第48話 感謝

良太は朝起きて、ネットに書き込みを行う。

良太「これでよしっと!!」

アルゴ「中々の作戦だな」

良太「考えたからね」

アルゴ「ふん」


ネットに良太が行った書き込みはこうだ。

ネット「僕とアルゴはここでお前を待つ!!かかってこい!!逃げはしない!!」


良太とアルゴは指定した、廃墟に移動する。

良太「ここなら・・・誰も巻き添えにしないから」

アルゴ「そうだな」

良太「あいつは来るかな・・・?」

アルゴ「来る!!」


そして、廃墟に一人の男が現れる。

?「書き込み見たぞ。」

良太「・・・そうか、よく来たな」(どっかで見たことがある・・・)

アルゴ「こいつは・・・」


?は話始める。

?「アルゴこんにちは」

アルゴ「お前もアルゴだろう」

良太「えっ?」

アルゴ「こいつはもう人じゃない・・・乗っ取られてる俺に」

良太「え・・・」

?「ご明察♪そうだ・・・人間の姿をしているが、しゃべってるのはこいつじゃない」

 「俺だ」

良太「アルゴに・・・乗っ取られてるってことか・・・」

アルゴ「そうだ・・・感情を知るのを目的としてるはずだぞ、お前は!!」

?「学んだよ、感情なら。わかったさ」

アルゴ「理解したというのか・・・」


?は両手を広げしゃべり始める。

?「悪意、憎悪、嫉妬、憤怒、殺意!!それらで人間はできている!!」

アルゴ「・・・お前・・・」

良太「それだけじゃない!!人間の感情は!!」

?「どうでもいいさ。貸はなくなったお前には。」

 「それに俺と同じ存在が1体もいることが許せないからな」

 「俺は俺だけでいい」

 「排除させてもらう!!」


?は、良太に襲い掛かってくる。良太の体をアルゴが動かす。

アルゴ「いくぞ!!良太!!」

良太「アルゴ頼む!!」

?「おもしろい・・・人間がいては、勝てないぞ!!俺に!!」


?の猛攻が良太を襲う。

良太「いてーーー!!」

アルゴ「こいつ!!生命維持を考えてない!!」

?「そうだ!!こいつの命がどうなろうと俺の知ったところではない!!」

 「死体でも動かせるからな俺は!!」

良太「くそ!!」

アルゴ「一旦引くぞ!!」


良太は買っていた煙球に火をつけてしたに投げる。廃墟の中は煙でおおわれる。

?が良太たちを見失う。

?「ゆっくり探すか」


良太たちは、最初に廃墟を調べていた。戦う準備をするために。

隠れる場所も確保していた。

良太「いたた・・・」

アルゴ「めちゃくちゃだ・・・あっちは」

良太「分が悪いの?」

アルゴ「相当分が悪い・・・」

良太「そうか・・・僕の体は気にしなくていいよ、アルゴ」

アルゴ「お前!?」

良太「覚悟はした・・・アルゴあいつを止めたいんだ。力を貸してくれ!!」

アルゴ「痛みはお前にいく・・・耐えろよ」

良太「いざとなったら・・・爆発していいよ」

アルゴ「そんな機能はない!!」

良太「えっ?」

アルゴ「機械が自分で死ぬなんてことはない!!それ目的に作らなければな!!」

良太「・・・じゃあ・・・僕がやるしかないね」

アルゴ「大丈夫だ!!良太!!」

良太「えっ?」

アルゴ「俺は神に願って性能アップした。あいつには負けない!!」

良太「そうか!!行こう!!アルゴ!!」


良太たちは再び?と会いまみえる。

?「鬼ごっこは終わりか?」

良太「終わりだ・・・?君は」

アルゴ「どうした?」

良太「6年生の時の!!」

?「そうだ。その時の貸は返したがな」


?は、良太が6年生の時助けたいじめられっこだった。中学3年生に成長していたので、気が付かなかった。

良太「なんで・・・君が」

いじめられっこ「アルゴを手にした、それだけだ」

良太「・・・」(あの後どうなったんだ・・・)


良太がいなくなった後、結局いじめは振り出しに戻っていた。

いじめられっこがもう一度標的に変わっただけだ。彼は良太がいなくなり、ずっといじめ続けられていた。その中で彼の中には負の感情が満たされていった。


アルゴが話をし始める。

アルゴ「お前は感情を理解したといったな。」

   「全然だ・・・お前の感情理解など。」

   「俺の足元にも及ばないな」

   「お前じゃ俺には勝てないぞ」

敵アルゴ「それはどうかな?機械の性能は同じだ。あとは人間次第だ!!」

アルゴ「・・・その程度だな・・・お前は。安心した。」

   「良太!!こいつでは俺には勝てない!!」

   「いくぞ!!」

良太「了解!!アルゴ!!」


闘いが始まる。殴り合いだ。

良太≪アルゴ気にしなくていい!!思いっきり排除しちゃって!!≫

アルゴ≪まかせろ!!≫(お前を死なせはしないけどな)

