まんじゅう転生

食べられません@VEKixXsFvlSQ

1

 ある所にホカホカの蒸し立てまんじゅうがいました。


”なんじゃこりゃー!?”


「何ってまんじゅうですよ、って言ったじゃないですか」


”だからってまんじゅうに転生させるなんて…… だましたなコノヤロー!!”


 悪魔に異世界転生を持ち掛けられた男はまんじゅうに転生させらてしまい、そのことでまんじゅうは怒りましたが、悪魔はどこ吹く風でまんじゅうを他のまんじゅうと箱詰めして売ってしまいました。


「よい、まんじゅう生活ライフを……ぶふっ」


 悪魔は噴き出しながらまんじゅうを見送りました。


 それから彼は売られた先の老オークのおやつになり、紅白まんじゅうになれば快気祝いのゴブリンに食べられ、アイスまんじゅうになれば雪男の手土産として食べられました。


 何度食べられてもまんじゅうに再転生するように悪魔が呪いをかけていたのです。


 悪魔はほんの気まぐれで男をまんじゅうに転生させたので、3日もするとそのことも忘れて悪魔大学をサボって麻雀にふける自堕落な生活にもどりました。



 数年たって留年していた悪魔のもとに父悪魔が倒れたと知らせがあり、悪魔が大慌てで駆け付けると父悪魔は喉にまんじゅうを詰まらせて死んでしまった後でした。


「オヤジ!? ああ、今後の学費どうしよう…… 働かないと行けないのか?」


 悪魔が嘆いていると母悪魔がもってきた葬式まんじゅうが言いました。


”久しぶりだな”


「お前は!? まさか」


 葬式まんじゅうはかつて悪魔が呪ったまんじゅうでした。 そしてまんじゅうは父悪魔の喉を詰まらせたのは自分であることを話ました。


「いったいどうやってここに?」


”年配の方はまんじゅうが好きだからな、葬式まんじゅうでのどを詰まらせて亡くなった人の葬式からさらに葬式まんじゅうとして次の葬式へ…… そうやって魔界を渡り歩いてようやくお前の家に葬式まんじゅうとして来たのだ”


「お、おのれ」


 悪魔はまんじゅうを捨てようとしましたが、まんじゅうは笑いながら言い続けます。


”無駄だ、何度捨てられようが食べられようが転生して戻ってくるぞ。 そうしたのはお前じゃないか? 次はオフクロさんの喉を詰まらせてやろうか”


「そんなことまで、ちくしょう」


 悪魔はまんじゅうを恐れ、元の世界の人間として転生させて呪いを解きました。



 人間にもどった元まんじゅうは事の顛末を本にしてひと財産築きました。


 悪魔はそれ以来まんじゅう恐怖症となり、それから悪魔除けの呪文として『まんじゅうまんじゅう』と唱えると悪魔の呪いを避けれるようになりました。


――まんじゅう転生 おわり――

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