あとがき

 さて、今日も今日とてこの話の収録のために馬鹿猫の部屋にみんなが集まります。

 おや?今回は見慣れない顔も混じっているみたいですよ?どうやら時間になったのでそろそろはじめましょうか?ここで照明がつき、カメラが回り始めます。リハーサルなんてものはありません。台本だってないんです。いつだってぶっつけ本番です。


 では、スタート!


「って言うかぁ、結局私本編で一度も出なかったんですけどぉ」


 いきなり不満をぶちまけたのは可愛い女の子、年齢で言うと15歳位でしょうか?

 体系的にはちょっとぽっちゃりに近いでしょうか?いえいえ!健康的で実によろしいと思いますよ!私は好きですよ、ええ!

 髪はショートカットでコンタクトを着用しているみたいですね。服装はシンプルなのが好みのようです。パステルカラーが好きで今日の衣装もそんな感じ。後、付け加えるとするなら今回の彼女はミニスカートを着用しています。


 え?胸のサイズ?特筆するほどのものではありませんね。大きくはありませんが、かといって小さくもなくアルファベットで言うところのCもしくはギリBと言ったところでしょうか。飽くまでも見た目での判断ですが。


「さ、サキちゃん、いきなりぶっちゃけないで!進行もあるんだから!」


 どうやらこの女の子はサキちゃんと言う……あ!


「や~っと思い出したわね、馬鹿猫!あらすじに出るかもって予告しておきながら最後まで出さないってどう言う事?」


「……ごめんなさい」


 サキちゃんの怒りを鎮めるには謝るのが一番だ。これで許してもらえるかどうかは分からないけど。


「サキちゃん、サキちゃんばかりでもないんやで。俺だってな、折角関西弁キャラってキャラ付けしたのに殆ど出られなかったんやから」


 マロはそう言ってサキちゃんを慰める。

 あれ?でもこれ慰めになってるのかな?

 って言うかサラッと流したけど、実は今回のこの記事でこのテキトーエッセイは終わるのです。読者の人はタイトルで分かりましたよね。


「マロはそれでも何回か単独で出られたんだからいいじゃないの!私なんて」


 サキちゃんはマロの説得を受けて拗ねてしまった。分からなくもないよ。全然出られなかったのに比べれば、少しでも出番があるだけでも十分優遇されているように感じてしまうからね。


「け、喧嘩はやめよう?ね?折角の最終回座談会がこれじゃあ話が全然進まな……」


 大福は必死にサキちゃんをなだめようとした。本番前はあんなに楽しい時間を過ごしましょうねってニコニコしていたからね。それがどうしてこんな……。


「何よ!あなたがずっと馬鹿猫の相手をしていたから他に回らなかっただけじゃないの?」


「う、酷いやサキちゃん。僕は選ばれた側だよ!文句なら直接……」


 そう、私は主に対談相手に大福を選んでいた。何故かって?それが一番書きやすいからだよ!そうだよこっちの都合だよ!いいじゃないか、私の好きに書いたって。

これは私が好きに書くエッセイなんだぞ。


「ほーう、流石馬鹿猫のお気に入りは違いますわねぇ~」


 サキちゃんはそう言って大福を冷たい笑顔で皮肉交じりに褒め称えた。こ、怖い……。


「お、落ち着こう、みんな……話を進ませないと収録が終わらないよ」


 主要キャラが落ち着かないので仕方なく作者の私が場を収めよう。いい加減、話を進ませないと。


「だから元はと言えば馬鹿猫、あなたがテキトーだからいけないのよ!私の出番も定期的に最初から計画して作っておくべきだったの!」


 サキちゃんの指摘は耳に痛い。実際そうだから言い返せないんだよね。


「ごめんなさい」


「ふん、分かってくれればそれでいいわ。最後だけは何とか私も出れたし。あらすじ詐欺にならなくて良かったわね!」


「はい。最後の最後に出演してくださってありがとうございます」


 ふう、やっとサキちゃんの腹の虫も収まったみたいだ。これで話を進められるぞ!

 と、言う訳でまずは何故このエッセイを今日で終わりにするのか理由からかな。


「じゃあ何で今日でこのエッセイを終わりにするかだけど」


「ネタが尽きたんでしょ」


「めんどくさくなった」


「飽きたんやろ?」


 私が話しかけるとみんな一斉に好きな事をバラバラに言い始めた。その全てが当たっているから恐ろしい。みんないつの間に心を読む能力を?


「くっ、みんな鋭いね……」


「あら?全員正解で逃げるつもり?勝者は常にひとりよ!」


 サキちゃんは玉虫色の回答がお気に召さないらしい。仕方ないな。それじゃあ一番の理由を話すしかないか。私は三人の回答を書いたフリップを前にして一つの回答を選んで指差した。


「君の言う通りだ!フク!」


「えっ?僕?」


 そう、大福の書いた回答「めんどくさくなった」これが一番の理由だ。早速目の前のひとりと2匹にその理由を説明する。


「このエッセイはさ、最初こそ何の細工もせずに更新の日付の順番に並ばせていたんだけど、その日ごとに内容が混ざってしまうのも読み辛いかなと思って後で内容順に並ばせるようにしたんだよね」


