誰でも書ける時代になったからこそ、膨大な数の見えない墓標がそこかしこに乱立する。
書くなとは言わないが、書き始めたら責任を持って書ききれ、とは常々思う。
私はほとんど思い描いた者たちを途中で放棄したことはない。
仕事で文章を扱っていた頃、放棄せざるを得ないことは多々あったけれど。
ただ、物語を書いていると、どうしても不要な部分、削った方が美しいという場面には遭遇する。
あのキャラクター、あのシーン、あの設定、あの展開、あの関係、あのトリック、あのセリフ、あのギミック、あの世界観……間引きされた彼らは、どこへ行くのだろう。
少し趣旨は違うかもしれないが、そんなことを考えた。