出会い

第2話

夢を見た。…思い出したくもない忌まわしい過去の夢。それを振り払うかのように頭を振って起き上がる。焚き火の火はとうに消えていた。どうやら眠ってしまっていたようだ。

永遠とわの森で1人、か」


永遠の森ー大陸最大の森林地帯である。名前の由来には諸説あり、『その広大さから永遠に森が続いているのではないかと錯覚させられるところからその名が付いた』『命を落とした者の魂が永遠に彷徨っているからだ』などと言われている。太古から伝わる昔話によると、奥地には神の秘宝が眠る湖があるとのことで数々の冒険家たちが足を踏み入れてきたが、そのほとんどが戻って来なかった。神の祟りに触れて命を落としたのだろう、などと言われているが、実際のところは迷うか数多いる危険生物に襲われるかしたのだろう。


「俺も物好きだな」

永遠の森を彷徨いながらシャルルは誰ともなく呟いた。南北に街道が整備されて以降は、森の中へ分け入っていく者はほとんど居ない。居るとしたらそれは後ろめたいことのある奴か、死にたがりだけだ、という言葉をふと思い出したのだ。この森に引き寄せられてきたが、俺は死にたいのだろうか。

「何もかもどうでもいい」

そう呟くとしっくりきた。


歩き疲れ、野営地を決めようとしたところで茂みを掻き分ける音に気が付いた。ただの動物にしては重い足音だ、一体なんだ?

「へぇ驚いた。旅人が迷い込むとは。おいあんちゃん、命が惜しけりゃ身ぐるみぜーんぶ置いてきな」

茂みから3人の野盗が現れた。それぞれ短剣、ショーテル(大きく湾曲した刀剣)、三叉槍トライデントを手にしている。

「お前ら野盗にやるものはない」

距離を警戒しつつ腰に下げた長剣ロングソードに手を掛け臨戦態勢をとる。

「…どうやら命が惜しくないようだな。お前らやっちまえ」

リーダー格らしき短剣の男がそう言うやいなや、ショーテルと三叉槍が左右からシャルル目掛けて襲い掛かってきた。後ろに飛んでかわすと長剣を抜いた。

「命は惜しくないが、お前らにやるのはしゃくだな」

短剣の男はどうやら見ているだけのようだが、2対1ではいささか部が悪い。ショーテルから片すか。

シャルルは攻撃をかわしつつ考える。一瞬の隙を突いて素早くショーテルの男を斬り捨てた。

「よくも弟を!」

三叉槍の男が雄叫びを上げながら突撃してくる。咄嗟とっさに身をひるがえすものの、避けきれずに腹部に裂傷が走る。鮮血が飛び散り、シャルルの顔が苦痛に歪む。しかしここでもシャルルは素早かった。

「攻撃後の脇がガラ空きだ!」

三叉槍の男を斬り捨てた。

「2人をるとは相当の手練だな」

残るはあと1人。シャルルは痛む傷口を手で押さえながら短剣の男と対峙した。

「…降参するなら今だ。武器を置いて行け」

シャルルの言葉に男がニヤリ、と笑った。











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