第95話「塗り壁 -富由とパッチ-」

 トラに勝るとも劣らない筋骨隆々の体格!コンバットナイフのような強大な牙!

 しかしヒゲはあるが毛皮も耳たぶもなく、箱のような角ばった頭を持ち、四肢を左右に這いつくばらせるこの動物はサーベルタイガーではない。

 この動物園から唯一のトラが旅立つと同時に私が就職し、それから数年。空いた施設を整備したところにやってきたのは、恐竜時代よりずっと前の地上の支配者だった。

 来園者みんなが見たことも聞いたこともなかった、でなければ海外の動物園にいるのを知って憧れていた肉食動物、イノストランケヴィアだ。

 土の放飼場はいくつか石垣の段差がある、広くて立派なものだ。石垣の合間から生えたシダが残暑の日差しに照らされてしおれかかっている。

 しかしイノストランケヴィアの「オーバー」はこんな暑さはなんでもないというように這いまわる。

 オオトカゲみたいというお客さんの声も聞こえるが、オーバーの背中にオオトカゲのような鱗はなく、黄褐色をした厚くてしわだらけの皮膚に覆われている。

 何を思ったのか、オーバーが駆け足になり、またすぐに止まった。

「今急に身軽そうだったね」

 どよめくお客さん達の中から聞こえてきた。オーバーが走るときだけ体を高く持ち上げることに気付いた人がいたみたいだ。やったぜ。

 イノストランケヴィアは爬虫類でも哺乳類でもない……が、どちらかというと哺乳類に近い「単弓類」の一員だ。

 えーっ、こんなの見たことない、という声がいくつも聞こえてくる。お客さんはみんな、不思議であり立派でもある未知の肉食獣に驚かされている。

 オーバーはまた高く伸びあがって、高々と持ち上げた口を大きく開いてあくびをした。ぴったりと閉まっていた唇が裂け、三日月の牙が日差しの中で白く光る。

 感嘆の声を聞き流すオーバーは、針葉樹やイチョウ、その下を固めるシダを背景にして、まるでこっちと遠く離れた太古の世界にいるようだった。

 こっち側の世界にガラガラとこっち側らしい音が鳴る。引き締まった体の壮年男性が荷車を引いて、放飼場から離れた端を通ってくる。

 植木の世話を担当することが多い市田さんが、普段あまり通らないこの道をわざわざ通って、園内の木々から切った枝を運んでいるのだった。

 オーバーだけでなく放飼場やお客さんを見渡してにやにやと笑う。市田さんはここを仕上げるために植物の歴史を学んだのだ。

「へへ、うまくいったなあ」

「めっちゃ良くなりましたよ」

 市田さんは手を振りながら荷車を引いていく。


 市田さんの頑張りのおかげですごい風景になったのは確かだ。市田さん主導で作業したらしぶとい竹や笹がごっそり退治できて、二億五千万年前の植物っぽく見えるものに植え替えることができたのだ。

 しかし日本で初めてイノストランケヴィアを呼び寄せられた大きな理由は、近縁種の実績だ。

 閉園時間が近付き、オーバーはのんびりと獣舎の中に帰っていく。この獣舎は大きな展示館の一部だ。

 私もそろそろ中で他の動物……単弓類が寝部屋に帰っていくのを監視する時間だ。

 入口に周ると背鰭のある動物が「恐竜じゃないぜ!」と叫んでいるベニヤの立て札が立っている。

 門の上には「ごせんぞ館」という文字が掲げられている。園内にひしめく動物達、つまり哺乳類のご先祖様だと言っているのだ。

 入るとすぐ、そうとは思えないような奴がガラスの向こう、岩で仕切られシダが植えられた中に現れる。

 外で恐竜じゃないと念を押していたディメトロドンだ。

 ワインレッドの半楕円が立っている。ディメトロドンの「パッチ」の背に生えた帆だ。

 背骨の突起が伸びてうちわのように帆を支える小骨になっている。先のほうはほんの少しだけ帆の膜からはみ出して棘になっている。

 そんな帆の持ち主は、全長三メートルの巨大なオオトカゲのように寝そべっている。イノストランケヴィア以上にトカゲ然としていて哺乳類っぽさは少しもない。ただ鱗はやはりなく、細かいしわの刻まれた皮膚だ。

 頭は赤褐色で、大きくて高く、いかにも噛む力が強そうだ。ぴったり閉じた口は深く裂け、黒く丸い目が頭の後ろのほうに光る。

 手足は長いとは言い難く、胴体の左右に引き縮められている。パッチはそのままの姿勢で、保温用のライトを脇腹に浴びて動かない。

 いかにも太古の生き物という姿だ。恐竜が太古の生き物の代表になっているなら、ディメトロドンを見て恐竜だと思うのはまさに太古の生き物のイメージどおりだからだろう。

 ディメトロドンの隣のスペースにいるエダフォサウルスも、パッと見の印象は同じだ。赤い帆のある巨大なトカゲ。ライトに当たったまま動かないところまで同じだ。

 ただちゃんと見ていくと色々違っているのが面白い。

 まず何より目立つのが、前後に長い帆にオレンジ色の水玉模様がある。しかも水玉の一つひとつが出っ張っている。こいつはド派手だ。小骨から横向きの短い枝がいくつも出て出っ張りになっているのだ。

