Case.1*spring殺人事件(学園編)
(前編)
今日は、ゴールデン・ウィークの最終日にある青空課外活動で、午前中授業のみだった為、昼過ぎには、家へ帰ることが出来る。
普段は、部活動をする生徒たちが数多く残るらしいが、あいにくの雨空なので、校内に残っている生徒は、
ふと、廊下にある緑色の掲示板に押しピンで掛けられていた
"昭和55年5月5日(月)"
地元の有名私立校である“
同じ志名川学園高校を六年前に卒業した
その二人は、実際に起こった国内外の未解決難事件を幼少の頃から解決しており、警察方面からは推理作家コナン・ドイルの名作「シャーロック・ホームズ」に
そして、愛知県警の名古屋市内における犯罪検挙率が急上昇した要因の一つだと、警察関係者の間で噂されている。
捜査当局関係者の間では、通称"アナグマ作戦"とも呼ばれていた。
一説には、将棋の守備陣形である“
また、事件当日に名古屋飛行場の周辺を拠点として、活動をしていた反空港デモ団体が、そのハイジャック未遂事件に乗じて、無線ジャックしたと言われている空港管制塔との現場やり取りが
自分より年下の
部屋の一番
蒼姫さんは、絵に描いたような
そして、
そうした面を持つ蒼姫さんだが、
因みに蒼姫さんの
たまたま、その事件現場に居合わせた“
その後、私立探偵J.J.の
そして、背後から長
確か、初めて探偵部を訪ねた時も、白菊さんが蒼姫さんに同じようなちょっかいを掛けていた。
白菊さんは、茶色の地毛をしていて、蒼姫さんとは対照的なショートヘアにしている。また、白菊さんは背が低くて、蒼姫さんにはない可愛さがある。
活発で、
そして、何よりも印象的なのは、
なお、白菊家では、“ジョン・S・ワトソン”と
因みに"S"は、名字の
白菊さんも蒼姫さんと同様に桁違いの
そして、“一人っ子”である蒼姫さんとは、米国時代からの幼
自分に気
止めようにも、"セクハラセクハラ"と白菊さんが言い出して止まらない為、無理だろうと
蒼姫さんには、心から申し訳ないと思っている。目を閉じて、そう思っていると、“コンコン”と
どうやら、探偵部に用事があるらしい。
どうするか聞こうと、白菊さんの方に目をやるが白菊さんは、少し悔しい顔をしていた。蒼姫さんに対するこちょこちょを諦めた様だ。今日の蒼姫さんは、こちょこちょ攻撃の魔の手から
白菊さんは、蒼姫さんが次のページを
訪ねて来たのは、大人しそうな雰囲気の男子生徒だった。蒼姫さんは、「立ち話も何ですから、どうぞソファーへおかけ下さい」と男子生徒を自分が部室中央で座っている茶色の縦長ソファーに
「私は、
自分は会釈をしたが、白菊さんは何もしない。そのまま、会話が続く。
「小早川君と同じ一年生の
「小宮君は今回、どのようなご用件で、探偵部に来られたのですか?」
「実は、先輩の姿が消えたんです!」
突然、小宮は驚いたように答えた。自分は小宮の言葉に?となった。すると、白菊さんが「先輩が消えた!?」と変な声を出してしまった。一瞬、部室内は静まり返ったが、蒼姫さんは、冷静に話の続きを聞き始めた。
「まず、このことは担当の先生に相談しましたか?」
「いえ、まだです。もし、何もなかった場合、
「それで小宮君は、この探偵部に?」
「はい」
小宮は何となく、うつ向き
「
「僕は二時間前の午後一時に教室で昼食を食べた後、3年生の
「その大梅甲斐先輩と小宮君は、どういう関係で?」
「僕は写真同好会に入っていて、大梅先輩は写真同好会で唯一の先輩です」
「他の部員の方は?」
「大梅先輩以外に部員は居ません」
「そうですか…。では、話の続きを
「はい。それで、写真同好会の部室に行くと、部室の鍵は既に開いていて、中に入ると机の上に大梅先輩の
そう言うと、少し前までうつ向き加減だった小宮が顔を上げた。
