美しい情景描写と、微笑ましいラスト。1000文字以下とは思えない読みごたえです。
前半で孤独な世界を描いておいて、その冷たい白さを一瞬で暖かい白さに変えるラスト。 何よー! 幸せなんじゃないのよー!
雪景色や細かい描写がとても魅力的でした。短編で人、景色、心情を表現するのはとても困難なのですが、上手くまとまっています。全体的にもう少し冬の静寂感や透明感を出せるんじゃないかな、と惜しい気持ちもしますが、短編作品の中では間違いなくオススメです。
情景描写でここまで読ませるものを書けるのが羨ましい!自分は会話メインになってしまいがちなので、素直にすごいと思いました。掌編というものにあまり手を出したことがないのですか、こんなにきれいな世界に浸れるならもっと読んでみたいと感じさせられました。
名も無き主人公の情景語りから始めるこのお話。だいぶ短めですが、数々に散らばる情報が色々な想像をかき立てる良いお話となっています。人によっては消化不良に感じるかもしれませんが、主人公の行く末に色々と思い馳せてみるのもまた一興ではないでしょうか。
徹底した白い描写だけが続くのに、なぜこんなに色んな色が浮かんで来るんだろう。その答えは最後の一行にある。思うに白という色は何色にも染まらない。しんしんと降り注ぐ雪も、自由に描ける真っ白なキャンバスも、染まらない。だが、白は全ての色彩を映し出す。白い世界には、いろんな色が溢れていた。
とても切なく悲しげな世界観を丁寧に描写してあり、美しさを感じました。 白という色がここまで悲しげに染まるものなのだな、と思いました。 だからこそ、それとは対照的に描かれたものの輝かしさもまた一段と光を増していて、これぞ完成された作品だと思いました。
真っ白な世界の中に入り込んだような気持ちになりました。――そしてその先にある幸せの瞬間ーーじんわりとあったかい気持ちになれる。そんな物語です。