この長さの文章でここまでの世界観とラストに持っていけることがすごいです…(自分のレビューの小並感を感じるほどに)そしてこの救いようの無い運命の繰り返しやファンタジーの世界観もとても好きで読み直してしまいます。
自分と同じ顔を持つ弟。忌まれた双子を地下から出しともに生活しようとしていたアッワル。しかし彼は弟をー―。人の心というものを鋭く描いた作品でした。短編でこれを描くのは難しいと思いますが、まとめられているところがすごいなと思います。架空の世界観の中に現実的人間を描くその鋭さが純文的で好きです。
双子にまつわる不吉な伝承と風習。愚行だと頭で分かっていながら、一時の感情に流され、同じ道を辿ってしまった主人公を、わたしは非難できません。容姿だけでなく、振る舞いまで同じ人間が目の前にいたら、きっとわたしも嫌悪すると思います。愛する者を奪われたのなら、なおさらです。
国を分けた父王も、風習を忌むべきものとしてさけたアッワルも、そこに悪意はなかったのに。地の文がしっかりしています。
王政時代に生まれた双子の話です。双子が生まれる国は不吉、よくいわれることですが、この物語を読んでなるほど、と思いました。それでいてラストに向かう驚愕の事実もまたグッドです!短編の中にも、伏線を敷くのは中々に難しいことだと思います、お見事です!次の作品にも期待して星3つ送らせて頂きます。
大国を納めるべくして生まれた双子について描かれた作品です。 親の心子知らずと言いますが子の心も親は知らぬものでいがみ合ってしまう様子が、とんでもなく高い文章力によって描かれています。 そこから出てくる雰囲気、空気感がストーリーにマッチしていて、読んでいて引き込まれました。 ちょっとやそっとじゃ書けないと思います。きっとすごく本を読んできたんだろうな……
作品紹介文の、この単語を頭の隅に置いて読み進めてみてください!明かされた真相の先に広がる、現在・過去・未来。本編は主人公の視点で語られる掌編ですが、その向こうに広がる世界に想像力を掻き立てられます!
双子が不吉な存在であるという迷信を取り上げ、なぜ不吉とされるかを書き上げた作品です。冒頭は双子を平等に扱った結果を。終わりには双子がなぜ不吉と呼ばれるかを。鋭い語り口で描かれています。近すぎるからこそ、生まれた憎悪も激しいのでしょうか。