第3話
学園を発ってからもう1年ほど。同じ時期に出発した皆はどうしているかしら。もう帰った頃合かしら。
「ミス・ジルヴァ、考え事ですか?」
離れて久しい故郷に思いを
「ええ。学園の皆のことを。…それにしても、あなたの背に乗せてもらうなんてなんだか申し訳ないわね」
エリンシアは自分の
「妻子の恩人には尽くさなくては。それにこの森は人間には危険ですから」
「恩義に感じなくてもいいのよ。『魔道師よ皆のものたれ』ですもの」
魔道師になる修行の最終段階として
一角馬は白い体毛に金色の
「今日はもう休みましょう。疲れたでしょう」
エリンシアは杖を使って小さな火をおこすと、その側に腰をを下ろして乾パンを
永遠の森で今日も平和に過ごせてよかったな。エリンシアがそう考えて睡魔に身をゆだねかけていたまさにその時。
「ミス・ジルヴァ!血のにおいがします!」
一角馬の緊張した声が聞こえた。
「様子を見に行きましょう!」
杖を握り締めて一角馬に跨った。
「
対峙している短剣の男はニヤニヤと笑みを浮かべている。
気味が悪いな、増援が来るのか。いや、そんな気配は感じられない。ならばその言葉、そっくりそのまま返してやる。
「賢明な判断をし損ねたな」
シャルルは低く呟き
「クソ、体が、毒か…」
「だから言っただろう、余裕なのも今のうちだぜ、と」
短剣の男が悠長に構えていたのは俺の体に毒が回るまでの時間稼ぎだったのか。ゆったりと男が近づいてくる。ああ、俺はここで死ぬのか。…あの
「死ねッ!!」
薄れ行く視界の端に見知った金色を見た気がした。
剣と魔法とあなたと私 南しぐれ @ShigureMinami
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