若者ならではの世界の広がりに心ときめく

今さら言葉を並べるまでもないかもしれません。カクヨムからの書籍化作品の中でも、特に一般小説寄りの素敵な読み味を持った作品でしょう。

一台のスーパーカブと出会って人生を変容させていく主人公。
10代の若者にとって、乗り物の違いはそのまま行動範囲の違いなんですよね。
徒歩より自転車。自転車よりバイク。(そしてその先には自動車。)
この年頃ならではの、交通手段ひとつで世界が大きく広がっていく感じがよく表れているのが、この作品の一番の持ち味だと思います。

そして、最終話のラストの一文は鳥肌物です。どんな大量生産品も、一つ一つ、手に渡った人の人生を変えている。作者の思いが込められた一文ですね。

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