「それは今、持っていますか?持っているのなら、ぜひ見せて頂きたいです」
蒼姫さんは、手紙の存在を確認するため、小宮に手紙の拝見を要求する。それと同時に蒼姫さん制服の胸元ポケットから白手袋を取り出し、片方ずつ手袋をはめた。タクシー運転手さんたちがしている様な手袋で、自分と白菊さんも、その袋を持っている。因みに白手袋は自費だ…。
「それなら今、手元にありますよ」
すんなりと答えた小宮は、制服のズボンポケットから、きれいに小さく四つ折りされた紙をおもむろに取り出して、蒼姫さんに手渡した。
「これが、その手紙です。どうぞ」
「拝見します」
小宮から受け取った手紙を蒼姫さんは広げた。白菊さんと自分も広げた手紙を
「ここに書かれている"急な用事"に心当たりは、ありませんか?」
「ないです。何も大梅先輩からは、聞いていません」
「そうですか…。それで、手紙を読んだ小宮君は、大梅先輩が気になり、大梅先輩を探したけれども、大梅先輩は見つからなかったと?」
「その通りです。」
小宮への質問を一通り終えて、蒼姫さんは目を
「あたしはもう一度、探した方がいいと思う。もしかすると、大梅先輩がひょっこり現れるかも知れないし…」
その話を聞いた蒼姫さんは、直ぐに納得した。
「そうね。ここに居ても仕方がない。小宮君と小早川君もいいでしょ?」
小宮は、蒼姫さんの言葉に頷いた。続けて、自分も蒼姫さんの言葉に頷く。
「それじゃあ、決まりね。華絵のナイス提案!」
そう言った蒼姫さんが、少しわくわくしている様に見えた。
蒼姫さんと白菊さんの提案で、先ずは新校舎を4階→3階→2階→1階の順で探すことになった。そして、大梅先輩が書いたとされる手紙を蒼姫さんは、小宮から預かった。話が終わり、大梅先輩を探す為に部室を出ようとした時だった。小宮が今まで座っていたソファーに
部室から出ようとしていた小宮に透かさず白菊さんが、「少し準備支度があるから、廊下で待ってて」と頼んだ。それに対して小宮は頷き、探偵部の部室を出た。ドアが締め切られたことを確認すると、蒼姫さんは自らの席へ向かう。蒼姫さんの部長席にある木製机には、鍵付き引き出しがあり、その中には色々な探偵道具が入っている。その鍵を持っているのは、言うまでも無く蒼姫さんだ。卒業後に入ってくる後輩が探偵部に
蒼姫さんは、紐付けされた鍵を首から解き外した。鍵は普通より小さめの大きさで、長細い。鍵先はF字形だ。蒼姫さんは迷うことなく、左側の引き出しの鍵穴に鍵を差し込み右にひねる。引き出しから"カチッ"と音が鳴った。鍵をそのままにして、少しずつ引き出しの取っ手を引く。その引き出しの中には、手にすっぽりと収まる単眼鏡や黄色い規制線、ローライ35Sという高価なフィルムカメラ
作業が終わり、気を取り直して、大梅先輩を探し始めることになった。先に部屋を出ると、部室前の廊下にいた小宮は、大窓から雨空を眺めていた。暇な自分は、小宮に語りかけた。
「遅くなってごめん。少し準備をしていて…」
「いやいや全然、
そう言うと、何故か小宮は苦笑いを浮かべた。丁度、部室から白菊さんと蒼姫さんが出て来る。蒼姫さんが部屋の鍵を締め終えた直後だった。突然、雨音を遮る様にして、女性の悲鳴が新校舎内に響き渡った。いきなりの出来事に自分と小宮は驚いたが、蒼姫さんと白菊さんは、直ぐに駆け出した。ふと、我に返った自分と小宮も、蒼姫さんと白菊さんを追う様にして、悲鳴のあった場所へと向かう。
蒼姫さんと白菊さんは、まるで悲鳴の場所を知っているかの様に廊下を進む。新校舎の階段を2階から1階へ降りた直後だった。蒼姫さんと白菊さんが足を止めた。二人の立ち止まった先を見てみると、
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