『問題児シリーズ二次創作』問題児たちが話しているそうですよ?

龍虎

第1話 「私のギフトが効かないなんてよっぽどの霊格の持ち主なのね」

―――箱庭二一〇五三八〇外門居住区画・“ノーネーム”本拠。飛鳥の私室。

まるで日本の夏を思わせるようなミンミンミンとうるさい鳴き声が鳴り響く中、逆廻 十六夜さかまきいざよい久遠飛鳥くどうあすか春日部耀かすかべようの三人が一堂に会していた。


「ほんと、五月蝿うるさいわね」

「たく、暑くもないのに何なんだこの蝉みたいな鳴き声は」

「蝉じゃないことは確か、鳴き声が微妙に違う」


 どうやら問題児三人にも参るという概念はあったらしい。珍しく三者三様精神的に参っている様子だった。十六夜はテーブルに置いてあるティーカップを持ち紅茶を飲むとお嬢様こと久遠飛鳥に確認する。


「お嬢様でも何とかならないんだよな」

「ええ、そうなのよ。では試しにいくわよ」


 久遠飛鳥は蝉時雨せみしぐれの音がうるさい上の階に向かって一喝した。


「鬱陶しいのよ。黙りなさい!!」


 久遠飛鳥くどうあすかのギフトである“威光”によって収まるかと思われた蝉に似た鳴き声だが予想に反して鳴り続けている。

 久遠飛鳥は《くどうあすか》はため息をついた。


「私のギフトが効かないなんてよっぽどの霊格の持ち主なのね」

「鬱陶しいな。俺が屋敷ごと破壊してやろうか。ヤハハ」

「止めてよ。私たちのメイドやノーネームの子供たちが死んじゃうじゃない」


 涼しい顔でそんなことを言う飛鳥あすかにヤハハというどこかうそ臭い笑いで十六夜は答える。黒ウサギがさりげなくメンバーに入っていなかったことは気にしてはいけないのだろう。

 そこには誰も突っ込まず会話は進んでいく。


「春日部さん、どこにこの音の発生源があるかわかる?」

「上としかわからない」

「春日部でもわからないか。それにしても妙だな。上ということが判るし鳴き声も聞こえるのに春日部がわからないなんて」


 

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