78 東京よもやま話 東京の雪は土日に降る

 暦の上では立冬が過ぎて冬となった。都心にある日比谷公園の木々も彩を深め、晩秋といった趣になってきた。

 そこで今日は、東京に降る雪について取り上げてみたい。

 一般的に本州南岸を低気圧が通過すると、太平洋側は、気温と湿度によっては雪になる。

 ここで大雪注意報の発表基準についてみてみよう。当然のことながら、雪国新潟や北海道と東京では基準が違う。気象庁のホームページにある『警報・注意報発表基準一覧』を覗くと次のようになっている。

 ◆ 東京23区、多摩北部、南部・・・24時間降雪 深さが5cm

それでは雪が多く降る地方は・・・

 ◆新潟市・・・6時間降 雪の深さが15cm

 ◆札幌市のある石狩中部の平地・・・12時間降雪の深さが20cm

となっている。あまり雪が降らない東京と、日本海側の新潟や北国の札幌などとは、大きく基準が異なる。

 では「沖縄には大雪注意報の基準はあるのか!?」と疑問に思うことだろう。調べてみると、沖縄は雪に関係する注意報の基準(雪・なだれ・風雪・暴風雪)はない。もっとも沖縄で雪が観測されたのは、1977年2月17日に久米島で、2016年1月24日に名護と久米島でそれぞれミゾレを観測したのみで、基準の必要がないのは当たり前か。ちなみにミゾレは観測の上では雪に分類される。

 それでは、日本列島を南下すると、どこまで大雪注意報の基準があるのだろう!?

 鹿児島県の基準を覗くと、種子島・屋久島地方について、『24時間降 雪の深さが5cm』となっている。

 さらにその南の奄美地方には、沖縄と同じく基準はないので、大雪注意報の発表基準の南限は種子島・屋久島地方までということになる。


 さて、話を東京に戻して、東京の都市伝説として『大雪になるのは土日か祝日だ』というのを聞いたことがあるだろうか?

 1990年以降現在まで、都心部の積雪が5cm以上の日(大雪注意報が発令された日)を気象庁のデータからピックアップしてみた。

No   日 付     曜日   降雪量

1  1990年 2月 1日  木曜日   11cm

2  1992年 2月 1日  土曜日   13cm

3  1994年 1月29日  土曜日    7cm

4  1994年 2月12日  土曜日   27cm

5  1996年 2月17日  土曜日    7cm

6  1996年 2月18日  日曜日    9cm

7  1998年 1月 8日  木曜日   10cm

8  1998年 1月15日  木曜日 成人の日  18cm

9  1998年 3月 1日  日曜日    5cm

10  2001年 1月27日  土曜日    9cm

11  2006年 1月21日  土曜日   10cm

12  2013年 1月14日  月曜日 成人の日   8cm

13  2014年 2月 8日   土曜日   22cm

14  2014年 2月14日  金曜日   18cm

15  2014年 2月15日  土曜日    9cm


如何ですか?

 1990年来25年間に5cm以上の積雪があったのは、全部で15回、そのうち土曜日が8回、日曜日が2回、祝日が2回、合計12回となっています。 統計データとしては母数が少なすぎますが、傾向としては明らかですね。

 都心部は人が多く集まる平日は気温が高めとなり、逆に人の少ない土日は低くなるからでしょうか。

 東京都が平成25年3月(26年12月修正)に公表した23区部の昼間人口は1171万人、夜間人口は894万人となっています。その差277万人が郊外からの通勤者だとして、人間一人の熱量が50wあるとすると、

 50w × 277万人 = 13万8500kw

となります。

 沖縄電力の総発電量が210万kwですから、その6%に相当するエネルギーが、休日には無いということになります。


 気象庁気象研究所の解析によると、東京都心では、土日・祝日の気温が平日に比べて0.2℃低く、特に冬場にその傾向が目立つということですから、単なる都市伝説として片づけるわけにはいきませんね。

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東京の坂と橋 駅員3 @kotarobs

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