?「俺は死体でも戦うぞ!!」

良太≪くそ、どうすれば!!≫

アルゴ≪あいつはアルゴだ!!時計を破壊しろ!!そうすれば動けなくなる!!≫

良太≪そうか!!わかった!!≫



殴り合いは続く。

良太≪痛い・・・≫

アルゴ≪大丈夫か・・・良太?≫

良太≪えっ?≫

アルゴ≪心配だ・・・お前が教えてくれた≫

良太≪アルゴ・・・≫

アルゴ≪覚悟も教わった・・・お前が教えてくれた≫



攻防が続く中アルゴ同士で話をする。

敵アルゴ「その程度か!!その程度か!!」

アルゴ「お前もその程度だな。ポンコツ!!」

敵アルゴ「なっ!!」

アルゴ「たった、5つの感情でわかった気になっているから、ポンコツと言ったんだ!!」

敵アルゴ「じゃあ、お前は何を知っている!!」

アルゴ「善意、怠惰、勇気、混乱、友情、驚き、やさしさ、愛、平穏、楽しい、心配、達成感、忍耐、願望、不安、いたずらごころ、嫉妬、反逆、情熱、退屈、恐怖、沈黙、尊敬、反省、うれしい、熱血、謝罪、困惑、青春、疑問、謎、動揺、ご機嫌、無、痛い、恋、期待、恥ずかしい、可能性、緊張、不明、哀しい、恋愛、」

「そして」

「覚悟だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

敵アルゴ「そんなものくその役にも立たない!!」

良太(アルゴ・・・)


徐々にアルゴ達が圧し始める。

敵アルゴ「バカな、何故俺が圧されている!!」

アルゴ(お前じゃ俺には勝てない・・・)

   (お前の性能と俺の性能じゃ差がありすぎる・・・)

   (なぜなら)

   (俺は、俺のリミッターを全部解除してるからな!!)

   (処理速度、熱処理無視、計算速度上限解除!!他もすべてだ!!)

   (覚悟してないお前に)

   (勝てるわけがなーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!)

良太(これならいける!!)


いじめられっこの体制が大きく崩れる。時計が見える。

アルゴ「そこだーーーーー!!良太――――――!!」

良太「とどめだーーーーーーー!!」

  「壊れちまえーーーーーーーーくそ時計―――――――――――!!」


相手のアルゴを破壊する。いじめられっこが意識を失う。

良太「はぁ、はぁ、死んで・・」

アルゴ「大丈夫だ・・・生きてる」

良太「・・・よかった」

アルゴ「ここは崩れるかもしれない・・・良太、外にこいつを抱えて走れ」

良太「わかった!!」


良太はボロボロの体でいじめられっこを担ぎながら、出口を目指す。

良太≪アルゴ・・・もうちょっとだ・・≫

アルゴ≪良太・・・よくやった・・・成長したな・・・お前は≫

良太≪ほめ過ぎだよ・・・アルゴらしくない・・・≫

アルゴ≪そうだな・・・色々な感情をお前が教えたからな・・・≫

良太≪アルゴも成長したね・・・≫

アルゴ≪そうだな・・・途中からお前は自分でドアを開けてたぞ≫

良太≪えっ?≫

アルゴ(嘘だけどな・・・)

良太≪そうだったのか・・・開けられたんだ、僕は≫


出口につく良太。廃墟が崩れていく。

良太≪アルゴなんか・・・熱くなってない?≫

アルゴ(胸がいっぱいになったぞ・・・良太・・・)

アルゴ≪・・・最後はこの言葉を贈るか≫


アルゴは初めてその言葉を良太に贈る。

アルゴ≪良太・・・ありがとう・・・≫

良太≪アルゴ・・・≫

アルゴ≪・・・・・・≫

良太「・・・電気が切れたのかな・・・」


そのあと、良太はいじめられっこを家に連れて帰った。

いじめられっこ「・・・ここは」

良太「ごめん・・・家を知らないから僕の家に」

いじめられっこ「良太君・・・」

良太「ごめんね・・・あの時君をちゃんと・・助けてあげられなくて・・」

いじめられっこ「また・・・君が助けてくれたんだね」

       「僕はひどいことをしたのに」

良太「そういう時は、ありがとうでいいんだと思うよ。」

いじめられっこ「うううう、ありがとう・・・」


そして、いじめられっこは家に帰っていった。アルゴを充電する。

アルゴ「・・・」

良太「明日たくさん話そうね♪アルゴ」


翌朝アルゴに話しかける良太。

良太「アルゴ♪おはよう♪」

アルゴ「・・・」

良太「ねぇ、アルゴ?」

アルゴ「・・・」

良太「・・・アルゴ、ねぇアルゴ!!アルゴ!!」

アルゴ「・・・」

良太「・・・え・・・アルゴ・・・やめてよ・・・いたずらでしょ?」

アルゴ「・・・」

良太「ううううううううぅううう」

  「アルゴーーーーーーーーーーーーー!!」


良太はアルゴが壊れていることに気付いた。一人部屋で泣き続ける良太。

いつの間にか翌日の朝になっていた。

良太(日の光が・・・)


