あります(挨拶
きっと物語を書く方は多かれ少なかれそういうところあるんじゃないかと思いますが――こう、ない方もいらっしゃるのだろうとは思いますが――私は自分の書く話が大好きだしぜったいに面白いと思って書いているので、書いてるうちに感情が乗ってえらいことだった話と言うのがまあまああります。
本日はそんな中から私的に欠いてる最中に感情乗りまくった話の振り返りです。
誰得? 私得だよ。後日振り返る記録になりますしね。恥の記録かもしれませんが。
------------------------------------------
14.魔女はひとり銀月の下、祝福あれと夜に詠う
https://kakuyomu.jp/works/16817330661528186064/episodes/16817330662042968720「魔女嫁」クライマックスパート。
「嫁入りからのセカンドライフ」中編コンテストへの応募作であることも踏まえ、最終的な「結婚」の座組に向けてどう要素を組んでいくかというところに熱量注いでました。課題はいかにして綺麗っぽい詠唱にするか。声に出して読んだ時綺麗にしたい! という感じでやってました。
前提条件からして、もうどうしようもない、ハッピーエンドで終われるのは主人公であるフリス達だけで、『彼女』達はそうなることはできない。そのうえで、この如何ともしがたい隔絶に意識を払っていたつもりだし、自分がだけでなく「フリスが」この断絶に自覚的であることを示せるように書いていました。たぶんあの子はそういうとこちゃんと気にできる子だと思うのです。
正味、理不尽なことなのですけれど。そのうえで、穏やかに、せめて能うる限りのすべてを――という物語です。
あと私的には、
――ああ。
ああ――ああ!
――掴んだ!
――のところ、エピソードの転換点ということもあって、大変気に入ってます。めっちゃ好きな文章です。我ながらよくできた。
あとは、「あなたの国へ、旅人が訪います」のところ。
↑もそうですが、本題の詠唱のとこじゃないですね。ここのところ、どういう訳かするっと出てきたやつで何か好きなんですよね。はい。
------------------------------------------
73.ウォルフ・ハーケイン:回想⑦/今も懐かしく、鮮やかに思い出せる。あの輝ける日々は【中編】
https://kakuyomu.jp/works/16817330648210782620/episodes/16817330664957890997主題はキアリィ。ナナリィでもユイリィお嬢さんでもないんですが、この二人はまだ伏せ札残ってるので。
キアリィは「どうやって楽しく立ち回らせるか」だけ考えて延々こねくり回してた子なのですが、一本調子になりがちとか台詞の言い回しがいちいち似てしまうとか、どうあがいても書き手の実力のなさが如実に出てしまうやばい落とし穴を抱えた子で、何も考えてなさそうなアホ台詞率が高い割に頭使わされました。
でも、こんな台詞や言い回しはこの先に二度と使う機会ないだろうな、みたいなのが結構あるのがお気にです。
「おお、友よ。人は自然に抗ってはいけないのさ」だの「ボクはキミと肩を組み、キミの胸から溢れる愛のため歌おう」だの、「心に従えばいいのさ。愛しているの一言でいいのさ。」だの、こんなのこの先二度と使うことないと思います。使いまわせる状況があまりに限定されすぎるので。
「この舞台は、キミだけが主役(プリモ・ウォーモ)」というのは、さらっと出てきました。「プリモ・ウォーモ」というルビは調べて追記したんですけど。
この一言が契機となって、その後のユイリィとウォルフのシーンを足しました。つまるところ直前のエピソード書いてる最中にポップアップしてきたんです、あの場面。
プロットろくにひかずに書いてるから、こういう行き当たりばったりなことが起こるのです。面白いけどよくよく考えなくてもだめなやつです。
------------------------------------------
99.《あなたが決して果たしえない、たったひとつの祈りのために》・④
https://kakuyomu.jp/works/16817139558574088770/episodes/16817330656950078875カクヨム投稿済みのエピソードで一番感情が乗った話で、書きたいことが決まっているからと感情だけで書き始め、いかにして話を落着させるかという段取りの詳細は書きながら考えていたというひどい話。
当時は定期更新がかつかつで、泥縄で書いてたからというのも多分にありましたが。でも書きたいものはぜんぶ決まっていたし、その辺はすべて決め打ちで書きましたので満足です。
無理矢理軌道修正しながら書いた部分もないではない気がしています。
遠野は基本、「物語の終着点」を書くために書いてるタイプの人間で、なので「機甲少女」二章はここを書くための物語であったと言って過言ではありません。
そのために各所のエピソードで要素を撒いて、実際に書くときは撒いた要素を拾いながら書くのです。
極論すれば、トリンデン卿周辺の設定だってこのシーンへ至るため、メルリィとの――あるいはユイリィを含めた彼女達との――対比として組んだしろものと言えないこともないですし。
「人間的」と評される少女人形と、自分の命すら捨て札の勘定に入れて、「トリンデン=オルデリス卿」という『存在』を維持するためのシステム。
「オーダー以外何もないなんて、嘘だよ。あなたが勝手に喚いてるだけの嘘っぱち」
――割とその場で組んだ台詞もある中、これは二章を欠いてる間、かなり早い時期からず――――っと自分の中にあった台詞でした。記憶が確かなら現在のメルリィまわりの設定が整ったあたりからあったし、二章では《人形》っぽさが前面に出た終盤ユイリィの『人間性』の部分じゃないかなーなどと自己評価しているところです。
でも、ユイリィ当人は「自分にはオーダーしかない」と思ってるし、そのうえでメルリィにはしれっとこれを言うのです。
この辺の要素組みを換骨奪胎して違う角度から書くと「フィギュア」のナナリィができあがります。
――というより、あの辺は書いてるうちに「この子はこういうことかな?」と納得が後から追いついた感じのやつです。「人らしさの営為」のおままごと感たるや。
ナナリィは自ら「人になったのよ」と主張し、メルリィはトリンデン卿から「人間的な激情」と評され、ユイリィは読者様から「人間っぽい」と評されます。
最後のはこれでいいのか分かりません。ほんとはだめかもしれませんが人間っぽいのはあの子のコンセプト的に「そういうもの」ではあるのですよね。
実のところ、「人間になりたい」と本気で思っている子がいるとしたら、ナナリィでもメルリィでもなくユイリィだと思います。
「我は人であるか否か」が主題に来るのはユイリィです。
あの子の製造目的とか、間章のエピソードとか、そういうアレではないでしょうか。とどめのユイリィお嬢さん。
ユイリィお嬢さん、同じ名前の癖にユイリィとはあんま言動似てない気がします。
ランディ相手に全力で「おねえちゃんだよ!」を遂行してる子と、ウォルフ相手に妹系甘えっ子トランザムバーストしている子では、そりゃあ似ない部分もあるでしょうけれど。
メルリィは「人である」こと自体にはあんまり関心なんかなくて、自身が望んで仰ぐひとから「『ひと』である」と評してもらえたから、「自分は『ひと』だ」と表明するに至っている。
ナナリィは――こっちは「自己の目的に到達しうる要素・あるいはその可能性があると認識した」から「『ひと』である」ことを殊更に主張しているだけで、「真実、自分が人であるか否か」自体はほんとのところどうでもいいのかもしれない、と。この辺は話が進めば出てくるところのはずなので、そこまでたどり着きたいなぁ…。
――と。こんな風にぞこぞこ派生してしまうくらい感情込めまくって書いてたところでした。はい。
------------------------------------------
いつになく乱文でしたが。
まあ、こういう日もありますよね、ということで、どうかひとつ。
それでは。