往こう、黒い輝きを放つ森へ。


 光あらば影があるように、主人公がいるところ、悪役あり。

 豊富な例によって示される「悪役」像は、読者に納得と驚きを与えてくれることだろう。

 創作の参考だけでなく、純粋に読み物として面白い一作。



 悪役の無双に心躍ったことはないか?

 悪役の理屈に頷いたことはないか?

 悪役のあまりの非道さに、清々しさすら覚えたことはないか?


 ある時は物語のきっかけとして、ある時は主人公のイフとして、ある時は作者の代行者として、彼らは存在する。

 正義とは、悪とは……といった堅苦しい議論は本作にはない。

 エンタメとして必要不可欠な、憎らしくも離れがたい悪役の説明に徹している。

 後半になると、悪役のデザイン方法や陥りがちなバッドプラクティスまで深堀りがされていく。

 是非とも本作を通して、人の「癖」を歪める魅力的な悪を探求してほしい。

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