」

「え、違うのか!?」

 生徒会、バカばっかりだな。

 佐藤と水城は言うに及ばず、こいつらに付き合う俺も……西園寺も。

「まぁラブはさておき、作戦会議のおさらいは賛成だ。みんな、集まってくれ」

 大きめの声で呼びかけると、クラスの皆が円状に集まってきてくれる。

「作戦の確認だ。まず、俺たちはこの決勝戦で鬼側だ。このゲーム、実は追う側である俺たちはかなり厳しい戦いになる、子のB組は足が速い奴が多いからな」

 B組は篠崎と同じ陸上部の人間が多い。まともに足で勝負するのは危険だろう。

「そこで、俺たちは上から一気に制圧していく方法をとる。つまりE組の作戦の改変型だ。まずゲームスタートと同時に佐藤率いる特殊部隊がここ旧校舎四階にかけあがる。そして上から順にメンバー十人で一気に調べる。時間との勝負でもあるし多少雑でもいい、そして、あえて捕まえずに下へ逃がせ」

 居座るようなら捕まえてもいいが、と付け加えておく。

「三階も同様に調べるが、可能な限り捕まえない。だが、上の階に逃がせば意味がないんだ。階段は上の階への道を立ちふさがる様に塞いでおいてくれ。二人で塞げば、まず下の階に逃げてくれるだろう。そして、二階で一気に子を殲滅する」

 E組の作戦の欠点は、鬼の制限をうまく誤魔化すことができなかったことだ。

 上の階で捕まえても鬼は中庭に戻るまでほかに捕まえることができない。ならば一階で捕まえた方が得に決まってる。

「二階でも上への階段は完璧に塞ぐ。そして一階の階段前で待ちうける水城の部隊と佐藤の部隊が協力して敵を一気に捕まえていく。あとは新校舎も上から調べ、勝負を決める」

 始まりを告げるチャイムが学校に鳴り響く。

「よし、佐藤特殊部隊いくぜ! みんな俺についてこ……て、ちょっと! 隊長の俺をおいてかないで!?」

 全員が自分の仕事を果たすべく一丸となり旧校舎制圧を目指す。

 俺はというと、水城の部隊に一応入っているが、先にやるべきことがある。

「水城、旧校舎の制圧は任せるぞ」

「ん、頑張れよ笹塚、帰ってきたら熱い抱擁をかわそうな!」

「そんな体で抱きつかれたら昇天するから勘弁してくれ」

 ジャージ姿の水城はやばいからな、とくに胸部が。

 まともに顔も見れず、俺は一人新校舎一階科学室を目指す。

 西園寺とは、さっきの試合が終わった後俺と篠崎の二人で歩いている時にすれ違った。

 無言だった。

 目もあわさなかった。

 西園寺、おまえは本当にそれでいいのか?

 このまま篠崎の期待を無視して、高校生活を終えるのか?

そんな答える人間のいない問いを脳内で繰り返し……

 ほどなくして、科学室の前に俺は着いた。

 ふぅ、と一息入れる。そして俺は一気に戸を開いた。

 西園寺は、そこにいた。

 みんなと同じジャージ姿で、俺を待ちかまえるようにそこにいた。

「噂には聞いてたぜ」

 俺が何か言う前に、俯いたまま西園寺はしゃべりだす。

「佐藤のゲームは、困ってる奴を助けるためにやるって話。俺は楽しければ何でもいいって思ってるクチだからそんな噂、どうでもよかったけどな」

 けど、と西園寺は言った後、俺の目をまっすぐに射抜くように見た。

 涙が浮かんでいた。

 俺たちは今、遊んでいるのに。鬼ごっこをしていて、楽しいはずなのに。

 西園寺は、泣いている。

「俺はたとえ遊びでももう走りたくないんだよ、笹塚。雪穂がお前や佐藤に何言ったか知らないけど、俺はもう走っちゃいけないんだ。放っておいてくれ」

「……だったら、なんでここにいるんだよ」

問う。

 西園寺は、泣いている。

 ――本当はもう一度走りたいのに。

「なんでB組の奴の代わりに競技に出た? B組の奴にきいたぜ。お前は,

自分から代わりに出るって言ってきたって」

「……それは、困ってるからしゃあねぇかなって」

「なんで部活もやってないお前が、そんなに強靭な足や体を維持できてる?」

「き、筋トレぐらい、誰だってやってるだろ?」

「じゃあなんで、篠崎を泣かせてる?」

「それはっ……」

「自分に嘘つくんじゃねぇよ。お前は走りたいのに、篠崎を助けられなかった責任を感じたくなくて逃げてるだけだ。『俺は走れない人間だから、あの時助けられなくてもしょうがない』。そんな言い訳をこの瞬間まで続けてるだけだろうが」

「うるせぇよ! お前に何が分かる! 雪穂がはねられそうになった瞬間、気づいていたのに何もできず、ただ見てることしかできなかったことがどれほど情けなかったか、お前にわかるか!?」

 幼馴染に迫った脅威に、おそらく直前になって西園寺は気づいたのだろう。

 でも、動けなかった、足がすくんだ、怖かった!