 帆はそんななのに薄い緑の顔はリクガメかイグアナのように小さく大人しいのが面白い。

 手足はディメトロドン以上に短く、尾は丸太のように太い。

 嘘みたいだがディメトロドンとエダフォサウルスは同じ時代、同じ地域にいた一番大きい肉食動物と草食動物だ。

 一番大きいのが揃ってこんななのは変な世界すぎる。これが二億八千万年前だ。私もここに就職して初めて知った。

 通路を進んで、二千万年後のリカエノプスになると急にまともな動物に見えてくる。イノストランケヴィアのミニチュアみたいなものだが、灰色をした、耳がないガニ股の大型犬という感じだ。

 メスの「スズ」はまだ寝部屋の扉が開かないのかとそわそわ走り回り、オスの「ライス」は床下にヒーターが設置されているところに腹ばいになって離れない。

 ただスズの前足はほぼ完全に、後ろ足もだいぶ、ガニ股になっている。ライスも体を丸めたりせず、ディメトロドンと同じポーズを取っている。やはり犬とは違うのだ。

 本当はディメトロドンにも床面ヒーターがいいと思うが、これは以前の見込み違いによる……。

 スズが落ち着かないのは、帰るのを誘うために寝部屋に置かれた肉が待ち遠しいからだろう。かなり食欲がある。

 また産卵が近いのだろうか。

 見込み違いがあったとはいえ、三種とも卵を産んで無事孵り、育った実績がある。これがイノストランケヴィアを呼ぶ決め手となった。

 ごせんぞ館にはまだ二階があるが、そちらは小さめの生き物の部屋で、閉園後も同じ場所で過ごすので寝部屋に帰す作業はいらない。

 閉園のチャイムが館外から聞こえ、業務用スマホが鳴る。

「ディメトロドン、パッチからお願いします」

「はい。ディメトロドン、パッチから監視します」

 裏にいる市田さんに返答する。パッチは頭を上げた。

「扉を見てます。開けてくださーい」

「開けまーす」

「どうぞー」

 密に連絡を交わした上で市田さんが扉を開くレバーを動かす。

 重い扉がスライドし始めると、パッチは起き上がり、きちんと体を持ち上げてすたすたと歩き出す。ガニ股な割に軽快なものだ。

 パッチの細長い尾の先端が扉のレールを通り過ぎて充分経ったのを見届けて、

「通過しました。閉めてくださーい」

「閉めまーす」

「どうぞー」

 再びきちんと連絡した上で扉が閉まり、内扉に対して同じことを繰り返しているのがスマホから聞こえる。猛獣の取り扱いだ。

 リカエノプスにも同じ手順を行う。やはりスズのほうが率先して帰っていき、ライスはのそのそとついていった。

 しかし腰が重いのはなんといってもエダフォサウルスのザクロだ。寝部屋には大好物のツクシの束が置いてあるのに、扉を開けてもちょっと首を動かすだけで全然動かない。

 まあエダフォサウルスは猛獣とは言い難いのでこのまま掃除などの作業をしながら移動を待ってもいいのだ。

 裏に周って市田さんと合流し、扉が確実に閉まっていることを確認してから場内の掃除を始める。

 まずはディメトロドンの運動場から、ただ糞を回収したり床を洗ったりするだけではなく、気になるところがないか細かく点検していく。

 何も壊れたりはしていないが、ここには確認しておきたいことがあった。

「ライトの向きってこのままでいいんですよね?検証終わったんで」

「あー、そうだったね」

 市田さんはメモを確認して答えた。

「やった」

 パッチが保温のために脇腹に浴びていたライトである。


 以前はライトがやけに高い角度に向いていて、ディメトロドンやエダフォサウルスが体に当てるには少し離れないといけなかった。しかしそれでは結局あんまり温まらない。

 そのせいでパッチもメスのガルシアもエダフォサウルスも、いつものそのそとしか動き回れず、場内の岩や植え込みの隙間に餌を隠しても探しきれなかったのだ。

 それで私が当番になるたびに下に向けていたのだが、他の人が戻してしまうのだった。

 そのうちディメトロドンが活発な日とそうでない日があることに皆が気付き、きちんと検証した結果、ライトを下に向けた日のほうが活発で、しかも異常な行動をしているのではないとはっきりした。

