概要
待つのは、私が決めたこと。言うのも、私が決めたこと。
大学二年の春、柏木澪は駅前の書店でアルバイトを始めた。同期の三枝悠は、必要なことしか話さない、物静かな人だった。
逆向きに差された一冊の文庫本。「言いそびれて」というその一言から、二人はゆっくりと近づいていく。社割を使わない理由も、おにぎりが一つだけの理由も、悠は語らない。澪はそれを、無理に聞き出そうとはしなかった。
「整うまで、待てばいい。待つのは、私が決めたこと」
優しい先輩・志水は、そんな二人を見守ってくれる、頼れる存在だった。――はずだった。
誰かの事情を知りたいという気持ちと、誰かの事情を暴きたいという気持ちの境界線は、どこにあるのか。「心配だから」という言葉の形を取って、何かが少しずつ歪んでいく。
言えないことを抱えたまま近づいていく二人と、知りたがりすぎた一人。踏み出
逆向きに差された一冊の文庫本。「言いそびれて」というその一言から、二人はゆっくりと近づいていく。社割を使わない理由も、おにぎりが一つだけの理由も、悠は語らない。澪はそれを、無理に聞き出そうとはしなかった。
「整うまで、待てばいい。待つのは、私が決めたこと」
優しい先輩・志水は、そんな二人を見守ってくれる、頼れる存在だった。――はずだった。
誰かの事情を知りたいという気持ちと、誰かの事情を暴きたいという気持ちの境界線は、どこにあるのか。「心配だから」という言葉の形を取って、何かが少しずつ歪んでいく。
言えないことを抱えたまま近づいていく二人と、知りたがりすぎた一人。踏み出
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