 俺は一歩ずつ西園寺に歩み寄る。

「そんなもの、情けなくも何ともねぇよ」

一歩。

「俺たちはアニメや漫画のヒーローじゃねぇんだ」

 また一歩。

「勘違いしてんじゃねぇ。俺もお前も物語の主人公じゃないんだ、かっこよく助けることなんてできるわけねぇだろうが!」

 そして。

西園寺の目の前にたどり着く。

 そして俺は、思い切り拳を西園寺の顔面に突き出した。

顔面に向かってくる拳に、西園寺は息をのむ。

「ただ、情けなくはないが、お前はかっこ悪い。篠崎に何かするわけでもなくただ悲劇の主人公を気取って泣かせ続けたお前は、かっこ悪い男だ」

「笹塚……」

「今からでも遅くない。篠崎はお前を責めてなんてないんだ。あいつの願い、お前なら分かるはずだ。叶えてやれよ」

 拳は、西園寺の手前で止まっていた。

 俺は踵を返し、廊下に出ようと歩きだす。

「なんで、殴らなかったんだ?」

「本当は殴ってもよかったんだけどな」

 首だけを俺は西園寺に向ける。

「今は鬼ごっこの最中だから、触ったらお前を捕まえちまうのよ。お前を捕まえるのは俺の役目じゃないんだよ」

そういって首を元に戻し、戸を開けた。

「楽しめよ西園寺、佐藤のゲームは救うためだけじゃなく、それ以上に楽しむため、笑顔になるためにあるんだから」

 そう言って、戸を閉める。

「……やっぱり来てたか」

 戸を閉めた俺の横には、涙を浮かべる少女が一人。

「あとはお前の仕事だ、頑張ってくれ。それと、佐藤のゲームの参加者はみんな楽しまなきゃいけないんだ。だから、泣いてないで笑ってくれな」

 涙は止まらない。それでも、俺とともに歩きながら、依頼人の少女は笑った。




 旧校舎の制圧は見事成功し、五人ほどB組の生徒は捕える事が出来た。

 俺は水城たちと合流し新校舎へと作戦を展開する。

「おっしゃこの調子でいくぜっ。佐藤部隊とつげ……なんでみんな市川についてくの!? 隊長俺だよ!?」

 俺の見守る中、なぜか隊長は部隊最後尾で新校舎北階段を駆け上がっていった。

 人望はあるはずなのにいじられキャラで生徒会長でバカ。なんていろんな属性をもつ男なんだろう佐藤は。

俺なんてメガネしかないぞ。

「笹塚には私という最強の属性があるだろー?」

「お前俺の心が読めるの!?」

「なんでそんな当たり前のことを聞くんだ笹塚。私は私という最強の属性についてのツッコミを待っていたんだぞ~?」

 こいつには一生ツッコミが追いつく気がしない。発言のほとんどが二つ以上のツッコミ所をもっている。なるほど、確かに最強の属性かもしれない。

「ちゃんとツッコミを間に合わせてくれる佐藤がいかに優秀な男かよくわかったよ。そんなことより、誰か下りてくるかもしれないんだ、しっかり見張っておくぞ」

「おう、任せとけ~」

 そんな言葉とともに、水城は集中モードにはいる。

 にしても、いやにあっさり制圧が成功している気がする。俺の作戦がたまたまうまくいったというだけならいいが、何かがおかしい感じだ。

 俺はじっと階段の上を見つめ、佐藤たちが敵をいぶりだしてくれるのを待つ。

 動きがあったのは、残り時間が四分を切ったあたりだった。

「うおおぉ!」

 ダっと踊り場にB組の茶髪の男が姿を現す。

 いや、一人じゃない。数は……五か?

