第5話 消去

自分の思い通りの世界にするためには、自分にとって余計な物を消去すればいい。それは、簡単なことではない。しかし、ボクならできる。このサイトを使えば、いくらでも不要なものを消せる。

「ねえ、久保くん。最近変わったよね。」

「ん?別にそんなふうには思ってないけどー」

「何ていうか、目つきや口調色々変わったよね、余程学校がなくなったのがショックなの?」

「別にー 行きたくもなかった学校が消えたんだよー 別にいいじゃん」

「前までの久保くんはそんな風じゃなかったのに、どうしたの?」

「うるせーな お前の知ったこっちゃねーだろ」

「久保くんなんて...大嫌い。」

大嫌い...か。なんなら、お前もこの世界から消してやる。

「中谷 優香っと」

あれ?何も起きない。どうしてだ?宮田と同様に何も起きない。一体どういうことだ。なぜ、何も起きない。まあ、いい。無視をすればいいんだからな。

数時間後の事だ。中谷から電話がかかってきた。面倒くさいと思いつつもボクは電話に出た。すると、彼女はこう言った。

「やっぱり、久保くん。あのサイト利用したんだね。」

「あぁ?どういう事だよ。」

「気づいたんだ。私。このサイトの利用者を見つける方法。」

「どういうことだ。」

「宮田くん、書いたのに何も起きなかったよね。それから数日後に彼に聞いたんだ。そしたら、彼、本当のことを白状してくれたよ。彼、中学時代にいじめられてたんだって。それの復讐のためにそのサイトの存在を知って、そいつらを消したんだって。」

「で、どうしてボクが利用して...まさか、お前。」

「そうだよ。久保くんの名前を書いたのに何も起きなかったんだよ。これってどういうことかわかるよね。」

「ふん、なるほどな。でも、お前も利用してたんだな。」

「利用?久保くん、何か勘違いしてない?」

「ん?どういうことだ?」

「このサイトの存在を教えたのって誰だっけ?」

「誰って...。お前がその噂を俺らに教えたじゃないか。」

「そうだよね。でも、それが噂じゃなかったとしたら?」

「噂じゃないってどういうことだよ。」

「勘が鈍いよね、久保くんって。要するに、私はそのサイトの存在を以前から知ってたの。」

「...。」

「驚きに言葉も出ないかな。もっと言えば、このサイトを作ったの...わ、た、し、だよ。」

「え?まさか、お前、自分で父親を...。」

「違うよ。それはね......。秋山慎吾...。ふうん。お父さんと同じ出版社の人か。ぽちっと。明日のニュース楽しみにしといてね。」

「おい、明日のニュースって...。」

そこで、電話は切られた。まさか、中谷があのサイトの製作者とは...。明日のニュースって、一体なんだよ。

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