四発目『ダークスカーツ』roy(ファンタジー)

 いやぁ、どうもどうも。

 ACE23のカスタム悩むんだけど、やっぱりスタビーヘビバレかしら?

 違うんですよ、奥さん。アングルオンリーが大正義です。

 

 開幕から何言ってるんだと思った皆さん、こんばんわ。

 えーっと、バトルフィールド4っていう愛すべきクソゲーの話です。申し訳ありません。

 FPSっていう銃を撃って敵を倒すどうしようもないジャンルのゲームなんですが、このゲーム……なんとね、弾が敵をすり抜けるんですよ。


 はい、どうでもいいですね。さっさと本題に入りましょう。

 今回は大作ファンタジーを紹介させていただきます。


 タイトル:ダークスカーツ

 作者  :roy

 URL  :https://kakuyomu.jp/works/1177354054880199697


・あらすじ


物語とは、選択と結果である。

異世界・イシス。そこは飢餓と魔物が蔓延り、『赤子』が生まれなくなった世界。絶望する人々に天使ジェスラードは要求した。


「地上で最も善良な若者の命を差し出せ」


主人公カーツは『生贄』を選定する『調停者』の運命を背負っていた。

世界を救うため、たった一人の命を捧げなければならない。

強い意志を持つ騎士か。美しい心を持つ奴隷か。何の取り柄も持たない卑屈な少年か。最後に選ばれるのは果たして誰なのか。


そして物語の結末は、一つである。

(※上記のあらすじに関しては作者様のページより抜粋させて頂いたものです)


 ファンタジーが読みたいのおおおおおおおおお! それもハイでダークなやつ!

 荒廃した世界で! 命懸けの冒険を! してくれるようなお話が読みたいんですよ。しかも、世界観がしっかりしていて! 異世界ならではの文化に! 触れられるような作品。

 そんな物語がどこかにないかしら?

 風呂上がりでパンツもはかずに、いいや、パンツで髪を乾かしていた私は、そんな欲望を満たしてくれる素晴らしい作品と巡り会いました。


 それが『ダークスカーツ』です。いやぁ、この作品はとても面白いです。

 スカイリムやウィッチャーなどの大作ファンタジーゲーが好きで、現実世界よりもアッチのほうが居心地よくね?って趣向の方には、ぜひともお勧めしたい作品です。


 この『ダークスカーツ』は主人公であるカーツの一人称にて語られる物語です。

 そして物語は、カーツが牢屋にブチ込まれているシーンから始まります。


 これがまた見事な書き出しなんですよ。

 どうやらカーツ君は悪いことをして牢屋に入れられたようなんですが、その理由が自分にもわからない。断片的な記憶しかない彼にはない。

 写実的であるよりも、心象的な描写で徐々に立ち上げられる物語の開幕と相まって、出鼻から「この小説、ただもんじゃねぇな」と読者の心をグッと引き込む魅力がプンプンと漂っております。


 そう、心象的。あぁ、これはポイントですね。

 丁寧に風景を描写するよりも、語り部である主人公がどのように感じたかを重視したスタイルで物語は進展していきます。

 それがカーツ君のキャラクター性と面白いほどマッチしているんです。

 言い忘れていましたが、なんとこのカーツ君、記憶喪失なんですよ。

 そして記憶消失の男の視点から見た世界と、センスある心象的な文章が見事に相まって、独特な世界観が見事に描かれているんです。


 簡単に言うなら、イメージとして強烈に伝わってくるってことです。

 あらすじにもある通り、作品内世界であるイシスには子供が生まれなくなっているんですが、それに関して具体的な描写が入るシーンがあります。

 そのシーンで読んでいてワタクシ、思わず背筋がゾッとしてしまいました。


 これでもグロ耐性は強いと自負していたのですが、いやぁ、ポジティブな意味で心地悪さを感じましたね。

 荒廃した世界において、こんな現実を突きつけられたら、そりゃあ世の中暗くなりますわなぁ。

 しかしダークな世界観を描くにおいて、こういう残酷な描写は必要不可欠。だからこそ描ける要素ってありますもの。

 

 特にこの作品は、そういうダークな世界観だからこそ描けるものに強いメッセージ性を感じます。

 主人公であるカーツは世界を救うために一人の犠牲者を選ばないといけない立場に置かれてしまったのですが、彼はその事実と葛藤します。

 はたして誰かを犠牲にしてまで世界は救われるべきなのだろうか?

 その誰かを自分なんぞが選ぶ資格があるのだろうか?


 この手のテーマを扱う上で残酷な世界の事実を描写しないのはおかしいですよ、カテジナさん。

 残酷だから救われることに価値が生じますし、そんな残酷なものに救う価値なんてあるかと葛藤することに意味が生じます。

 人間や世界の醜い部分と綺麗な部分の両方を描いた上じゃないと、説得力が出ないんですよね。だから描くのが難しいテーマなんですが、この『ダークスカーツ』では見事に描写されています。


 そして、なにより。

 とんでもなくテンションの上がる女騎士が登場します。


 マジメな話なんてもう限界だ! 俺はキャラ萌えするぞ! 「おんにゃのこがカワイイのじゃー!」しか喋りたくないぞ! トリスティスー! 俺だー! ぴたりと俺の隣に張り付いて歩き、時々様子を伺ってくれー!


 そう、トリスティスです。

 彼女の職業は女騎士です。いやぁ、いいですねぇ、女騎士。気高くて強い女性というのは、見ているだけで鼻の下が伸びる思いですよ、えぇえぇ。


 私の趣味趣向はともかくとして、彼女は読者にとって非常に魅力的なキャラクターであることは間違いありません。

 登場人物の多くは、作品内世界であるイシスの道徳基準を順守しており、つまり異世界の常識に囚われているのですが、彼女は少し違います。


 騎士という道徳的な立場でありながらも、世界の持つ常識に対して懐疑的な一面があります。例えば、彼女の上官であるクラルという男は世界のルールに対して非常に従順な態度を示すのですが、トリスティスはルールに反抗的な態度を示した主人公へと感謝の言葉を述べます。


 彼女は主人公同様に、世界を救うために誰かを犠牲にすることに対して疑問を感じている数少ない(少なくとも公開されている現時点において)キャラクターです。

 だから記憶喪失の上に、世界のルールに関して疑問を抱いてしまった主人公が共感できる唯一無二のキャラクターなんですね。


 なのに! 自分は女騎士であるからクラルの決定には従うという健気さ。この内面と立場のギャップ! ワタクシもう涎が止まりません!

 どこかに気高い女性の騎士様っておりませんか? ございましたら是非ともご一報下さいませ。胸部のアーマーを贈呈します。ビキニですけど、防御力はちゃんと上がりますよ。


 そんな『ダークスカーツ』なのですが、この文章を書いている現在、第二部の10章まで公開されております。どんな生け贄候補が出てくるのか、続きをワクワクできる状態です。

 そして世界観も広がっている最中。一つ一つの設定が非常に作りこんでおられますので、新しい街に行く度にどんな世界が広がっているのか好奇心を唆られます。

 冒険へと旅立つには、まさに絶好のタイミングです。

 


 気になられた方がおりましたら、ぜひ一読のほどお勧めいたします。


 


 



  

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小学生並の感想文 山田屋 @yamadaya

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