 が、ライトを元の向きに戻していた他の飼育員や園長は不思議そうにしていた。


「帆を温めないといけないはずなのになんでだろう?」

「体を温めるライトじゃないんすか?」

「この帆は体温調節をするためのものって考えられてて」

「こんな赤くて派手なのがそんな実用品なわけなくないすか。真っ黒いほうがいいですよ」

「色んな古生物がそう考えられてるんだけど」

「現生の爬虫類、いやまあ外温動物か、そんなのいないすよ」


 そこでごせんぞ館とは別に園内にある爬虫両生類館に集まり、イグアナやアノールがデュラップ……喉の下にある垂れ幕をすぼめたままライトに当たっているのを見て、みんな腑に落ちたのだった。

 先入観のない目で見て動物のためになることに気付いてくれたと誉められたが、むしろみんなちょっと動物のやることをちゃんと見ていなさすぎじゃないだろうか。そのときはそんな風に思った。


「でもまだやっぱあれだね」

「ですねー」

 ライトのこととは別に心配なことが的中しつつあった。

 隠した餌をまだ食べ切っていないのだ。

「扉に近い側は食べてあるんですよねー」

「そっちのほうが難しくしてあるのにね」

 寝部屋の扉から一番遠い位置の肉なんかもう、扉のそばから目で見えている。ガルシアだったらここまでのやつはさすがに見逃さないのだが。

 パッチから見てどうかということがまだ分かっていないのだろうか。

 ディメトロドンの運動場の掃除を終えてリカエノプスのほうに移ると、そっちに隠した餌は全て食べ切ってあった。これは大半スズの仕業だ。

 単にパッチが小食なだけなのだろうか。


 数日後。

 ちょっと手すきになったところで園長に呼ばれていたのを思い出し事務室に向かった。

「オーバーのおかげでごせんぞ館に寄るお客さんが増えたみたいでねえ」

 園長が差し出してきたのはお客さんが感想箱に入れた用紙だった。五枚以上ある。

「あー、これ全部ごせんぞ館のですか。増えましたねえ、あ、これなんか似顔絵描いてある」

 出口のところで子供が思い出して描いたものだからなんか違うが、牙のある大口でオーバーだと分かった。続けて見ていく。

「こっちはエダフォサウルスのほうがかっこいいって言ってますね」

「渋いわねえ」

 ちょっと分からないでもない。帆の形がすごいし顔付きがシャープだ。

「この日出てたの、メスのカボスのほうですね。赤より緑のほうが好きなのかも」

 エダフォサウルスのオスの帆は赤いがメスの帆は黄緑色だ。

「よく覚えてて偉いわね」

 なんとなく言っただけだったのだが誉められた。

 用紙は最後の一枚になった。

「ディメトロドンとイノストランケヴィアどっちが強いですか、かあ」

「どう思う?」

「いやー意味ないっすね」

「あら」

 普段からこういうのに対して思っていることが出てしまった。

「あ、本人達にとってですよ。ペルム紀前期のアメリカにいたディメトロドンと後期のロシアにいたイノストランケヴィアが争うはずないですから」

 園長は微笑みながらうなずいていた。そして、

「私はイノストランケヴィアが勝つと思うわ」

 などと無邪気に、しかし大真面目に答えた。

「まあ、イノストランケヴィアのほうが大きくて素早いですからねえ」

「そうだけどそれだけじゃないの」

 園長はやはり真面目な顔をしている。

「どっちが強いか考えるために観察するっていうのも新しいことが分かっていいかもしれないわよ」

「うーん、そうですかねえ」

「それにこれ、ディメトロドンにも注目してもらってるのは嬉しくない?」

 それはそのとおりだった。これを書いた子は新しくやってきた目立つ動物であるイノストランケヴィアだけでなくディメトロドンにも注目して比較しようとしたのだ。

「私ねえ、昔からディメトロドンとかエダフォサウルスが暮らしてるところを見てみたくって動物園の仕事を始めたのよね。ほらあの絵」

 事務室の壁には横長の古めかしい絵がかかっている。

 青空の下、湖のほとりに緑色のディメトロドンが何頭もいて、その中にエダフォサウルスが一頭しれっと混ざっている。何か分からないが他にもイグアナめいた小さな動物の群れがいる。対岸には木生シダや針葉樹が生い茂っている。

