「小説を描く」って、不思議なものです。
作品の舞台ではよくチャペルや寺社仏閣を登場させていますが、賛美歌を歌ったり、法話を聞いたりする信仰心はありません。
けれど、『人生』とは、希望さえ捨てなければ、素晴らしいもの。これは偽りのないこころの叫びです。これまで、ずっとそう信じてきました。現在から過去の長い年月を振り返ってみれば、これまでよく生きてこれたとさえ思っています。
実際、幾度も生と死の狭間に立たされ、苦難にも出会ったけど、後悔はしていません。過去に絶望的な辛い時期があったからこそ、今の自分の存在を素直に受け入れられます。
僕の作品の多くは、そんな想いを込めながら描いています。主人公の女性を切ない想いで綴ると共に、エンディングであたたかい景色を描くものとなります。やっぱり、生い立ちや生きざまが影響しているのかもしれません。