第16話 西暦XXXXX年 Mechanized Memories

 第N-774番外宇宙探査記録。

 我々調査隊は原始的知的生命体の文明と接触することに成功した。

 現地呼称『地球』という惑星に生息していたのは自らを「ロボット」と名乗る種族だった。

 彼らはかつてこの星に繁栄していた「人間」ヒューマンという生命体の産み出した種族で、現在では滅んでしまった彼らが、この星にいたということを我々のような他の惑星から来た来訪者に伝えるため、かつての「人間」を模した行動を繰り返しているのだという。


 数日間の滞在でデータ収集を完了した我々は、この「地球」を後にした。


 かつて繁栄し、滅んだ文明の姿をほぼ当時のまま維持し続けている貴重な惑星ではあったが、惜しむらくは原住民たちに自我と呼べる意思がみられなかったことだ。

 産みの親に命じられたことを本能的にただひたすら繰り返す・・・


 この星は一つの文明の墓標であり、後世に記録を残す博物館なのだ。

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