「森、北階段応援にきてくれ、人が足りないっ」

 俺と水城は突進してくるB組を見据え待ちかまえつつ、南階段から叫んで応援を呼ぶ。

「任せてよっ」

 俺の要請がきこえた森が南階段からダッシュしてきてくれる。

 しかし、B組は俺たちに捨て身の突撃をしてきたわけじゃなかった。

「なっ……」

 茶髪は、俺たちの手が届くギリギリの範囲で止まった。

 そしてにやりと笑い、そのまま今度は階段をのぼっていく。

「佐藤、上で捕まえてくれっ」

「え、俺たちまだ三階だぜ!?」

 大声で叫ぶと、佐藤からはそんな返答がきた。

 まさか、俺たちが子のときと同じように包囲網を強引に突破しにきたのだろうか。

 俺たちは中庭に見張り役をおいていないので確証はないが、おそらく捕まった奴らが俺たちの作戦を携帯で伝えたのだろう。

「笹塚、またきたぞっ」

 水城の声の通り、またも茶髪の男を先頭にB組が下りてきて仕掛けてくる。

「くっそ」

 階段には上がらず手を伸ばすが、絶妙に届かない位置で茶髪はとまる。

 B組が何を仕掛けてくるのかわからないが、このままではまずい。

 直感した俺は、階段に足を踏み出す。

 茶髪は一瞬驚いたような表情をしたが、俺の手が届く寸前にひらりと身をかわした。そしてまた上へ。

「逃がすかよっ。水城と森、一階は任せたぞ」

 北階段は、捕まえた子が捕えられている旧校舎に近いほうの階段だ。ここを抜かれて万が一捕まえた子を逃がされたら敗北は必至。俺が抜けることは避けたかったが、作戦に固執しすぎることはしたくない。

 俺は階段を上がり、二階で茶髪とその他メンバーを探す。

「笹塚君っ」

「篠崎か。どうした?」

 呼ばれたので振り向くと、そこには篠崎がいた。

 さっきのようなことがあっても、直接西園寺と話していないので不安なのだろう。笑顔にはまだ少し陰りがある。

「会長に笹塚君を助けてやれって言われて……」

「おう、助かる」

 佐藤の奴、なかなか気が利くじゃないか。

 俺は佐藤に珍しく感謝しつつ、篠崎と視野の広い位置へと移動しあたりを見渡す。

 ……いた!

 今度は南階段から責めようとしているのか、廊下を五人で走っている。俺と篠崎もとっさに後を追う。

 南階段は旧校舎からは遠い。中庭の子を助けるつもりなら俺たちのいる北階段を抜けるしかないはずだ。なのになぜ……?

 答えが出る前に茶髪たちは廊下端にたどり着き、南階段を責めるべく侵攻を開始する。

 はずだった。

「い、市川っ」

「佐藤の要請で下りてきた。捕獲完了だ、笹塚。これで残りはこいつらを除き五人だ」

 三階から下りてきたのだろう、市川やほかのクラスメイト数人が上から突如現れ、一気に敵を殲滅した。

「さすが市川だな」

 まだ距離があるので叫ぶように言うと、市川は照れたような顔を浮かべる。可愛い奴だなぁ男なのに。

 しかし、一体B組はどういう作戦なのだろうか。残りは五人、おそらく狙いは旧校舎の子の開放のはずなのだが、さっぱりその目標の為の作戦が分からない。かと言って残り時間は二分をきってる、今から中庭に人員を配置したらこの新校舎の制圧が間にあわない可能性がある。

