エラーコード404

くり

第1話 噂

「ねえ、知ってる?あるサイトがあるんだけどさ、そこで人の名前を検索したら、時々その人が行方不明になってしまうの。」

「へー。おもしろそうじゃん。」

「今度試してみようぜ。」

そういって、僕、中谷、斉藤の3人はパソコン室でその噂のサイトを開くことにした。そのサイトは背景が一面真っ黒でサイト名は赤文字で「ようこそ」と書かれていて、検索欄があった。

「どうするの?誰の名前で検索する?」

「じゃあ、試しにあいつにしてみようぜ。」

「あいつって、クラスメイトのあいつか?」

僕達のクラスメイトに一人ぼっちで、友達のいない宮田という奴がいた。試しにそいつの名前で検索してみた。しかし、何も変化が起きない。

「なんだよ、単なる噂だったのかよ。つまんねーの。」そう言いつつ、斉藤は今度は自身の名前を入力した。すると、

「404 Not found」

「あれ、これってなんだっけ?」

「たしか、そのサイトが存在しない時のエラーメッセージだったっけな。」

「でも、なんで404のエラーなんて出たんだろ。」

「さあな。ってか、もうこんな時間か。俺そろそろ塾の時間だから、帰るわ。」

「じゃあ、私達も帰ろうか。」

そういって、斉藤は自転車で塾へ向かった。

僕と中谷さんはそれぞれ家に帰った。

その日の晩の事だった。

「裕二、学校から電話よ。」

「なんだろ、こんな時間に。」

「おう、久保か。お前、斉藤知らないか?」

「え?」

「いや、斉藤のお母さんから斉藤が帰って来てないって電話がかかってきたんだ。お母さんの話によると、塾にも電話したが、確かに塾には来てたそうなんだ。そっから、行方がわからないらしい。斉藤に電話をかけてもでないんだ。」

「そうですか。」

「お前、斉藤見てないか?」

「塾に行く前までは一緒にいたんですが、そこからはよくわかりません。」

「ふむ、そうか。わかった。とりあえず、何か危険なことに巻き込まれてなければいいんだが。」

そういって、電話は切れた。

「裕二、学校で何かあったの?」

「斉藤が家に帰ってきてないんだって。家出とかじゃないの?」

「あら、そうなの。早く帰ってきてほしいよね。」

翌日、学校に行ったら、普段は早めに来ている斉藤がいなかった。一時間目、二時間目、三時間目、四時間目、昼休憩、五時間目、六時間目と時間が流れても、斉藤が今日学校に来ることは無かった。

「斉藤くん、結局学校来なかったな。」

「ああ、そうだな。ん?結局ってなんだ?」

「え?あのね、私、先生から聞いたの。家に帰ってきてないって。」

「お前もか。俺も聞かれたぜ。塾に行く前までは一緒だったのは言ったけど。」

「久保くん、もしかしてさ、昨日のサイトと関係してたりするのかな。」

「馬鹿いうなよ、そんなの、たまたまだろ。」

「それならいいけど。」

ふと、思った。昨日調べた宮田は普通に学校にいた。しかし、斉藤は学校に来なかった。この違いはなんなんだ?僕の頭にその違いが違和感として頭に残った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る