▼連載終了のあとがき
こんにちは、葛野です。
「それでも僕らは罪人のまま」の番外編が完結しました。
前後編合わせて18話。短編にしようと思っていたら思ったより長くなってしまいましたが、書きたいところが書けて私としては満足であります。
今回は本編の前後の物語です。ルペシュールのメンバーがひとりの子供のために罪を犯すと決めた話と、その罪を第三者の犯罪によって自覚する話の、みんなの節目となる物語となります。
「結成の夜」は本編の前ということで、みんなの出会いです。
本編中にミシェルが新薬実験を止めたとルペシュールの活動歴を言っているシーンがあるのですが、それを踏まえて、ルペシュールの出会いの物語をいつか書きたいなと思っていたので一緒に形にしてしまいました。
前半のテーマである「罪の共有」に使った小道具はリンゴです。
家人に「列車の事件って何が起こってほしい?」と訊いたら、「やっぱ最後にブレーキがきかなくなって、駅に突っ込んで列車が爆発するのがいいんじゃない? やっぱり爆発だと思う(キャラが爆発をやり過ごす前提)」と、どっかの探偵もの映画で聞いたことがある回答をされました。
爆発すると近隣から警察が来てルペシュールが困るので、事件は静かに解決してもらいました。もうちょっと屋根の上で戦わせたかったとは思っています。
最初から推理要素なしで作る気でしたが、思わせぶりな描写をしておいて解決には必要のない情報を入れすぎたかなと自分で思いました。劣悪なテラスハウスを作った人が恨まれて刺される話にしようと思っていましたが、書いていくうちに全然別の話になってしまいましたし。
必要な情報だけをさりげなく入れて最後にひとつにする世のミステリーはなんて緻密な構成でありましょう。ミステリーだけは今後も書ける気がしません。
最後に、連載を追ってくださった方へ、最後までしっかりやりきろうと思える活力を連載中ずっといただいておりました。本当にありがとうございます!
ルペシュールは今度フロッセを離れて南の港町へ行きます。
罪と向き合い続けて進むみんなの人生を、いつかまた書けたらと思っています。それがいつになるかはわかりませんが、またルペシュールの活躍が書きたくなったときにこちらの方で連載したいなと思います。
▼新連載開始!
さて、ひとつの連載が終わったので、予告通りもうひとつの新連載を始めます。
「古清水の暦ぐらし」です。
こちらは「新版水のゆくえ」の番外編ですが、本編が同人誌なので、こちらの単品だけでも読めるように固有名詞は人名だけにします。登場人物をとりまくややこしい設定や状況は脇に置いて、さっくり読めるほのぼの系日常ものに仕上げています。
舞台は自然が豊かな土地「古清水(こしみず)」です。都には人間が暮らし、都の周囲の山や海には季節を司る守護神四柱や、神に仕える霊獣が住んでいます。
この豊かさは、古清水のあちこちにある白い花が土地神として、土地を豊かに守り、保っているおかげです。
十二ヶ月ごとに旬の美味しいものを食べて楽しむだけです。本当に食べるだけです。その中に「生きること」を感じる、「新版水のゆくえ」のテーマにも通じる内容になっています。
週二で更新予定なので、読んでくださると嬉しいです。