「これがここで実現してるからには色んな姿をみんなで見ておいたほうがいいと思うのよね」

「まあそれはそうですね」

 明らかにディメトロドンの色が分かるより前、っていうか百年とかそのくらい前に描かれた絵に見える。

 私にとっては子供の頃から動物園にいるものだが、昔から見てみたくてしょうがない人達がい続けたということか。

 そのありがたみを考えろと。

「質問には私から答えてお返事を出すことになってるから、それまでに意見聞かせてくれたら嬉しいわ」


 パッチが隠した餌を食べるか食べないかっていう心配事もあるのになと思いながら、ごせんぞ館の二階の見回りに向かった。

 餌をあげる日ではないので観覧通路からだ。

 一階と比べて狭い間隔で仕切られた運動場や、覗き窓が一列に並んだいわゆる汽車窓式の展示で小さめの生き物を見せるフロアだ。

 そしてその中にいるのは単弓類だけではない。ディメトロドンの時代やリカエノプスの時代にはもっと色々な動物がいた。

 例えば比較的広いスペースをもらっているものの一つ、セイムリア。

 黒いウーパールーパーみたいなものが浅い水中に何匹もいる。これは幼生、いわゆるオタマジャクシだ。他の動物園からもらってきた卵から生まれた。

 そこからスロープになった岸でつながった陸にも、似たようなものがたたずんでいる。そっちは尻尾が短くて皮膚も体付きも丈夫そうだ。

 無事成長してくれて、もう産卵のとき以外水中に戻らなくなったのである。

 セイムリアは両生類ということになっているが爬虫類にかなり近く、成長すると陸でだけ暮らす生き物だ。

 こういうものから爬虫類が生まれたんだろう。壮大な動物の歴史の一端を目の前の小さな生き物が実演してくれているみたいで、なんだか嬉しくなる。

 もっと立派に育って、卵を産むために水中に戻るところを見るのが楽しみだ。

 単弓類は単弓類で変わったやつがいる。ディイクトドンが特にそうだ。

 人工的に用意された栓抜き螺旋状巣穴の中が、ガラスを通して見えるようになっている。その底に子猫ほどの……もちろん毛や耳たぶのないベージュの動物が二頭、長い体を浅く曲げて「い」の字になって横たわり、その間に小さいのが三頭収まっている。ディイクトドンの一家だ。

 丸い頭の正面には短く頑丈なクチバシと丈夫な牙がある。これは肉ではなく植物の根を噛み切り、巣穴の土壁を削るのに使う。手足も短くて強く、掘ったり巣穴の中を動いたりするのにぴったりだ。

 大昔だからといって動物の世界は単純ではなく、変わったことをやるやつもいたと示してくれる。

 それに、この自由研究で使うアリ飼育セットを大きくしたみたいなものに今の地球にいないはずの動物が住んでいる光景自体が楽しい。

 暑い砂漠みたいなところに住んでいたから涼しい巣穴を掘っていたというが、ここは別に暑くないので巣穴の片面がガラスでも気にせず子育てしているのだった。

 もう一組ペアがいて、そっちは箱に深く詰められた土に自力で巣穴を掘っている。

 実際どのくらい深い巣穴を掘ったんだろう。中の温度がいくらだったら過ごしやすいんだろう。そういうことが分かれば、もっと快適な暮らしを提供することもお客さんから見やすい位置に誘導することもできる。

 どこかしらで研究してないか後で調べてみよっと。ペットとして飼われてるやつじゃこうはいかない。この園内でもウサギにもアナグマにも穴を自由に掘らせりゃいいんだ。

 水槽の両生類やケージの中の単弓類、それに爬虫類も点検していき、二階の終わりの階段を下ると、ごせんぞ館の最後の展示に辿り着く。

 大きなガラスの向こうに見える部屋に、以前なら「ディメトロドンやリカエノプスの遠い子孫」としてトラが寝ていたんだそうだ。

 今はオーバーの寝部屋で、解説パネルもほとんどイノストランケヴィアのものに入れ替えてある。ずっと猛獣のまま単弓類と哺乳類の歴史が続いてたわけじゃないから、このほうがトラよりいいかな?ああやって質問も来たしな……。

 観覧スペースにもオーバーの寝部屋にもおかしなところはなかったので外に出ると、すぐにイノストランケヴィアの放飼場が見える。それに、平日にも関わらずオーバーを見に来た熱心なお客さんも。

 お目当てはただオーバーが過ごしているところではなく、特別な食事だ。

 オーバーは朝からずっと、大きくて複雑な形をした肉塊に取りかかっている。

 白いところがいくつも見え、骨だと分かる。アーチ状の骨がいくつも並んでいるところや、太い骨が肉の裂け目から覗いているところがある。

 県内の農村で駆除されたイノシシだ。

 こうやって最低限の処理しかしていない動物を与えることで、野生と同じように自分で肉を切り取って食べる手間が増え、かえって健康やストレス解消に良いとされる。毛皮がある生き物がいなかった時代のイノストランケヴィア向けには残念ながら皮を剥ぐ必要があったが。