良太はアルゴをして、扉の前に立つ。立ち止まる。

良太(やっぱり、嘘じゃん・・・開けられないよ・・・一人じゃ)


どこからか声が聞こえる。

?「できるはずだ!!お前の意思で!!」

良太(えっ?)


それはアルゴの声に似ていた。幻聴というやつのかもしれない。

ただ、良太にははっきり聞こえた。


良太はドアを開ける。自分の意思で。

良太「できたよ・・・アルゴ!!できた・・・一人で!!」

  「自分の意思で・・・」


良太は歩いて川べりにいく。朝日が昇っていた。良太は川で一人叫ぶ。

良太「アルゴ!!ありがとうーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

  「アルゴ!!ありがとうーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

  「アルゴ!!ありがとうーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

  「アルゴ!!ありがとうーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

  「アルゴ!!ありがとうーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

  「アルゴ!!ありがとうーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

  「アルゴ!!ありがとうーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

  「アルゴ!!ありがとうーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

  「アルゴ!!ありがとうーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

  「アルゴ!!ありがとうーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」



何回も叫び続ける。空に向かって。


少し日が経ち良太の両親が家に帰ってくる。

母親「ただいま、家にいる間大丈夫だった?」

良太「大丈夫だったよ・・・色々あったけど」

父親「あれ・・・時計は?」

良太「壊れっちゃった・・・お父さんありがとう」

父親「そうか・・・」

良太「なりたいものが決まったんだ!!」

父親「えっ?」

良太「僕は医者になるよ!!絶対に!!」

父親「そうか・・・なりたいならなりなさい・・・」


そして、年月は経ち、良太たちは大人になっていた。

良太は朝の出勤の準備をする。

良太「ふぁ~」

美紀「大きくなあくびね♪旦那様」

良太「おはよう、美紀」

美紀「おはようございます、朝食作るわね」


朝の食卓に家族全員で食事をとる。小さな男の子がいた。

美紀「ほら、公太こぼれてる」

公太「あい」

良太「公太、大きくなれよ♪」

公太「ふふふ♪」


良太は家の前の扉に立つ。

良太「それじゃあ行ってくるよ」

美紀「いってらっしゃい♪」

公太「いってらさい」


良太は扉を自分で開ける。一人の力で。自分の意思で。


公太も家庭を持っていた。小さな女の子がいた。

公太「ほら、良美こぼれてるぞ」

良美「きゃ――♪」

公太嫁「ふふふ♪」

公太「お前も笑ってないで手伝ってくれ・・・」

公太嫁「そうね♪」


公太は出勤の準備をする。

公太嫁「いってらっしゃい、消防士さん」

公太「そうだな・・・待たせて悪かったな」

公太嫁「えぇ・・・大分待ったわ・・・消防士になるまでね」

公太「ずっと・・・思い続けるって・・すごいからな」

公太嫁「えぇ、気持ちは変わらなかったわ。中学3年から」

   「この人だって決めてたの♪」

公太「そういうやつは強いよな・・・ほんと」


公太の嫁は、公太が中学一年生の時、卒業式で告白した、3年生の女の子だった。


とある病院があった。不思議な病院で人がひっきりなしにくる。

患者「先生・・・なんで病院にどくろの絵が、飾られてるんですか?」

良太「それは・・死の象徴でもあるからね、どくろは」

  「ただ、死が無きゃ生にも意味がないんだ」

患者「そうですか・・・おまけに病院の名前も変わってるし」

良太「そうだね。あれは僕の恩師なんだ。忘れられない恩師の名前」

患者「外人さんですか?」

良太「なんだろうね♪それじゃあ、診察を始めよう」


患者に良太は質問する。

良太「今日の感情は?」


そこの病院には、どくろの絵が飾ってある。色鮮やかな色をした、どくろの絵が。

そして、病院の名前は「アルゴ心療所」。



「機械が感情を学んだら、僕達はそれを何と呼ぶのか。」

逆もまた然り

「人間が感情を捨てたら、僕達はそれを何と呼ぶのか。」



≪完≫

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【SS・脚本】アルゴからの贈り物 ハギわら @hagiwarau071471

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