夕焼けと古びた館
街のはずれに入り始めて東の空がオレンジ色がかってきたころ。
「結構移動したと思うがまだか?」
「あと5分もあれば着くと思うわ。」
どこに走っているのか分からなくなってきたが頑張るか。
…
タッタッタ…明らかに5分以上走る音だけが響く。
「…5分はたったと思うけどまだか?」
「うーん。確かここらへんに館があったはずなんだけど…あ、あった!」
トーカが指差す方向を見ると壁に蔦や緑の苔が見えるいかにも古そうな館がある。
そしてすこし街のはずれだからか建物がでかいし、高い。
マンションでいうなら5階建てぐらいだろうか。
「あの壁に苔とか付いてる館か?でかいな」
「ほら、あの館の上、あそこから見る景色が凄く綺麗なんだよ!」
確かに館の上のほうは日が照っていてオレンジ色に染まっている。
景色はすごく良さそうだが…
「誰かの住んでいる家じゃないのか?」
「昔、住んでる人がいたけど今はいないから大丈夫よ。」
「今はいないって…それ、大丈夫じゃないよな?」
自分の背から降りてとことこと歩いてってるトーカに言うが、
「早く行きましょ。夕焼けの景色が見れなくなっちゃうじゃない。」
と言ってウルマの手を引きながら館へ入っていった。
確かに夕焼けの景色は見れなくなっちゃうかもしれないけど…。
「というか住んでたらこんなに古びてたりしないわよ。」
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「それで?館の中に入ってしまったけど上のほうにはどこに行くのかとか分かってるのか?」
「分かってるわよ。この階段を上がっていくの。」
館の入ってすぐの螺旋階段を指差した。
「そこを上っていくのか?」
上を見上げるとステンドグラスが見えた。
ここは教会だったりしたのか?
「…まぁ、今は行くか。」
螺旋階段を上に上がっていくと夕日が差し込む小さなテラスを発見した。
「そこで見るのか?」
「ここ、きれいでしょ?」
あぁ、夕日が地平線に沈んでいくのが見える。
「夕日がきれいだな…。」
「えぇ。ここまで来れてよかったわ。…まぁ、3日もしないうちに着けるなんて思ってなかったけどね。」
地図とか見てないからどれぐらい走ったのか分かってないけどね。
「ねぇ、ウルマ?」
何かを思ったのかトーカが話しかけてきた。
「ん?なに?」
「私のこと…どう思ってる?」
…へっ!?
防御∞勇者 seorina @seori
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