パリオリンピックが始まりましたね。
先日のテロのような妨害行為も危惧されましたが、無事に開会出来て良かったです。
早速バスケとハンドボールを観ましたが、バスケは想像以上の健闘、ハンドボールもあと一歩と惜しかったですね。皆様はどんな競技を注目されていますでしょうか?
数日前、NHKのやっていた五輪出場選手の人気ランキングでは日本のお家芸と言える、柔道・体操・水泳・女子レスリングなどの選手は人気があるようで、他にサッカーやバスケなどのメジャーなスポーツなどの選手も選ばれていましたが、私としてはメダル候補のあの選手が選出されていないのが個人的に不満でした。
その選手とは、ボクシング71キロ級の岡澤セオン選手です。
ディスる訳では無いですが、サッカーやバスケよりもボクシングの方がメダル獲得の方が現実的だと思います。(断っておきますが、一応バスケ経験者で中学の頃部活に入っていたので、思い入れもそれなりにあります。)
何故かと言えば、セオン選手は日本人では初めてボクシングの世界選手権で金メダルを取得したこともある、世界でもトップクラスのボクサーだからです。
あまり知られていないのですが、アマチュアボクシングで五輪に出場するのはプロで世界王者になるよりも難しいと言われています。
理由としては、先ずアジア予選が途轍もなくレベルが高く、後にプロで世界王者になる多くの選手がその壁に阻まれてきました。
具体的に言えば、ノックアウトダイナマイトと言われた内山高志氏、そしてあの「モンスター」井上尚弥選手ですらアジア予選で敗退し五輪に出場出来ませんでした。後にWBCフライ級世界王者となる五十嵐俊幸氏もアテネ五輪ではアジア予選で敗退し、同級の選手の負傷による補欠出場でした。
何故、そんなに困難かというと、アジアにはメダルの常連だった旧ソ連から分離独立したカザフスタン・ウズベキスタンが含まれ、これらの国が世界でもトップクラスで、事実上アジアの出場枠として各階級の二枠は埋まってしまうようなもので、残りの枠を他の国と争うのですが、東京五輪で三個のメダルを獲得した強豪フィリピン。ムエタイの選手の中からパンチの上手い選手を国際式に転向させ国で育成するタイ。アメリカに次ぎ世界最高峰のスポーツ大国で、かつてはあのゾウ・シミンを輩出した中国。成長著しいインドなど中々の強豪ぞろいなので、アジア予選を突破するのはかなりの困難を伴うと言わざるを得ません。
そもそも日本国内のレベルも相当高く、日本代表になることすら困難で、後に世界四階級王者となった井岡一翔選手は日本代表にすらなれず、世界の4団体でベルトを巻いた高山勝成氏もプロ引退後、日本代表を目指しましたが叶いませんでした。
アマチュアボクサーだった私の友人(後にプロテスト合格)はかつてボクシング日本代表の教化合宿に参加したことがあり、(多分サポートという立場かと思いますが)その友人が尊敬していた辻本和正氏(アトランタ・シドニーの2大会連続)は徳山昌守氏(元 WBC 世界 スーパーフライ級 王者)をスパーリングで圧倒したと噂されていましたし、私が昔プロアマ通じて一番凄いと感じた須佐勝明氏(ロンドン五輪日本代表)は東洋太平洋王者をKOしたとか、某超有名世界王者とスパーリングをしてパンチを貰わなかったという逸話があり(無論、三ラウンドという限定的なラウンドの上でアマチュアボクシングのルールでの話なので、トップアマがプロの世界王者よりも絶対的に強いという訳では無いのですが)、あのモンスターも高校生の時とは言え(この頃既に元世界王者ともスパーしていたらしいですが)唯一「この人には勝てない」と思わせたとのことが『月刊カドカワ』の井上尚弥特集に載せられたこともありました。
まぁ、余計な話が多くなりましたが、アマチュアボクシング界のレジェンドである辻本・須佐両氏ですら届かなかった世界選手権のメダルを獲得するのは、ある意味五輪でメダルを獲る以上に困難な事で、事実、石井幸喜氏が日本人初のメダルとなる銅メダルを獲得以降、2008年に川内正嗣氏が29年ぶりに銅メダルを取得、村田諒太氏が2011年に銀メダルが最高でしたが、セオン選手は2021年に金メダルを獲得しました。
つまり、村田氏を超える快挙を成し遂げたセオン選手もメダル候補、しかも金メダル候補と言っても過言では無いと言えるでしょう。
31日の2回戦が初戦となり、昨年の世界選手権優勝のアスランベク・シムベルゲノフ(カザフスタン)とヨルダン選手の勝者と対戦することが決まったそうです。恐らくカザフスタンの選手と対戦することになり、いきなり最大の山場を迎えることになりそうですが、是非ともこれを乗り越えて、村田諒太氏の如く、世間をあっと驚かせてほしいですね。