地形すら変えてしまうほどの強大な力を持った敵【パラレイド】に、訓練兵である少年少女たちがロボットで立ち向かっていく――という王道ストーリー。ロボット小説ファンならどなたでも楽しめるだろう。様々な個性を持った仲間たちとの出会いや戦闘を通じて、主人公が成長していく。
敵がとにかく強い。凶悪な兵器を搭載していて「こんなの勝てるんかいな」と思ってしまうほど。しかし、それがこの物語を大きく盛り上げている。彼らとの戦闘は人智を越えた領域にまで踏み込む。
細かな世界設定に、作者が持つロボットへの情熱を感じられる作品。
シリーズの第1作なので細かい謎については明かされませんが、その戦闘描写に目を惹かれました。
壊滅的なカタストロフから始まる、既に圧倒的劣勢に立たされた人類の、しかもまだ年端もいかない幼年兵の戦いを描いた本作。
大人ほど割り切れておらず、かといって子供ほど無邪気でもない彼らは、様々なことに悩み、葛藤し、反応しつつ、目の前の絶望と戦っていきます。
その中でも主人公の統矢は、少年ながら既に歴戦の風格を漂わせる戦士であり、幼年兵の仲間達の中にあっても、また大人達正規兵の中にあっても異質な存在であり、そこが本作の魅力でもあります。
どこか懐かしい、そしてその強さを誰もが知っている強大な敵を相手に、それら敵と比較すればあまりにも非力な戦力で立ち向かう。それはまさに、人類最後の反抗といっても差し支えないでしょう。
絶望の中で描かれる人間模様。そして、絶望を切り裂く諦めない心。この二つが貴方の心に響くならば、本作は間違いなく唯一無二の輝きを放っていると断言できます。
復讐から始まるドラマ、徐々に見出していく仲間との絆が熱い!
全てが戦争に振り向けられ、幼年兵として駆り出される狂った戦場。
そんな鈍色の青春で成長していく主人公には、王道的な見応えたっぷりです。
それに加えて、ロボットの機構にまで言及していくメカ描写も濃い!
ロボ作品への愛を感じるような台詞、シチュエーション、そしてメカ描写。それぞれの要素が絡み合っているからこそ、ロボ好きでもそうで無くとも楽しめる作品になっているのだと思います。
用語は多めですが、それを差し引いても読み易いという辺りに表現力の巧みさが込められていますね。
是非、幅広い層に読んで頂きたい作品です!