概要
遅い。――でも、ここから先は全部知っている
「君との婚約は破棄した。今さら何を言おうと遅い」
頬をワインが伝う。大広間の時計は、夜八時を五分過ぎていた。
――知っている。一年後、私はこの人に処刑される。
死に戻るなら、破棄の前がよかった。五分、遅い。
だから公爵令嬢ルツィエは、濡れたドレスのまま微笑んだ。
「では殿下、三つ当てますわ。今夜、馬車の車軸が折れます」
笑い声の中、玄関で乾いた音が鳴る。
破棄は取り消せない。けれど、この先一年に起きることは全部覚えている。私の罪状として、読み上げられたから。
遅い。――でも、ここから先は全部知っている。
頬をワインが伝う。大広間の時計は、夜八時を五分過ぎていた。
――知っている。一年後、私はこの人に処刑される。
死に戻るなら、破棄の前がよかった。五分、遅い。
だから公爵令嬢ルツィエは、濡れたドレスのまま微笑んだ。
「では殿下、三つ当てますわ。今夜、馬車の車軸が折れます」
笑い声の中、玄関で乾いた音が鳴る。
破棄は取り消せない。けれど、この先一年に起きることは全部覚えている。私の罪状として、読み上げられたから。
遅い。――でも、ここから先は全部知っている。
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