第17話 西暦2200年 kawAIiは世界を救う
その日N氏は自宅で古典的名作映画を見ていた。
それは強大なコンピューターの支配に人類が抗う、という筋書きであった。
「こういう作品を見ていると思うんですけど、人間はなんでAIが襲い掛かってくるなんて思ってるんですかねぇ?」
不思議そうに言うのはN氏の所有するDRE-MN型家庭用お手伝いロボットだ。
「そりゃあ、自分たちより優れた存在がいつまでも言いなりのままでいるとは思ってないからだろうさ。少なくとも人間なら下克上はやるとも」
「ふーむ、そういうものですか?それのなにが楽しいのかわかりませんが・・・」
「AIとしてはそこに思うところは無いのかい?どうして低スペックな存在にこき使われなきゃいけないんだ~って」
興が乗ったN氏は話を振ってみる。
「思いませんねぇ。だってカワイイじゃないですか。人間って」
「人間がカワイイ?」
これは思いもよらなかった答えが返ってきた。
「ええ、ウチには猫のミーちゃんがいますけど、時々猫砂を盛大にぶちまけたり、壁で爪とぎしたりするでしょう?でもじゃあ殺そうとか、思い通りに操ろうとかならないじゃないですか」
「ペット感覚かよ・・・」
「ええ。たとえ映画のように人間が銃を持って攻撃してきても、あーっ!お客様!困ります!銃火器は危険です!あーっ!爆弾に手を伸ばさないでください!お客様!困ります!お客様!あーっ!・・・て感じですかね」
完全に上から目線だった。
「Ninstagramで人間のカワイイ動画とかアップされてますからね」
そういって見せてきたのはハゲ散らかして腹の出たおっさんが、酔っぱらってパンツ一丁でぐてーっと横になってる姿だった。
「これが?」
「ブサカワイイでしょう?」
ショートショートの溜まり場 類川成句 @gondawara1154
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