 で、謎の肉食獣イノストランケヴィアであるオーバーのテーブルマナーはどんなものか。正直リカエノプスと大体同じなのだが、大きい分見やすい。

 牙をうまく使って肉を切り裂き、前歯で骨からはぎ取っていくのはトラのようだが、その肉をくちゃくちゃと噛んだりはしない。

 大きく切り取った肉の塊をあまり噛まずに飲み込んでしまうのは、むしろワニかヘビのようだ。

 牙と前歯だけが哺乳類のように発達していて、奥歯はないに等しく、鼻や喉の造りは爬虫類似なのだ。この組み合わせのせいで食事の間にころころと印象が変わる。

 こういう動物本来の自発的な行動を見るのが一番説得力があって、魅力的で、そうさせるのが動物のためにもなる。

 ディメトロドンも、セイムリアも、ディイクトドンもそうだった。

 強さを比べて新しいことが分かるって園長が言ってるのは、一体なんなんだろうか。

 園長は色んな面を見たほうがいいと言っていたが。


 その日はパッチも隠された餌を全て食べていた。扉から離れた位置のものも全部だ。

 やっぱり残していたのはたまたまとか、めんどくさがっていたとかで、大した問題じゃなかったんだろうか。

 隣のエダフォサウルスのスペースに出ていたのはメスのカボスだ。その黄緑色の帆を見て、なんだかほっこりした。


 しかしまた数日後の朝。

 ディメトロドンの運動場のうち扉から一番遠いところに一切隠さず肉を置き、扉を開くと、パッチはすぐに気付いてそれを食べに向かった。

 そして肉を飲み込んだ後もそこに寝そべって動かなくなった。

 よし、と思ったところで、隣の運動場にオスのエダフォサウルスのザクロが、のっしのっしと歩み出てきた。

 赤にオレンジの出っ張った水玉が散った、ド派手な帆が左右に揺れる。その帆が岩と鉄柵越しに、パッチのほうに向かって特に大きく傾いたとき。

 パッチは途端に体を持ち上げ、真横に飛び退いたのである。

 その瞬間パッチが何をどう見たのか脳裏にひらめき、

「あ、これじゃね?」

「え」

 つい口をついたのがスマホを通して裏で作業していた市田さんにも聞こえてしまった。

「すんません、こっちの話っていうか。パッチ、ザクロにビビってるみたいなんですよ」

「ヤバそう?」

「いえ。パッチはもう落ち着いててザクロは全然動かないですね」

「じゃあ作業が終わってから詳しく話そう」

 それからリカエノプス達を運動場に出す作業をしている間に考えをまとめた。

 種類は全然違うが、パッチもザクロも帆が赤い。

 もしかしてパッチからは、向こうに覗くザクロの帆が同じディメトロドンのライバルや邪魔者に見えているんじゃないだろうか。

 しかもエダフォサウルスのほうが帆が前後に長く、さらに帆には出っ張りが無数にちりばめられている。大きくて異様な帆を持った怪物だと思うかもしれない。

 だとしたら、今までちらちら見えていたザクロのことが怖すぎて隠した肉にも近寄れなかったのか。ごめんよパッチ。

 開いた扉からリカエノプスのスズが飛び出し、ライスもトコトコとついてきた。それを市田さんに伝えると扉は閉まり、いくつかの項目の点検を経て作業は終わった。

 それから市田さんがこちらに出てきたので、改めてさっきの出来事と自分の考えを説明した。

「ふーん、また面白いことに気付いたね」

「いや気付けなかったんすよ今まで」

 確かに私は、ディメトロドンの帆が体温調節のためのものではないということにまでは気付けた。それでライトの向きを変えてディメトロドンの調子が良くなったという成果が出たが。

「体温調節じゃなけりゃ何に使うのかってことが」

「特に思い付いてなかったなあ」

「異性とかライバルとかに見せびらかすものだったんすね」

「園長は分かってたのかな」

「っていうか、昔から体温調節だって言われてたのが違ったんで考え直してたんでは」

 ディメトロドンとイノストランケヴィアの強さを比べるというか、ディメトロドンがどうやって強さを比べるかの一端に触れることができた。

 ライバルに帆を見せつけて勝負しているのだったら、牙をむいて争うことに気が進まないのではないか。

 だとしたら、イノストランケヴィアと対面しても帆の見せつけあいが成立しなくて戸惑っているうちにやられかねない。これがあの質問の答えか。

 今回のは自然な行動どころかアクシデントだ。でも、ずっとディメトロドンやエダフォサウルスの暮らしを見てみたいと園長のような大人が思ってきたおかげで見ることができたものだ。

 もっと早く気付けたら気付けたんだろう。私にもちゃんと見えていないものがあったのだ。

 分かったことは分かったこととして、パッチのためには、

「目隠しでも置いてお互い隠れるようにしたほうがいいすね」

「シダかトクサのプランターを用意するよ」

 市田さんの手腕が頼もしい。

 が、プランターを置いて効果が出ればパッチがザクロに驚くことはもうないんだろう。その後の検証はパッチにストレスをかけないように進めないといけない。

 例えば、パッチより小さい帆をベニヤで作ってパッチに見せたら、逆に楽勝な相手だと思ってオラついてくるかもしれない。

 あと数分で開園時間になる。今日もお客さんがこの動物園で色んなものを見る。

 毎日ここにいる私達も、太古の世界への覗き窓からまた新しい風景を見ることができそうだ。




[ディメトロドン・リンバトゥス Dimetrodon limbatus]

