(後編)
「久しぶりだな。
「お久しぶりですね。土野植警部」
「土野植警部、お久しぶりです!」
蒼姫さんの次に
「今日の敬礼も、ばっちりと決まってるじゃねえか。」
「毎朝、休まず敬礼を猛練習していますから。」
そう言って白菊さんは、もう一度、綺麗に敬礼をする。それを見て、土野植警部が、"うんうん"と頷いた。そして、自分に気づかれた様なので挨拶をする。
「おっ。新入りか?」
「初めまして、志名川学園高校探偵部1年部員の
「俺の名前は、
自分の挨拶の流れで、蒼姫さんに話を振る土野植警部。
「あれから、
「彼女か?ああ、元気にしているよ。ちゃんと、生きて罪を償うってな。まぁ彼女にも、
「本当ですか?それは、よかったです。」
「でも、あの事件に関しては君たちがあの場所にいなかったら、未解決のままだったかも知れない。本当に感謝する。」
そう言うと、土野植警部は頭を下げた。蒼姫さんは少し驚きつつ、土野植警部に話しかけた。
「いえいえ。こちらこそ、恐縮です。頭を
「すまないな‥。」
二人の話を聞いていた自分は、ふと疑問に思った。そう言えば、確か…。
「会話の途中で申し訳ないですが、その事件って
「その通りよ。小早川君…」
「でも当時、"七夕町事件"を中京新聞で知ったんですが、記事の内容には一切、蒼姫さんや白菊さんのことが書かれていなかった
「その事も踏まえて俺は今、謝っている。上の連中たちは、民間の方に事件を解決されて、あまり良くないと思っているんだ。
土野植警部の話を聞き、しみじみしていると白菊さんが全員に話しかけた。
「さっきから思っていたのですが、この若い刑事さんは誰ですか?」
「そう言えば、
土野植警部が、そう言うと、
「それじゃあ。
「近森は今、ここのグラウンドに向かっている。」
「どうして、ですか?」
「どうやら、"人らしきもの"が、グラウンドの奥に倒れているらしいんだ。」
『人らしきもの!!』
蒼姫さんと白菊さんの驚く声が被った。土野植警部は、二人の声に少し
「ああ。それで、近森を向かわせている。」
「土野植警部、ここにいたんですか!」
突然、廊下の奥から声が聞こえた。
「近森刑事の声じゃない?」
そう、白菊さんが蒼姫さんに話し掛けた。見てみると、一人の若い刑事が、こっちに向かって廊下を走っていた。
「本当ね。近森刑事だわ」
「あれが近森刑事…。」
土野植警部よりも背が高く、顔がシュッとしている。大阪タイガースの次世代エース候補である大型若手投手に
「おい、廊下を走っちゃいかんだろー。」
「すいません。でも、それどころじゃないんです!」
「どうしたんだ」
「それがグラウンドの奥に倒れていたものが、"人らしきもの"ではなくて、“人”だったんです!」
「人だった!?」
今度は、土野植警部が驚きの声を上げた。近森刑事は、土野植警部の驚く声にかなり戸惑いつつも、報告を続けた。
「発見した時には、既に亡くなっていました。服装と被害者の生徒手帳から、この高校の生徒だと分かりました。そして、被害者の顔と生徒手帳の顔写真の一致から、被害者は、3年生の
近森刑事の報告で、自分は
蒼姫さんと白菊さんの一通りの説明が終わり、土野植警部と里竹刑事は、校舎内にいる生徒や先生たちの事情聴取をしている。その間に自分たちは、近森刑事と共にグラウンドの奥にある“もう一つの現場”へ向かった。
外の雨はすっかり止み、雲の切れ
「さっき、ここに着くのが少し遅れたのは、道中でスリップ事故の渋滞に巻き込まれてね…」
「近森刑事に一つ尋ねたいことがあるのですが。」
「なんだい?」
「私たちが歩いてる通路の近くに二つの足跡がありますが、それらは、誰の足跡なんですか?」
「ああ、その足跡かい?二つの内の一つは、被害者である大梅甲斐さんの足跡だと分かったんだけど、もう一つの足跡が誰のものか・・。まだハッキリとは、分かっていないんだよ」
「失礼ですが、近森刑事さん達はどのようにして、大梅先輩の場所に辿り着いたのですか?」
「僕たちかい?僕たちは、このビニールシートの下にある
「そうですか…。ありがとうございます」
「蒼姫さん、何か気づいた点でもあったのかい?」
「いいえ、まだ何も…。」
「そっか。また気になる事があれば、すぐに言ってくれれば、いいからね。小早川君も白菊さんも、守秘義務範囲外の答えられる範囲の質問は、"極力"答えるようにするから。」
「はーい」
「ありがとうございます」
白菊さんと自分は、前にいる近森刑事に返事をした。校舎から校庭の奥までは、歩いて約数分で着く。そうこうしている内に"もう一つの現場"へ着いた。近森刑事が話をする。
「ここが、もう一つの現場だ。被害者の遺体は、鑑識課の人たちが証拠採取をしていて、すでに運び出されているけど…」
もう一つの事件現場は、グラウンド奥にあり、数十年に一度の大寒波に見舞われた影響で遅咲きとなった
すると、いきなり蒼姫さんが黄色い規制線内に立ち入り、その張縄ロープ内で
「いきなり、何しているんですか。蒼姫さん!?」
「被害者の気持ちになるの‥」
「なに寝言を言ってるんですか!これじゃあ…」
「小早川君、いいんだよ。これが事件の解決に繋がるから。」
「近森刑事まで!!」
「"超感覚的知覚"」
「えっ。」
聞き慣れない言葉を白菊さんが口にした。
「それが雫の持っている唯一無二の"巻き戻し
「それって、つまり…。」
「つまり、“
近森刑事や白菊さんの言葉に
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