読んでいる間ずっと、やめとけ、預けるな、と叫びたくなります。でも本人の理屈は筋が通っているのが嫌なところ。ボイスメッセージの軽さがとどめでした。あれだけのことをして、罪悪感のかけらもない。胸糞タグに偽りなしです。そのぶん、タイトルが指し示す先に期待してしまう作りでもあります。
「恩返し」という善意が、そのまま「怨返し」へ反転していく構成が印象的です。特に効いているのは、拓也が500万円を渡す理由が単なるお人好しではなく、「昔、自分を救ってくれた親友だから」という具体的な恩に根ざしていること。だからこそ、最後にその恩を利用されていたと知った瞬間、読者まで信頼の足場を失います。善意そのものが罠だったのではなく、「恩を返したい」という人間らしい感情を狙われた怖さが残る一作です。
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