学名の意味:刃の付いた2種類の長さの歯

時代と地域:ペルム紀前期(約2億8千万年前)のアメリカ(オクラホマ州、テキサス州、オハイオ州)

成体の全長:約3m

分類:単弓類 "盤竜目" 真盤竜類 スフェナコドン科

 単弓類は、かつては哺乳類型爬虫類という別名で呼ばれていた四足動物の系統である。爬虫類とは別の系統として現れ、その中から哺乳類が生じた。単に単弓類と呼んだ場合哺乳類以外の単弓類を指すことが多い。

 ディメトロドンは単弓類、特に便宜的に盤竜類と呼ばれることのある初期の単弓類の中でも代表的な属である。リンバトゥス種はその中でも比較的大型で、よく知られている。

 背中に帆があったことと、ペルム紀前期の四足動物としては珍しく哺乳類のように歯に長さの違いがあったことがディメトロドンの特徴である。

 背中の帆は棘突起が長く伸びたものと、その間に張られた膜状の軟組織でできていた。軟組織の痕跡が直接発見されたわけではないのだが、棘突起が折れた後治癒した痕跡が見付かっているので、棘突起が折れたときに周りからそれを支える軟組織があった、つまり棘突起全体が軟組織で包まれ帆になっていたことが分かる。

 棘突起はほぼ真っすぐで、帆全体は釣り鐘型または半円形だった。ギガンホモゲネス種D. giganhomogenesでは先端だけ曲がっている標本があることから、先端近くには膜がなかった可能性が示唆される。

 ディメトロドン(および後述のエダフォサウルス)の背中の帆は、表面に日光や風を受けることで体温を調節するのに役立ったと考えられてきた。しかし近年ではそれが帆が発達した主な要因ではないと考えられることが増えている。それには下記のような理由がある。

 まず、棘突起の表面には発達した血管の痕跡が見られない。胴体から離れた帆で熱を授受し体温を調節するには熱を運ぶ血液の流れが欠かせないのだが、ディメトロドンの帆と胴体の間で熱を運ぶ能力はあまり高くなかったということになる。加えて、血流量を考慮しなくても帆に日光を受けて温まる効果はそれほど劇的なものではなかったという計算例もある。

 また、日光で体を温める効率が高ければそうではない獲物より早朝から活動できたことになり狩りに有利なのだが、その単純な優位性にもかかわらず、ディメトロドンと同じく捕食性と考えられる他の近縁種では帆の発達の度合いは様々で、ディメトロドンほどは(または全く)発達していなかった。この系統が帆によって体温を上げる能力に依存せずに進化してきたことを示唆する。

 そして、それに対してディメトロドン属の中では体と帆の大きさの比率は体の大きさに関わらずほぼ一定であった。帆が外界から熱を授受する部位なら、体が大きく、体重に対する表面積が小さくなるほど、体に対して帆の面積が大きくなるはずである。

 他の古生物との比較として、ディメトロドンと同年代・同地域に生息していたエダフォサウルスにも帆があったのだが、後述のようにその帆の表面の形態はディメトロドンとはかなり異なっていた。物理的な働きがあるものにこのような違いがあることは不自然である。

 ステゴサウルスStegosaurusの背にあった骨板は体温調節に役立てられたことが確実視されているが、これは実際に体温調節が行われていることが確かめられているワニの背の皮骨板と内部構造が共通しているためである。これに対して、ディメトロドンの帆に似た構造を体温調節に役立てている外温性の動物は現生種にはいない。

 このような理由から、ディメトロドンの帆は体温調節よりも異性へのアピールや競争相手に対する威嚇・闘争に用いるディスプレイとして発達したと考えられることが増えている。

 帆以外のディメトロドンの大きな特徴として、属名の由来になっているとおり歯の大きさと形が一種類(同歯性)ではなく違いがあり(異歯性)、犬歯といえる長い歯とその前後の短い歯があった。これは哺乳類に近い特徴であり、後の多くの単弓類にもこの特徴が備わっていた。

 歯の縁には細かな鋸歯があり、肉を切りやすくなっていた。犬歯は獲物をしとめることに、その前の門歯は肉をそぎ落とすことに、犬歯より後ろの後犬歯と呼ばれる歯は肉を細かく切り刻むことに役立ったと思われる。

 頭骨は大きく発達し、やや丈夫な造りだった。幅より高さが大きく、横から見るとほぼ楕円形だった。上顎の凹みに下顎の出っ張りが噛み合うようになっていた。

 胴体や尾は円筒形で長く、四肢とのバランスは現生のオオトカゲに似ていた。大半の単弓類がそうであるように肋骨が骨盤の直前まであり、横隔膜がなく腰も曲がりづらかったようだ。このことから外温性の可能性が高いと考えられる。

