朝の目覚め、それは基本的に気持ちの良い目覚めなら素晴らしい。
……とはいえ、その気持ち良さにも色んな形がある。特に俺の場合は贅沢と言われるかもしれないが、結構大変な目覚めだった。
「……弟君……すぅ」
「兄さん……すぅ」
「……………」
目が覚めた俺は何度目か分からないため息を吐いた。
両隣から俺に抱き着くように眠っている二人の美女、それぞれ弟と兄という単語を口にしたように彼女たちは俺にとってれっきとした姉と妹だった。
……まあ、色々と複雑な事情があるわけだが。
「……よっこらせっと」
どうにか二人の抱擁から抜け出し、俺はベッドから出ることが出来た。
そのまま部屋を出てリビングに向かうと、一人の男性を囲むように三人の女性が雑談をしていた。
リビングに現れた俺に気付いた彼らが視線を向けて来る。その視線にはそれぞれの強さはあれど、しっかりとした慈愛を感じることが出来た。
「おはよう彼方」
「おはよう父さん」
挨拶をしてくれた父に挨拶を返すと、母さんの一人が俺の前に立った。
「あぁもう、寝癖が酷いわよ。ほら、こっちにいらっしゃい」
「自分で出来るよ母さん」
「そんなことを言ってもしないでしょ? ほら、おいで」
「……ぐぬぬ」
俺は母さんの腕に引かれて椅子に座らせられた。そのまま母さんに全てを任せるようにしてジッとしていた。すると、残った二人の母さんもそれぞれ俺に聞いてきた。
「二人は?」
「もしかしてまだ寝てる?」
「うん。お察しの通り。俺のベッドでぐっすりだよ」
さて、ここでまずおかしいと思ったことはないだろうか。
俺が今俺の髪の毛を整えてくれている母さんも母さんだが、今話しかけてきた二人も俺にとっては母さんと呼べる人だった。
「……いつも思うけど、父さんは凄いよね」
「はは、そうか?」
三人もの女性を妻に持つことの偉大さを改めて実感するよ。
本来なら一夫一妻、それがこの国の在るべき姿だ。
しかし、父さんと母さんたちの間には並々ならぬ過去があったらしく四人で家庭を築くことになったのだ。
物心付いた頃にそれを聞いた時は心底驚いたものだが、それでも幸せそうな父さんと母さんたちの姿を見ていると……まあ、その中に生まれた俺は自分のことも幸せだなと思うようになった。
「ほら、出来たわよ」
「ありがとう母さん」
母さんにお礼を言って俺は冷蔵庫に向かってジュースを取り出した。
そのまま乾いた喉を潤しながら、改めて自己紹介をすることにしよう。
俺は堂本彼方、父さんと母さん……あぁ名前を言わないと分からないか。綺麗な長い黒髪を持った女性であり、スタイル抜群……母さんたちはみんなスタイルが凄まじい、それは実の息子である俺ですら時々クラッとするほどだ。
俺の母さんはそんな黒髪の女性で名前は亜利沙だ。
そして、二人の母さんは名前はそれぞれ藍那母さんと咲奈母さんと言う。藍那母さんは派手な見た目で、咲奈母さんは母さんに似て大和なでしこみたいな見た目である。そしてそんな母さんたちを射止めたのが父の隼人だ……うん凄い。
「どうしたのジッと見て」
「あぁいや……」
藍那母さんにそう指摘されて視線を逸らした瞬間だった……二人が、あの二人がリビングに現れたのは。
「弟君!!」
「兄さん!!」
「げえええええっ!?」
驚いたのもつかの間、すぐに俺は二人に捕まった。
どうしてこうなったのかは分からないが、どうも俺は二人に異常なまでに好かれているらしい。分からん、本当に何もしてないのに好かれているのだ。
「あぁ弟君……居なくなったと思って不安だったのよ?」
「そうですよ兄さん! 遺伝子レベルで愛し合うことが決まってる私たちなんですから勝手に居なくならないでください!!」
「……なんでさ」
さっきも言ったがこの二人は本当に綺麗な見た目をしている。
まず、俺を弟と呼ぶのは咲奈母さんの娘である六花姉さん。
そして俺を兄と呼ぶのは藍那母さんの娘である妹の美亜だ。
「……ねえ弟君、何かしてほしいことはない? なんでもしてあげるわよ?」
「兄さん、私兄さんの子供が欲しいです。今すぐエッチしてください」
……誰か、俺を助けてくれ。
完全に頭空っぽにして書きました。
ちゃんと物語として書くならちゃんと書きますけど、こんな話は果たして需要ありますか?(笑)