概要
彼は、何も知らなかった。
一四四三年。
南北朝の争いが尾を引く日本から、ひとりの赤子が密かに国外へ逃がされた。
その子は、南朝の皇統に連なる男児だった。
琉球から明へ。
さらに東南アジアを経て、欧州へ。
一族は各地で暮らし、現地の人々と結婚し、母系にさまざまなルーツを重ねていった。
日本人だけで六百年を生きた家ではない。
それでも、父から子へと続く一本の系譜は途切れなかった。
やがて一族は英国へたどり着き、戦後、その一部が日本へ戻る。
そして現代。
英国・マンチェスターで育った久世湊は、自分の家にそんな過去があることを何も知らない。
ごく普通の会社員として仕事のため日本へ赴任した彼が出会ったのは、皇女・和子だった。
同じ頃、中世東アジアの海上交流を研究する渡邊修一は、古い史料の中から奇妙な一行の
南北朝の争いが尾を引く日本から、ひとりの赤子が密かに国外へ逃がされた。
その子は、南朝の皇統に連なる男児だった。
琉球から明へ。
さらに東南アジアを経て、欧州へ。
一族は各地で暮らし、現地の人々と結婚し、母系にさまざまなルーツを重ねていった。
日本人だけで六百年を生きた家ではない。
それでも、父から子へと続く一本の系譜は途切れなかった。
やがて一族は英国へたどり着き、戦後、その一部が日本へ戻る。
そして現代。
英国・マンチェスターで育った久世湊は、自分の家にそんな過去があることを何も知らない。
ごく普通の会社員として仕事のため日本へ赴任した彼が出会ったのは、皇女・和子だった。
同じ頃、中世東アジアの海上交流を研究する渡邊修一は、古い史料の中から奇妙な一行の
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