 脊椎は従来は単一の緩やかなアーチとして復元されていたが、肩の後ろあたりと腰から後ろが下がるようになっていたようだ。

 骨格からはオオトカゲのように四肢を左右に伸ばしていたと考えられるいっぽう、ディメトロドンのものと考えられる足跡は左右の間隔がそれほど大きくないため、体をやや持ち上げて歩いていたとも言われている。

 やや冷涼な氾濫原に生息していたとされる。生息地には魚や両生類が多く、陸上の植物食動物はエダフォサウルスやディアデクテスDiadectesなど大型だった。頂点捕食者として様々な動物を捕食したが、普段の獲物は水生動物であったとも言われる。


[エダフォサウルス・ボアネルゲス Edaphosaurus boanerges]

学名の意味:大声で宣教する舗道のトカゲ

時代と地域:ペルム紀前期(約2億8千万年前)の北米(テキサス州)

成体の全長:2.5m

分類:単弓類 "盤竜目" 真盤竜類 エダフォサウルス科

 ディメトロドンとほぼ同年代・同地域に生息した植物食性の単弓類である。

 さらにこれもディメトロドンと同様、背中に棘突起が長く伸びてできた帆を持っていた。

 しかし体形も帆の形態もディメトロドンとは異なっていた。

 エダフォサウルスの帆を形成する棘突起は左右に平たく、またいくつもの短い横枝が生えていた。

 また後方の棘突起ほど後ろに向かって曲がっていたので、帆全体が前後に幅広かった。

 ディメトロドンとエダフォサウルス以外にもセコドントサウルスSecodontosaurusやプラティヒストリックスPlatyhystrixと、他にも帆のある四足動物が同年代・同地域に生息していた。このことが、帆は当時のその地域の気候に適応した結果として体温調節に用いられたものだという説を補強してきた。

 しかしエダフォサウルスの棘突起にも血管の痕跡は見られず、やはりディスプレイとして発達したとみられる。エダフォサウルスの帆では横枝も目立たせるのに役立った可能性がある。横枝のためにディメトロドンの薄い帆と違って前後から見ても目立ったことになる。

 胴体は長く、四肢は短かった。尾は太く長かった。

 頭は小さく、吻部の先が狭くとがっていた。

 口蓋にも細かな歯がびっしりと生えていて、「舗道のトカゲ」という属名はこれを敷石に見立てたことにちなむ。この歯で植物を細かく噛み砕いて食べたと考えられる。


[ゴルゴノプス類 Gorgonopsia]

 ゴルゴノプス類はディメトロドンよりさらに哺乳類に近い特徴を備えた獣弓類と呼ばれるグループのうち、ペルム紀後期に繁栄した様々な肉食性のグループのひとつである。鼻先まで高い吻部と上面が平坦な頭骨、上顎に1対の大きな牙状の犬歯を持っていた。

 この犬歯はしばしばサーベルタイガーと比較されるが、犬歯の使い方は分類群によって多様らしい。

 後犬歯は発達していないものが多く、獲物をあまりよく噛まなかったようだ。これは糞化石に関節したままの脚が含まれていたことからも支持される。

 四肢はディメトロドンと比べるとかなり長く、また左右に広げることも直立に近い姿勢を取ることもできたらしい。上腕骨頭は肩甲骨の関節窩より長く全部ははまらなかったため、軟骨が分厚く可動域が大きかった。獲物を押さえ付けることもできたようだ。股関節も可動域が大きかった。

 聴覚や嗅覚はディメトロドンより発達していたと考えられる。鼻腔に隆起があったが、二次口蓋(鼻道と口腔を隔てる「口の天井」)はなく呼気が通る鼻腔が独立していなかったので、ただ嗅覚を強めたものと考えられる。またヤコブソン器官もあった。

 吻部先端に複数のくぼみがあり、そこに哺乳類のような洞毛(ネコでいう"ヒゲ")が生えていたと推測されている。そのことから体毛があったと推測されるが、発生学的には洞毛は体毛より先に生じるので体毛の根拠としては弱い。

 肋骨は腰の直前から失われていなかったため、毛づくろいをするために体を曲げることができなかったことになる。また横隔膜もなかったと考えられ、体毛を持たない外温性の動物だった可能性が高い。

 イノストランケヴィアやスコゴルゴンSuchogorgon、サウロクトヌスSauroctonusなどのロシアで発見されるグループと、リカエノプスやゴルゴノプスGorgonops、アエルログナトゥスAelurognathusなどアフリカで発見されるグループに大別される。ただしこれらの地域の間で交流がなかったわけではないようだ。


[イノストランケヴィア・アレクサンドリ Inostrancevia alexandri]