 俺は頭を回転させ最善を探す。が、だから一瞬遅れた。

 後ろ横の教室から廊下に出る足音に気づくのが遅れたのだ。

「笹塚、篠崎!」

 市川の声にとっさに後ろを振りむき手を伸ばす。

 届かない。

 篠崎も同様に誰も捕まえる事が出来ていなかった。

 俺と篠崎は鬼らしく追う形で階段を下りる。

 踊り場まで下りると、一階では水城と森がしっかりと責務を果たし四人捕まえていた。

「一人逃がしたか、くそっ」

「何言ってるんだー笹塚ー。私と森ちゃんで四人全員捕まえたぞー?」

「……え?」

 四人で全部? そんなバカな。だってあと一人。

 西園寺がまだ見つかっていない。

 篠崎に続き俺があわてて階段を降りようとしたとき、佐藤の声が頭上からきこえてくる。

「笹塚! 生徒会室のダストシュートだ!!」

 次の瞬間、一階から勢いよく戸が開く音が聞こえた。

 生徒会室にあるダストシュートは、設計ミスで一階につながっている。公にされているものではないので、ルールで禁止もしていない。

「……そういうことか、西園寺」

 勝負に勝つだけなら、今ので勝負はついていた。おそらくこうやってC組を分断し、俺たちと同じように一気に強行突破を図る策だったのだろう。

 だが、西園寺はそうしなかった。

 廊下を誰かが全力疾走する音が耳に入ってくる。

「篠崎。どうやら、これがあいつの答えらしいぜ」

「あ……」

 音が聞こえる。走る音が。あいつの答えが。

「走れよ、篠崎。夢だったんだろ?」

 目の前を、西園寺が通り過ぎる。

 西園寺は、俺たちと……いや、篠崎と勝負することを選んだ。

 一緒に走ろうと。

 西園寺は俺たちの前を通り過ぎた瞬間、笑っていた。

 楽しそうに、うれしそうに。

「あいつと一緒に、走ってこい」

 篠崎も、走り出した。

 篠崎が追い付けばC組の勝ち、西園寺が逃げ切ればB組の勝ち。

 だがきっとこの瞬間、あの二人はそんなことを考えてはいないのだろう。

 『佐藤のゲーム』はそれでいい。

 参加者がゲームを楽しみ笑顔になれるなら、それでいい。




『皆が楽しめるテーマパークをつくる?」

『あぁそうだ! 俺はお前が好きだぜ、笹塚。だからこうして、お前にだけは言っておく! 俺は、必ずどんな人でも楽しめるテーマパークをつくって、皆が笑顔になるゲームをたくさんつくる!』

『そのために、佐藤は学校でゲームをするの? 絶対無理だよ、そんなの』

『無理じゃない! ちゃんと学校でもできるゲームだ! それに、俺はそうやって、いろんな人の笑顔がみたいんだ! だから協力してくれ、笹塚!』

『……わかった。でも、絶対につくるって、約束だよ』

『もちろんだ! 絶対につくろう! じゃあまずは、笹塚から笑顔にしよう! ちょっとまっててくれ、すぐもどる!』

『うん、期待して待ってるよ!』




 体育祭も無事に終わった週明け。

 うたた寝をしていたらしい俺が目を開けると、目の前には佐藤が弁当片手に立っていた。

「珍しいな、お前が居眠りなんて」

「どこかの生徒会長が逃亡するから、そいつの分まで仕事をしていて今日は寝ていなかったんだ」

「ごめんなさい」

「許さない」

 そんないつも通りの会話をしながら、机をつけて弁当箱を広げる。

「ところでさ、笹塚」

「許さないって言ってるのになんでお前は平然と話を変えるんだ」

「まぁまぁ。ほら、購買で何か買ってきてやるからさ」

「ったく。コーヒーな」

「オッケー」

「で、ところでなんだよ?」

「あー、買ってきてから言うわ」

 眠い目をこすっている間に、佐藤はとっとと教室から出て行ってしまう。

 ……懐かしい夢を見た。あれは小学校低学年のころだったろうか。

 思えば、俺と佐藤の縁はここから始まっていたのだろう。

「佐藤はいないのか? 笹塚」

「西園寺に篠崎じゃねぇか。どうやら、仲直りはうまくいったみたいだな」

 肩が触れそうなくらい近い距離の二人を見つつ、俺はおかずの卵焼きを口に放る。

「うん、本当にありがとう笹塚君」

「何言ってるんだよ、俺は何もしちゃいないさ」

「お前俺のこと殴ろうとしただろうが」

 にこやかに笑いながら西園寺は俺の肩に手を置いてくる。すこしこそばゆい。

「あんなの何かしたうちに入らねぇよ。俺は佐藤のゲームの中で、自分の役割をこなしただけだ」

「役割って?」

「デバッカ-ってとこだな。佐藤っていうディレクターの指示で、お前らみたいな楽しめてない連中を笑顔にすること。楽しめてないってバグをとる仕事さ」

「佐藤の奴、俺らをバグ扱いとは……」

「ま、ちょっと言い方は悪いけど分かりやすいだろ? でも、デバッカ-の仕事量とディレクターの仕事量は段違いだ。お前も篠崎も、本当に俺なんかより佐藤に感謝した方がいい」