 そこまで話すとさすが勘の鋭い大福は気付いてくれた。


「ああ、エピソードの入れ替え……」


 そう、今の書き方だと記事を書く度にエピソードの入れ替えをしなくちゃいけない。ぶっちゃけ、それが面倒って言うのが一番大きいんだよね。


「呆れた話ねぇ。そのくらいの手間は惜しむんじゃないわよ」


 私の話を聞いてサキちゃんからきつい言葉が飛んで来た。ううっ、ごめんなさい。


「まぁまぁ、エピソードが増えていく度に入れ替えの手間が増えていくんだから仕方ないよ」


 サキちゃんの言葉に困っていると大福が僕に援護射撃をしてくれた。理解者がいるっていいな。

 こんな時、マロは何をしているかと言えば……寝ていた。まぁ描写が楽になるからいいけど。マロ、ずっと寝ていてええんやで。


「まぁいいわ。馬鹿猫の苦労も分かったし、はい、お疲れさん」


 ああ、サキちゃんの反応がぞんざいになってしまった。言いたい事を全部ぶちまけたから気が抜けちゃったのかな?


「あ、そう言えば今回台詞だけじゃないんだね。地の文がある」


 大福が今頃になって今回の演出に気がついたようだ。遅い、遅いよ!

 でも気付いてくれて良かった。このままスルーされるかと思った。

 それじゃあ説明しましょうかねぇ。


「ほら、最初は小説で日記を書こうってコンセプトだったから」


「じゃあ何でそうしなかったのさ」


「室内で話している体だからあんまり地の文って必要ないんだよね」


「ああ、確かにラジオっぽい感じだと地の文はあんまりいらないかも」


 ここまで話していると急にサキちゃんが声を上げた。


「じゃ、終わろっか。はい、お疲れお疲れー」


 サキちゃん、もう言いたい事がないとなると急に話を切り上げに来たー!

 ちょっと勝手!身勝手だよそれは!

 そうして彼女はそのまま帰り支度を始める。ちょ、ちょっとー。


「あのさ、終わりだけど終わりじゃないんだよ。でもある意味終わるのか」


「はぁ?何言いたいのかよく分かんないんだけど?」


 お、この私の言葉にサキちゃんが興味を持ってくれたぞ。良かった。最後までいてね。お願いだから。場が落ち着いたところで私は話を続ける。


「つまり今後もエッセイは続けるんだよ。でも書き方は変えるよ。エピソードを入れ替える必要がないようにエッセイを3つに分けるんだ」


「ああ、アニメ日記とかカクヨム日記とかその内容だけに特化するんだ。いいんじゃない?」


 さすがサキちゃん、勘が鋭い。あの一言で全て分かっちゃったね。

 でも、言及していないもうひとつの要素には気付けなかったか。


「それともうこう言う書き方はしないから。最初に台詞の会話文で進めるのはこれで最後」


「えーっ!この芸風やめちゃうの?」


 流石にこの発言にはサキちゃんもびっくりしていた。

 でも、もう決めたんだ。会話文って別に必要ないなって今更になって気付いたから。


「ごめんね、もう普通のエッセイが書きたいんだ。今まで会話文で下らない話に付き合ってくれて有難う」


 私は改めてこの場にいる2匹とひとりに感謝の言葉を述べた。これが今の素直な気持ちだけど、ちゃんと伝わったかな?


「寂しいけど、仕方ないね。今までお疲れ様」


「こら、フク!あんた素直に受け入れ過ぎ!少しは抵抗しなさいよ!」


 対応が両極端な飼い主と飼い猫コンビ。はぁ、と私は思わずため息を付いた。

 サキちゃんはきっともっと出番が欲しかったんだろうな……その望みに応えられなくて本当に申し訳ないよ。

 私が暗い顔をしていると大福が心配そうに声をかけて来た。


「サキちゃんはああ言ってるけど、本当は馬鹿猫の事嫌いじゃないから……」


「ちょ、馬鹿!……それで?言いたいことはもう全部言い終わったの?」


 サキちゃんはちょっと顔を赤らめながら私に言い寄ってきた。か、顔が近いよサキちゃん。こっちが照れちゃうよ。

 えぇと、サキちゃんの質問に答えなくちゃ。


「そうだね、言いたい事は言い終わったよ。みんな今まで有難う、そしてお疲れ様」


 僕が満足気にそう言い終わると、サキちゃんは読者のみんなに最後の挨拶を始めた。借りてきた猫みたいな営業スマイルを浮かべながら声もかわいい猫なで声で。

 うわぁ……女の子って怖い。


「このエッセイではここで終わりだけど、私の活躍は「猫がきゅうりに驚く理由」で読めるから安心してね!じゃあお疲れ様!行くよ、フク!」


「うわ!ちょっと、僕にも何か話させて……」


「あんたはずっと本編で話していたんだからいいでしょ、ほら、行くよ」


 このエッセイで一番私と話していた大福はサキちゃんに強引に連れて帰られてしまった。彼にとってサキちゃんは飼い主だからね、仕方ないね。


 最後にこのスタジオに残ったのは熟睡しているマロと私の2人。ああ、どうしたらいいのかなこれ。

 マロはスタジオのスタッフに任せて私も帰ろうっと。

 最後に私は寝ているマロに声をかけて、それからスタジオを後にした。


「それじゃあね、マロ。今まで有難う、お疲れさん。先に帰るね」


 そんな訳で中々ネタがバラエティ豊かだったこのテキトーエッセイもここで終わります。最後まで読んでくださり有難う御座いました。


 次回からは総合エッセイじゃなくて個別のネタを細分化したエッセイで再出発します。

 新しくなったエッセイも、もし良かったら読んでくださいね。

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