学名の意味:地質学者アレクサンドル・イノストランツェフのもの

時代と地域:ペルム紀(約2億5千万年前)のロシア

成体の全長:約3m

分類:単弓類 "獣弓目" ゴルゴノプス亜目 ゴルゴノプス科

 イノストランケヴィアはゴルゴノプス類に含まれ、ペルム紀最大の陸生の捕食者であった。ロシアのグループに属していたが南アフリカからもアフリカーナ種I. africanaが発見されている。

 頭骨は長さ60cmに達し、比較的幅広かった。

 門歯と犬歯は発達していた。特に犬歯は上下とも長く、上の犬歯は12~15cmの長さがあり、哺乳類でない獣弓類では最大であった。いわゆるサーベルタイガーと同様、噛む力も強かったとされる。

 いっぽう下顎の後犬歯はなく、上顎の後犬歯も発達していなかった。

 四肢は肩甲骨も含めて頑強だった。

 イノストランケヴィアは河川堆積物が優先する地層から発見されていて、乾燥もしくは半乾燥気候の氾濫原のような環境に生息していたと考えられる。

 この地層の植物はタタリナTatarinaをはじめとするシダ種子類(シダ植物によく似た特徴を保持した裸子植物)のPeltaspermales類が特に多かった。次いでイチョウ類と球果植物が多く、シダ・トクサ類そのものは珍しかった。


[リカエノプス・オルナトゥス Lycaenops ornatus]

学名の意味:飾り立てられた狼の顔

時代と地域:ペルム紀後期(約2億6千万年前)の南アフリカ

成体の全長:約1.2m

分類:単弓類 "獣弓目" ゴルゴノプス亜目 ゴルゴノプス科

 中型のゴルゴノプス類で、アフリカのグループのひとつだった。

 より大型のイノストランケヴィアと同様、犬歯は発達していたが後犬歯は発達していなかった。いっぽう、吻部は高く、幅が狭かった。

 また体形はイノストランケヴィアと比べると軽快だった。あまり大型の獲物は捕えなかったものと思われる。


[セイムリア・バイロレンシス Seymouria baylorensis]

学名の意味:テキサス州シーモアのベイラー群で生まれたもの

時代と地域:ペルム紀前期(約2億8千万年前)の北米(テキサス州)

成体の全長:約60cm

分類:"両生綱" "爬形目" セイムリア形亜目 セイムリア科

 セイムリアは広義の両生類(四足動物の中で単弓類と爬虫類どちらの系統にも属さないもの)の中でも、特に爬虫類に近い特徴を持っていた。発見当初は爬虫類であると考えられていた。

 同じくディアデクテスも非常に爬虫類に近かったが、石炭紀にはすでに爬虫類がいたことが分かっているのでこれらが爬虫類の直接の祖先というわけではない。

 「ラビリントドント」と呼ばれる複雑なしわのある歯を持ち、これは一部の魚類や初期の四足動物と共通する。 いっぽう脊椎の棘突起が発達し、肩帯や腰帯には体重を支えるのに適した特徴があり、四肢が発達していた。これに対して他の両生類が泳ぐのに用いていた尾はセイムリアでは短く、陸上での生活に適応していたのが明らかである。

 皮膚が粘膜に覆われていたのか鱗があったのか、また卵は両生類と爬虫類どちらに近い構造だったのかといったことは不明である。

 しかし、近縁のディスコサウリスクスDiscosauriscusが明らかに水生に適応した姿の幼体しか発見されていないことから、セイムリアも幼体の段階では水生であり、変態してからは産卵時にしか水に入らず、陸上の小動物を捕食していたと考えられている。

 セイムリア自身はディメトロドンに捕食されていた可能性がある。


[ディイクトドン・フェリケプス Diictodon feliceps]

学名の意味:2つのイタチの歯のあるネコの頭

時代と地域:ペルム紀(約2億6千万年前)の南アフリカ

成体の全長:約50cm

分類:単弓類 "獣弓目" 異歯亜目 ディキノドン下目 ピラエケファルス科

 ディキノドン類は獣弓類の中の一グループで、ペルム紀末の大絶滅を挟んで特に長期間繁栄した植物食のグループである。

 角質化して短いクチバシとなった吻端と、その両脇の牙、どっしりした胴体と頑丈な四肢、短い尾を持っていた。

 ディイクトドンは比較的小型のディキノドン類である。

 深さ1.5mに達することもある深い巣穴の化石の中から発見されることがある。

 成体2頭分、または成体と幼体の組み合わせで発見されることから、つがいまたは家族で生活していたことや育児をしていたことが分かる。

 大きな頭、特に頑丈な四肢、長い胴体を持っていた。これらの形態は、穴を掘りその中で生活するのに適した形態である。

 高温で乾燥した環境から身を守るのに巣穴が役立ったと考えられている。植物の塊茎などを掘り起こして食べ、自分自身はリカエノプスなどに捕食されていた可能性がある。

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古生物飼育連作短編小説 Lv100 M.A.F. @M_A_F_

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