 そう言いつつ、俺は水筒の最後の一杯をごくりと飲み干す。

「うん、そうだよね。感謝しないと」

「でもよ、あいつって今回鬼ごっこを企画して通しただけだろ? 確かに大変だったとは思うけど、段違いってほどでもないんじゃ」

「……おいおい、本気で言ってるのか?」

 そう言いつつも、内心は納得していた。

 佐藤は自分のしたことを自慢する男じゃないから、助けてもらったたいていの人間が同じような感想を抱くのだ。

 佐藤の仕事量は段違いなのだ、本当に。

「当日あいつ色々してたんだぜ? まぁ色々ありすぎるから分かりやすいところだけ説明するが、西園寺、なんでお前は最後にダストシュートを使った?」

「いや、そりゃ普通にあそこを使えば旧校舎にいけるって思ったからだけど……」

「そこから違う。あの時、お前佐藤やほかの奴に追われて生徒会室の方まで追い詰められなかったか? お前が最初からダストシュートを使うつもりだったにしても、ほかの教室にいけるルートは多分なくなってたはずだ。ひょっとしたら、佐藤が試合中に大きめの声でダストシュートについてしゃべったりしてたの聞いたりしてないか? お前がダストシュートのこと、すっかり忘れてるかもしれないからな」

 心当たりがあったのだろうか、西園寺が少しだけ黙りこむ。

「た、たまたまだろ?」

「じゃあ次は篠崎にきくが、佐藤に言われたんだよな? 俺と合流するように」

「そうだけど……」

「いやにタイミング良かったよな、ここしかないってタイミングで市川たちがB組を捕まえたり、俺たちが階段を下り切った瞬間に西園寺が目の前にいたり。あの時確か、佐藤が叫んだりしてたよな」

「…………」

「極めつけはあれだな、怪我したとかいって、西園寺と種目変わった男がいただろ? 篠崎と西園寺は怪我したって勘違いしてたみたいだけど、あいつあのあとピンピンしてサッカーやってたぜ」

 生徒会に報告があったのは種目を変えたいっていう届け出だけで、怪我をしたからなんてのは微塵も言ってはいなかった。

「……嘘だろ?」

「さぁな。ただ、そのB組の奴、あいつも前に佐藤のゲームで色々あった奴だったってのは教えておくよ」

 その言葉に、二人とも何も言わなかった。

 おそらく俺が気づいていないだけでほかにも佐藤は色々手を回していたのだろう。

 バカなのに、遊びに命をかけてる男なのだ。

 もしもこの生活が漫画やアニメの話なのだとしたら、きっと主人公はあいつだろう。間違いない。

「ちょっと私、会長探してくるね」

「お、俺もいくわ」

 そう言い、二人は教室から出て行ってしまう。

 そして、入れ替わる様に逆の戸から佐藤が帰ってきた。

「タイミング悪い男だな、お前も」

「何のことだ? まぁいいや。で、さっきの話だけどさ」

 俺の前にコーヒーを置きつつ、佐藤は自分のオレンジジュースに口をつける。

「笹塚、俺はお前を楽しませることができているか?」

「…………できてるよ、ちゃんとな」

 さっきの夢の続き。

 俺はあのあと、結局何をされても佐藤から笑わされ笑顔になることがなかった。

 面白くないわけじゃなかった。むしろ、何度も笑って笑顔になりそうだった。

でも、幼いながらにわかっていたのだろう。笑うわけにはいかないと。


ここで笑顔になったら、俺は一生、佐藤と対等ではいられないと。


 そして、それから佐藤の夢は二つに増えたのだ。

 一つはテーマパークの建設。

 もう一つは。

 俺を笑顔にし、楽しませること。

「本当か? あの時の約束、俺は絶対守るからな!」

 そう言って佐藤は、びしっと人さし指を突き出す。

 この言葉が、いつも俺にとって、1つの佐藤のゲームが終わったことを実感させるセリフだった。

「お、なんだなんだー? 佐藤、笹塚は私のものだぞー?」

「お前どっからでてきた!?」

「私はいつでも笹塚のそばにいるぞ。心配なら首輪をつけてくれてもいい。だからさぁ、私とラブの誓いを――」

「いい加減そのラブ言うのやめろ! 俺はそろそろ自制できる気がしないぞ!?」

「なんてうれしいことを笹塚。さぁ私と一緒にラブの階段を――」

「くそっ、佐藤、あとは任せた!」

 俺は教室を飛び出す。水城のこれもまた、いつものことなのかもしれない。

 鬼ごっこの時のように走って逃げる。

 そうやって逃げる俺は。

 この生活が大好きな俺は。

 きっと今、心の底から笑顔になっているのだろう。

 誰よりもあいつと対等でいたいから、顔には出さないけど。

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佐藤のゲーム @tanakayama-crow

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